52 / 76
食事場
しおりを挟む
食事場に着くと、少し時間が空いただけなのに、先程とは比べ物にならないくらい混んでいた。
「ひ、人が多いですね…」
「まだ空いてるほうだぞ」
これで空いている方なのか。混んでいる時はどんな感じなのだ。その名の通り、箱詰め状態なのだろうか。
「ほら!ここは戦場ですよ、早い者勝ちなんです!お肉が無くなっちゃう!」
ペガサスはもうすでにお盆とお皿を手に持っている。私もそれを手にして、順番に回る。
ペガサスは先に行き、その付き添いでユニコーンも行ってしまった。私は今エヴェレットと一緒だ。
「何が欲しい?取るぞ」
「えっと…。あ、あのサラダが欲しいです」
エヴェレットは身長があるため腕も長い。
ヒョイっと軽々しくサラダを取ってくれる。
「他は?」
「んー…。エヴェレット様のお勧めはありますか?」
「そうだな…。俺は普通に白米が好きだ。ここの米は美味しい」
随分とシンプルな回答が来た。しかし、それだけ美味しいのだろう。
「じゃあ私もお米食べます」
「ん、じゃあ米に合うおかずを探すか」
一通り終わり、何処に座ろうかと見渡すと、もうペガサスとユニコーンは席についていた。丁度隣が空いていたので、そこに私とエヴェレットも座る。
「やっぱりリーダーは白米なんですね!レイアお嬢さんも白米…って、りょ、量どうしたんですか…?ぐ、具合でも悪いんですか?」
私の料理は、サラダと量が少なめの白米と味噌汁。そして、小さめの焼き魚に漬物だ。
「これがコイツの通常だ。いや、今回は多いんだっけか」
エヴェレットは大盛りの白米に味噌汁、そして、数個の大きい揚げ物と生姜焼きだ。
「は、はい。昨日の夜から何も食べていませんでしたから、とても楽しみです」
「は?お前、昨日の夜何も食ってないのか?食ってないのに外出て襲われて、そのままなのか?」
「あっ、」
まずい!非常にまずい!!食べてないことサラっと言っちゃった!
エヴェレットは、最近私を気にかけてくれる。食事も抜くなと散々言われたのに。
なのに、食事を抜かした、しかも昨日からずっと!
そんなこと知られたら言われるか分からない!
「ち、違うんです。昨日の夜は食欲が無くて。それで、朝は食べる時間なかったし、昼は事情聴取だったから…」
「今日の2食は分かる。俺も食べてないからな。だが、昨日からなのか?昨日から何にも口にしてないと?」
「い、今、口にします」
「いつか本当に栄養失調で死ぬぞお前…」
エヴェレットが頭を大きく抱える。ペガサスもすごく心配してくれている。
そこに入ってきたのはユニコーンだった。
「まぁ、リリー嬢は女性の中でも小柄な方です。それに、多く食べ過ぎても体に悪いですからね。自分の好きに食べればよろしいかと、私は思います」
ユニコーンが助太刀をする。エヴェレットとペガサスは、それもそうだという顔になるが、やはり納得言っていない様子だ。これだけの量で足りる私の体を、本当に理解できないのだろう。
「いや、レイアお嬢さんがそれで良いなら良いんですけど…。やっぱり少な過ぎますよ」
そう言うペガサスは、白米にパン、パスタにステーキ、スープにグラタンなど、様々な料理を大盛りによそっている。
一方、助太刀してくれたユニコーンは、多めのサラダにササミの料理。そして冷やしうどんだ。私よりは多いが、エヴェレットとペガサスに比べたら格段に少ない。
もしかしたら、ユニコーンはこちら寄りなのかもしれない。それでも多いけど。
美味しいご飯を食べていると、段々と人が集まってきて、騒がしくなってきた。これは料理人も大変だろうな。
そう思っていると、何やら大きな声が聞こえてくる。
「おーう、ならよ、ここは正々堂々ジャンケンでどっちがこれ取るか決めようぜ!」
「望むところだ!」
何やら料理をかけたジャンケンらしい。何だか給食みたいだ。
「ここは食事場。みんなが集まり分け隔てなく、楽しく交流する場所だ。そんなところで殴り合いの喧嘩なんて御法度だ。だから、ここでは何かを決める時はジャンケンがルールなんだ」
「そうなんですね…」
ガタイの良い人たちが拳を握り、ギラギラと目を光らせやる事が、ジャンケンとは。とても拍子抜けするが、微笑ましい。
「だあああ負けたああああ!」
「よっしゃあああ!!」
とても楽しそうだ。そういえば、エヴェレット達はジャンケンをやったことがあるのだろうか。
それが伝わったのか、エヴェレットは口を開く。
「俺はあるぞ。白米を賭けてな」
「俺もありますよ!俺の場合はステーキです!」
「私は無いですね。すぐに譲ってしまうので」
ペガサスやユニコーンは大体想像が付いたが、エヴェレットもやったことがあるのか。しかも白米。それだけ白米が好きなんだ。
ご飯をお腹いっぱい食べ終わると、時間は午後6時半を差していた。
「早いがもうそろそろ風呂も開くだろう。アルフィー、レイアを頼むぞ」
「了解、リーダー」
アルフィーは軽い敬礼をすると、私を部屋まで送ってくれた。
「リリー嬢、今晩のお風呂はいつお入りになりますか?その時間にお召し物を持って伺います」
「えっと……。じゃあ、7時半で」
「かしこまりました」
そう言って、アルフィーは去っていく。何だか相手が男性だと気恥ずかしいな。
そう思いながらも、アルフィーの心遣いに感謝をしながら私は時間を潰した。
「ひ、人が多いですね…」
「まだ空いてるほうだぞ」
これで空いている方なのか。混んでいる時はどんな感じなのだ。その名の通り、箱詰め状態なのだろうか。
「ほら!ここは戦場ですよ、早い者勝ちなんです!お肉が無くなっちゃう!」
ペガサスはもうすでにお盆とお皿を手に持っている。私もそれを手にして、順番に回る。
ペガサスは先に行き、その付き添いでユニコーンも行ってしまった。私は今エヴェレットと一緒だ。
「何が欲しい?取るぞ」
「えっと…。あ、あのサラダが欲しいです」
エヴェレットは身長があるため腕も長い。
ヒョイっと軽々しくサラダを取ってくれる。
「他は?」
「んー…。エヴェレット様のお勧めはありますか?」
「そうだな…。俺は普通に白米が好きだ。ここの米は美味しい」
随分とシンプルな回答が来た。しかし、それだけ美味しいのだろう。
「じゃあ私もお米食べます」
「ん、じゃあ米に合うおかずを探すか」
一通り終わり、何処に座ろうかと見渡すと、もうペガサスとユニコーンは席についていた。丁度隣が空いていたので、そこに私とエヴェレットも座る。
「やっぱりリーダーは白米なんですね!レイアお嬢さんも白米…って、りょ、量どうしたんですか…?ぐ、具合でも悪いんですか?」
私の料理は、サラダと量が少なめの白米と味噌汁。そして、小さめの焼き魚に漬物だ。
「これがコイツの通常だ。いや、今回は多いんだっけか」
エヴェレットは大盛りの白米に味噌汁、そして、数個の大きい揚げ物と生姜焼きだ。
「は、はい。昨日の夜から何も食べていませんでしたから、とても楽しみです」
「は?お前、昨日の夜何も食ってないのか?食ってないのに外出て襲われて、そのままなのか?」
「あっ、」
まずい!非常にまずい!!食べてないことサラっと言っちゃった!
エヴェレットは、最近私を気にかけてくれる。食事も抜くなと散々言われたのに。
なのに、食事を抜かした、しかも昨日からずっと!
そんなこと知られたら言われるか分からない!
「ち、違うんです。昨日の夜は食欲が無くて。それで、朝は食べる時間なかったし、昼は事情聴取だったから…」
「今日の2食は分かる。俺も食べてないからな。だが、昨日からなのか?昨日から何にも口にしてないと?」
「い、今、口にします」
「いつか本当に栄養失調で死ぬぞお前…」
エヴェレットが頭を大きく抱える。ペガサスもすごく心配してくれている。
そこに入ってきたのはユニコーンだった。
「まぁ、リリー嬢は女性の中でも小柄な方です。それに、多く食べ過ぎても体に悪いですからね。自分の好きに食べればよろしいかと、私は思います」
ユニコーンが助太刀をする。エヴェレットとペガサスは、それもそうだという顔になるが、やはり納得言っていない様子だ。これだけの量で足りる私の体を、本当に理解できないのだろう。
「いや、レイアお嬢さんがそれで良いなら良いんですけど…。やっぱり少な過ぎますよ」
そう言うペガサスは、白米にパン、パスタにステーキ、スープにグラタンなど、様々な料理を大盛りによそっている。
一方、助太刀してくれたユニコーンは、多めのサラダにササミの料理。そして冷やしうどんだ。私よりは多いが、エヴェレットとペガサスに比べたら格段に少ない。
もしかしたら、ユニコーンはこちら寄りなのかもしれない。それでも多いけど。
美味しいご飯を食べていると、段々と人が集まってきて、騒がしくなってきた。これは料理人も大変だろうな。
そう思っていると、何やら大きな声が聞こえてくる。
「おーう、ならよ、ここは正々堂々ジャンケンでどっちがこれ取るか決めようぜ!」
「望むところだ!」
何やら料理をかけたジャンケンらしい。何だか給食みたいだ。
「ここは食事場。みんなが集まり分け隔てなく、楽しく交流する場所だ。そんなところで殴り合いの喧嘩なんて御法度だ。だから、ここでは何かを決める時はジャンケンがルールなんだ」
「そうなんですね…」
ガタイの良い人たちが拳を握り、ギラギラと目を光らせやる事が、ジャンケンとは。とても拍子抜けするが、微笑ましい。
「だあああ負けたああああ!」
「よっしゃあああ!!」
とても楽しそうだ。そういえば、エヴェレット達はジャンケンをやったことがあるのだろうか。
それが伝わったのか、エヴェレットは口を開く。
「俺はあるぞ。白米を賭けてな」
「俺もありますよ!俺の場合はステーキです!」
「私は無いですね。すぐに譲ってしまうので」
ペガサスやユニコーンは大体想像が付いたが、エヴェレットもやったことがあるのか。しかも白米。それだけ白米が好きなんだ。
ご飯をお腹いっぱい食べ終わると、時間は午後6時半を差していた。
「早いがもうそろそろ風呂も開くだろう。アルフィー、レイアを頼むぞ」
「了解、リーダー」
アルフィーは軽い敬礼をすると、私を部屋まで送ってくれた。
「リリー嬢、今晩のお風呂はいつお入りになりますか?その時間にお召し物を持って伺います」
「えっと……。じゃあ、7時半で」
「かしこまりました」
そう言って、アルフィーは去っていく。何だか相手が男性だと気恥ずかしいな。
そう思いながらも、アルフィーの心遣いに感謝をしながら私は時間を潰した。
342
お気に入りに追加
1,617
あなたにおすすめの小説

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。

ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!
あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】
小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。
その運命から逃れるべく、九つの時に家出して平穏に生きていたが。
ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。
その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。
優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。
運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。
※話数は多いですが、1話1話は短め。ちょこちょこ更新中です!
【2025年1月3日追記】
ストーリーの見直しにあたり、137話からのくだり、特に138話をかなり手直ししております。このあたりは割と二人にとって大事な場面となりますので、よろしければお暇なときにでも読み返していただけると幸いです(#^^#)
なろうさんにも同作品を投稿中です。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?

精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる