46 / 76
猫のような馬
しおりを挟む
「げっ、やばっ!」
エヴェレットは、その人物を見て逃げようとするペガサスの首根っこを掴む。
「ぎゃああ!!リーダー離して!!俺死ぬ!」
「何をしでかしたんだ、こんなときに」
「ペガサス!お前は!」
メガネを掛けた人物はカツカツとこちらに近づいてくる。そして、エヴェレットの前で敬礼をすると、私の方を見る。
「初めまして。私は、アルフィー・ベースティア・ユニコーンです。貴女のことは存じております、レイア・ルーナマリア・リリー嬢」
「は、初めまして」
ペガサスの次はユニコーンか。此処はどうなってるんだ?よく分からないが、今はそんなこと置いといていいだろう。
「アルフィー、ウィリアムに何の要件だ?」
「今日までの資料を提出していません。それも3件」
「お前…」
「ちがっ、今日までですよね!?これからやります!もうほぼ終わってるんですよ!」
ペガサスはバタバタと足を動かし訴える。
エヴェレットはそのままペガサスをグイッとユニコーンの前に持ってくると、ユニコーンはペガサスの腕を掴んで何処か行ってしまった。
「待って!待ってよ!!リーダー!!レイアお嬢さん!!助けてよー!!」
「黙れ!リーダー達に迷惑をかけるな!大人しく連行されていろ!!」
ユニコーンがペガサスにそう言ったのを見送ると、エヴェレットはまた歩き出す。何だか、さっきよりも歩幅が大きいというか、ペースも早い気がする。私が小走りで追いかけていると、ぴたりと止まって私を抱き上げる。本日2回目のお姫様抱っこだ。
私が状況が理解出来ないまま、エヴェレットは走り出す。廊下にいる人々は驚きと奇妙な目を向ける。
「エヴェレットさまっ、お、降ろしてっ、」
「ダメだ。遅い」
「ちがっ、エヴェレット様が速いだけですっ、」
「五月蝿い、舌を噛むぞ」
そう言われて口を結ぶ。エヴェレットは厳重そうな部屋の前に立つと、遠慮なくその扉を開けてすぐに鍵をかける。
「此処までくれば良いだろう」
エヴェレットは私を優しく降ろす。私はエヴェレットにさっきのことを聞く。
「あ、あの2人は…?」
「騎士団の団員だ。俺がリーダーを務めている騎士のグループがあるんだが、そのグループの組員でもある。ああ見えてかなり優秀な奴らでな。俺も助かっている」
少しややこしくなっていたので一旦整理しよう。
エヴェレットは騎士のみで作られるグループのリーダで、2人はその組員。2人はエヴェレットの両翼のポジションらしい。
ウィリアム・ウヴェーリ・ペガサスは、蒲公英のような日の光を充分に浴びた明るい黄色の髪をしている。
可愛らしい顔だが、眉は太くキリッと上がっている。瞳は栗色の優しい色をしており、二重のタレ目だ。
背が大きくて、エヴェレットよりも少し高めだ。185くらい?だろうか。
感情豊かでコロコロと表情を変え、大型犬みたいな感じだ。犬種は何だろう、ゴールデン・レトリバーとか?
一方、アルフィー・ベースティア・ユニコーンは、光など知らない、漆黒の髪色をしている。
キリッと釣り上がった目と細めの眉が厳格な彼の性格を表している。そして、黒の細いフレームの眼鏡が余計にそれを助長する。瞳は翠色で力強く、一重のツリ目だ。
背はエヴェレットとほぼ同じだが、少しエヴェレットの方が大きい。
何事にも冷静に判断するように見えるが、さっきは凄く怒っていた。まるで威嚇する猫みたいな。ロシアンブルーに近いかな?
と、此処まで2人の紹介をしたが、今の本題はそれじゃない。
「あの、此処には事情聴取のために来たのでは…?」
「その通りだ。さあ、始めるぞ」
「え?」
エヴェレットは部屋にあった椅子に腰掛ける。目の前の椅子に座れと催促され、私も座る。私とエヴェレットの間には高級そうな黒の机が1つ。
「此処でするのですか?」
「此処でするために、此処に来た。」
「か、勝手に始めてよろしいのですか?」
「話を聞くのは俺だと事前に決まっている。それに、後は事実確認だけなんだ。どこで、いつやろうと関係ない。ただ、すぐに確認できるように此処に来ただけだ」
もうそこまで来ていたのか。私は手を握りしめる。嘘を言うつもりは無い。全て、真実を話すつもりだ。
しかしー
「ーさあ、話してもらうぞ、レイア」
「……はい」
私はその覚悟が出来ないまま、返事を返した。
エヴェレットは、その人物を見て逃げようとするペガサスの首根っこを掴む。
「ぎゃああ!!リーダー離して!!俺死ぬ!」
「何をしでかしたんだ、こんなときに」
「ペガサス!お前は!」
メガネを掛けた人物はカツカツとこちらに近づいてくる。そして、エヴェレットの前で敬礼をすると、私の方を見る。
「初めまして。私は、アルフィー・ベースティア・ユニコーンです。貴女のことは存じております、レイア・ルーナマリア・リリー嬢」
「は、初めまして」
ペガサスの次はユニコーンか。此処はどうなってるんだ?よく分からないが、今はそんなこと置いといていいだろう。
「アルフィー、ウィリアムに何の要件だ?」
「今日までの資料を提出していません。それも3件」
「お前…」
「ちがっ、今日までですよね!?これからやります!もうほぼ終わってるんですよ!」
ペガサスはバタバタと足を動かし訴える。
エヴェレットはそのままペガサスをグイッとユニコーンの前に持ってくると、ユニコーンはペガサスの腕を掴んで何処か行ってしまった。
「待って!待ってよ!!リーダー!!レイアお嬢さん!!助けてよー!!」
「黙れ!リーダー達に迷惑をかけるな!大人しく連行されていろ!!」
ユニコーンがペガサスにそう言ったのを見送ると、エヴェレットはまた歩き出す。何だか、さっきよりも歩幅が大きいというか、ペースも早い気がする。私が小走りで追いかけていると、ぴたりと止まって私を抱き上げる。本日2回目のお姫様抱っこだ。
私が状況が理解出来ないまま、エヴェレットは走り出す。廊下にいる人々は驚きと奇妙な目を向ける。
「エヴェレットさまっ、お、降ろしてっ、」
「ダメだ。遅い」
「ちがっ、エヴェレット様が速いだけですっ、」
「五月蝿い、舌を噛むぞ」
そう言われて口を結ぶ。エヴェレットは厳重そうな部屋の前に立つと、遠慮なくその扉を開けてすぐに鍵をかける。
「此処までくれば良いだろう」
エヴェレットは私を優しく降ろす。私はエヴェレットにさっきのことを聞く。
「あ、あの2人は…?」
「騎士団の団員だ。俺がリーダーを務めている騎士のグループがあるんだが、そのグループの組員でもある。ああ見えてかなり優秀な奴らでな。俺も助かっている」
少しややこしくなっていたので一旦整理しよう。
エヴェレットは騎士のみで作られるグループのリーダで、2人はその組員。2人はエヴェレットの両翼のポジションらしい。
ウィリアム・ウヴェーリ・ペガサスは、蒲公英のような日の光を充分に浴びた明るい黄色の髪をしている。
可愛らしい顔だが、眉は太くキリッと上がっている。瞳は栗色の優しい色をしており、二重のタレ目だ。
背が大きくて、エヴェレットよりも少し高めだ。185くらい?だろうか。
感情豊かでコロコロと表情を変え、大型犬みたいな感じだ。犬種は何だろう、ゴールデン・レトリバーとか?
一方、アルフィー・ベースティア・ユニコーンは、光など知らない、漆黒の髪色をしている。
キリッと釣り上がった目と細めの眉が厳格な彼の性格を表している。そして、黒の細いフレームの眼鏡が余計にそれを助長する。瞳は翠色で力強く、一重のツリ目だ。
背はエヴェレットとほぼ同じだが、少しエヴェレットの方が大きい。
何事にも冷静に判断するように見えるが、さっきは凄く怒っていた。まるで威嚇する猫みたいな。ロシアンブルーに近いかな?
と、此処まで2人の紹介をしたが、今の本題はそれじゃない。
「あの、此処には事情聴取のために来たのでは…?」
「その通りだ。さあ、始めるぞ」
「え?」
エヴェレットは部屋にあった椅子に腰掛ける。目の前の椅子に座れと催促され、私も座る。私とエヴェレットの間には高級そうな黒の机が1つ。
「此処でするのですか?」
「此処でするために、此処に来た。」
「か、勝手に始めてよろしいのですか?」
「話を聞くのは俺だと事前に決まっている。それに、後は事実確認だけなんだ。どこで、いつやろうと関係ない。ただ、すぐに確認できるように此処に来ただけだ」
もうそこまで来ていたのか。私は手を握りしめる。嘘を言うつもりは無い。全て、真実を話すつもりだ。
しかしー
「ーさあ、話してもらうぞ、レイア」
「……はい」
私はその覚悟が出来ないまま、返事を返した。
485
お気に入りに追加
1,617
あなたにおすすめの小説

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。

ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!
あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】
小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。
その運命から逃れるべく、九つの時に家出して平穏に生きていたが。
ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。
その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。
優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。
運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。
※話数は多いですが、1話1話は短め。ちょこちょこ更新中です!
【2025年1月3日追記】
ストーリーの見直しにあたり、137話からのくだり、特に138話をかなり手直ししております。このあたりは割と二人にとって大事な場面となりますので、よろしければお暇なときにでも読み返していただけると幸いです(#^^#)
なろうさんにも同作品を投稿中です。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?

精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる