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寝起き
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温かい。誰かに抱き締められているみたいだ。
さっきまで、体は冷たかったのに。
両親から裏切られて、認めたくなかった。
しかし現実は残酷で、認めざるおえない証拠が数多く揃っている。
私は泣いて、泣いて、それで、どうしたっけ。
地面が柔らかい。フカフカのベッドみたいだ。目を薄く開けると、そこにはどこか見たことある色合い。なんだっけ、この色。
前からは規則正しい鼓動が聞こえてくる。その鼓動が私を安心させる。
………ん?鼓動…?
寝ぼけた頭が一気に覚醒する。
カッと目を開けて上を見ると、そこにはエヴェレットが居た。
私を抱いて寝ている。一緒のベッドの上で。
私は急いで起きあがろうとするが、エヴェレットに抱き締められていて起き上がれない。力が強い、本当に強い。本当は起きてるのではないか?今日の朝もそうだったし。
名前を呼んでみるが返事はない。まさか、本当に寝ているのか?
狭い視界の中、一所懸命周りを見ると、そこは見慣れない場所だった。外はまだ明るく、そんなに時間は経っていない。
私は思考を巡らせる。
えーと、事情聴取が終わって、両親の裏切りがほぼ確定して、それで泣いて…、寝てしまったのか?多分そうだ。寝たんだ私。何してんだよ、本当に。
あの場面で寝るなんて本当にバカ。クヨクヨしている場合じゃないのに。両親の行動もまだ分からないし、これから状況がどう動くか。
とにかく、早く起きないと。分かっているのに体が動かない。
「エヴェレット様、エヴェレット様」
「………」
「エヴェレット様っ、離してくださいっ、力強いっ、」
「んんん…、五月蝿い…」
「エヴェレット様、」
「黙れ…」
そう悪態をつかれると、もっと力が強くなり密着する。エヴェレットの胸に顔が埋まり、息が苦しい。バタバタと足を動かしたり、腕や肩を叩くが反応は無い。逆に足は絡め取られ、私の手はエヴェレットの片手の中に収まり、動かせなくなる。
「エヴェレット様、は、離して、」
「お前が離れなかったんだろ…」
私が疑問を頭に浮かべると、それに気づいたエヴェレットは、眠そうな顔でムッと眉を顰める。
「覚えてないのか、お前…」
「………すいません…」
「お前が離れなかったから、俺はここで寝てるんだ…そのせいだぞ…。償いとして、もう少し寝かせろ…」
そう言われたら反抗できない。私が静かになると、エヴェレットは私を離さずに、また瞳を閉じる。
「5分経ったら起こしてくれ…」
「分かりました」
ここからはギリギリ時計が見える。
5分の辛抱だ。5分、5分……。
5分がとても長い。エヴェレットに抱き締められていて、私の鼓動は早く脈打つ。足も手もエヴェレットに触れている。
何より、私の鼓動がエヴェレットに伝わっていないか心配だ。こんなにドキドキしていたら、また揶揄われてしまう。
5分が経ち、エヴェレットの名を呼ぶ。体感は30分くらいあった気がするが。
「もうか…」
「約束の5分です。起きてください」
ムクリとエヴェレットは起き上がり、私も起き上がる。
しかし、エヴェレットは私の方に倒れてきて、私の頭に顔を乗っける。
「丁度いい…」
「目を覚ましてください、エヴェレット様!」
エヴェレットの背中を叩くが、エヴェレットはそのままだ。耳を引っ張ってみても、頭を撫でても、何も反応が無い。
「エヴェレットさまー、おきてくーださーい」
「ん…」
ようやく私から離れ、グシャグシャと頭を掻く。髪がボサボサだが、本人はどうでもいいのだろう。
「やはり、中途半端に寝るとダメだな。お前のせいだぞ、レイア」
「うう…」
こうなったのも自業自得なのだ。あまり強く言えない、悔しいが。
「あの、ところでここは?」
「この件が治るまでお前が暮らす部屋だ。ここは騎士団本拠地だから、警備は厳重だ。ただ、服はここでの支給品を着てもらうことになるが…」
護ってもらう上に服まで支給してくれるなんて、とても手厚い。
「食事場と風呂は寮の方にある。案内する、付いてこい」
寮もあるらしい。部屋を出ると、眠る前よりも人が格段に多くなっていた。その殆どが、騎士の格好か、運動服だった。
「す、、すごい…」
「本拠地だからな。寮もそれなりにでかいから、はぐれないように」
すると、パッと手を繋がれる。
「エヴェレット様っ、」
「お前はすぐはぐれそうだからな。後、マントも落とすなよ」
羽織っているマントをキュッと握る。そこまで言うなら、エヴェレット自身が身につければいいのに。
エヴェレットはフッと笑顔になる。
その目には、少年のような探究心が滲んでいる。
「さあ、本拠地探検だ」
さっきまで、体は冷たかったのに。
両親から裏切られて、認めたくなかった。
しかし現実は残酷で、認めざるおえない証拠が数多く揃っている。
私は泣いて、泣いて、それで、どうしたっけ。
地面が柔らかい。フカフカのベッドみたいだ。目を薄く開けると、そこにはどこか見たことある色合い。なんだっけ、この色。
前からは規則正しい鼓動が聞こえてくる。その鼓動が私を安心させる。
………ん?鼓動…?
寝ぼけた頭が一気に覚醒する。
カッと目を開けて上を見ると、そこにはエヴェレットが居た。
私を抱いて寝ている。一緒のベッドの上で。
私は急いで起きあがろうとするが、エヴェレットに抱き締められていて起き上がれない。力が強い、本当に強い。本当は起きてるのではないか?今日の朝もそうだったし。
名前を呼んでみるが返事はない。まさか、本当に寝ているのか?
狭い視界の中、一所懸命周りを見ると、そこは見慣れない場所だった。外はまだ明るく、そんなに時間は経っていない。
私は思考を巡らせる。
えーと、事情聴取が終わって、両親の裏切りがほぼ確定して、それで泣いて…、寝てしまったのか?多分そうだ。寝たんだ私。何してんだよ、本当に。
あの場面で寝るなんて本当にバカ。クヨクヨしている場合じゃないのに。両親の行動もまだ分からないし、これから状況がどう動くか。
とにかく、早く起きないと。分かっているのに体が動かない。
「エヴェレット様、エヴェレット様」
「………」
「エヴェレット様っ、離してくださいっ、力強いっ、」
「んんん…、五月蝿い…」
「エヴェレット様、」
「黙れ…」
そう悪態をつかれると、もっと力が強くなり密着する。エヴェレットの胸に顔が埋まり、息が苦しい。バタバタと足を動かしたり、腕や肩を叩くが反応は無い。逆に足は絡め取られ、私の手はエヴェレットの片手の中に収まり、動かせなくなる。
「エヴェレット様、は、離して、」
「お前が離れなかったんだろ…」
私が疑問を頭に浮かべると、それに気づいたエヴェレットは、眠そうな顔でムッと眉を顰める。
「覚えてないのか、お前…」
「………すいません…」
「お前が離れなかったから、俺はここで寝てるんだ…そのせいだぞ…。償いとして、もう少し寝かせろ…」
そう言われたら反抗できない。私が静かになると、エヴェレットは私を離さずに、また瞳を閉じる。
「5分経ったら起こしてくれ…」
「分かりました」
ここからはギリギリ時計が見える。
5分の辛抱だ。5分、5分……。
5分がとても長い。エヴェレットに抱き締められていて、私の鼓動は早く脈打つ。足も手もエヴェレットに触れている。
何より、私の鼓動がエヴェレットに伝わっていないか心配だ。こんなにドキドキしていたら、また揶揄われてしまう。
5分が経ち、エヴェレットの名を呼ぶ。体感は30分くらいあった気がするが。
「もうか…」
「約束の5分です。起きてください」
ムクリとエヴェレットは起き上がり、私も起き上がる。
しかし、エヴェレットは私の方に倒れてきて、私の頭に顔を乗っける。
「丁度いい…」
「目を覚ましてください、エヴェレット様!」
エヴェレットの背中を叩くが、エヴェレットはそのままだ。耳を引っ張ってみても、頭を撫でても、何も反応が無い。
「エヴェレットさまー、おきてくーださーい」
「ん…」
ようやく私から離れ、グシャグシャと頭を掻く。髪がボサボサだが、本人はどうでもいいのだろう。
「やはり、中途半端に寝るとダメだな。お前のせいだぞ、レイア」
「うう…」
こうなったのも自業自得なのだ。あまり強く言えない、悔しいが。
「あの、ところでここは?」
「この件が治るまでお前が暮らす部屋だ。ここは騎士団本拠地だから、警備は厳重だ。ただ、服はここでの支給品を着てもらうことになるが…」
護ってもらう上に服まで支給してくれるなんて、とても手厚い。
「食事場と風呂は寮の方にある。案内する、付いてこい」
寮もあるらしい。部屋を出ると、眠る前よりも人が格段に多くなっていた。その殆どが、騎士の格好か、運動服だった。
「す、、すごい…」
「本拠地だからな。寮もそれなりにでかいから、はぐれないように」
すると、パッと手を繋がれる。
「エヴェレット様っ、」
「お前はすぐはぐれそうだからな。後、マントも落とすなよ」
羽織っているマントをキュッと握る。そこまで言うなら、エヴェレット自身が身につければいいのに。
エヴェレットはフッと笑顔になる。
その目には、少年のような探究心が滲んでいる。
「さあ、本拠地探検だ」
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