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揶揄い合戦
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ゆっくりと目を開ける。すると、ぼんやりだがいつもとは違う景色が映る。
あれ、ここは何処だ?まだ、夢の中なのだろうか。
それに、手が温かい。誰かに握られているみたいだ。
目の前から静かな寝息が聞こえる。
空いている片方の手で、目を擦って見ると、私の目の前には、エヴェレットが私の手を握ったまま伏せて寝ていた。
私はビックリして体全体が跳ね上がり、ベッドがギシリと音を立てて振動する。
そのせいだろうか。エヴェレットはゆっくりと目を開けた。
「あっ、エヴェレット様、申し訳ありません」
私が小声で謝ると、エヴェレットは寝起きとは思えない程ハキハキとしたした声で、しかし私と同じく小声で喋る。
「構わん。俺も少し前に目を覚ましてた。と言うか、もっと寝ていて良いんだが。まだ早いぞ」
「そ、そういうわけには、」
「それに、お前はエリーが学園に行くまでここから出られないぞ。もし鉢合わせたら大変なことになるからな」
「あの…、私が今ここに居ることは、誰がご存知なのですか?」
「父上と母上、それと一部の騎士団員のみだ。誰が関わっているかもまだわからないから、エリーは勿論お前の家にも伝えていない」
そう…なのか。その方が良い。
エリーやローズが知らないのは心配をかけてしまうが、この件の真犯人は私の両親だ。私が生きていると知ったら、次はどんな行動に出るか予想が付かない。
「不思議な顔をするな」
「え?」
「心配とか、寂しいと言う顔をしているのにも関わらず、何処か安心してる顔をしてる」
「よく見ていますね」
「お前は分かりやすいからな」
そう言われ、顔をズイッと急に近づけられる。ひゃっと声を出して私は赤くなる。
「ほら」
ニヤリといやらしく口角を上げるエヴェレットは、いつもの好青年というよりも悪戯を楽しんでいる男の子だ。やられっぱなしは癪だ。此方もキッと睨み付けてグッと前のめりになる。
すると、エヴェレットは最初こそ少し驚いたが、すぐに笑って私の髪を手に取って耳にかける。私も同様のことをしたいが、エヴェレットは髪が短い。耳にかかるまでの長さがないのだ。
その代わりといってはアレだが、少し目にかかっている前髪をサラリと横に避けてやる。
それがいけなかった。
余計にエヴェレットと目が合う。私は目線を外すこともできず、口から声にならない吐息を溢すだけだ。
エヴェレットは私の指に自分の指を絡め、前に持ってきたかと思うと、私の手に優しいキスを落とす。
「っ、」
声を出す寸前、私の口にエヴェレットの空いてる手が当てられた。
「大声を出すな」
エヴェレットの手が離されると、私は小声で、しかし、ちゃんと圧がある様にエヴェレットを責め立てる。
「エヴェレット様が急にこんな事するから!」
「こんな事?何のことだ?」
「なっ、…、わ、分かってるくせに!」
「分からんな、何のことだ?言ってみろよ、レイア・ルーナマリア・リリー」
歪曲を描くその口元は愉しさと優越感を隠し切れていない。いや、隠す気もない。
私は悔しくて、その挑発にいとも簡単に乗る。それがエヴェレットの掌の上で、私は今面白い程に踊り狂ってるいうことも頭では理解していたが、我慢できない。
「わっ、私の手に、キッ……、きす、するから………、」
最後の方は本当にか細い声で、ほぼ音になっていなかった。キス、の所も声が産まれたての子鹿くらいにガクガクに震えていたし。
ああもう、何でこんなことに。そもそも、エヴェレットがこんな事するから。私の手に、キスなんかするから。
私はエヴェレットに八つ当たりをする。挑発に乗る自分が悪いのに。
全身が燃える様に熱い。全てが蒸発してしまいそうだ。私の体も、吐息も、何もかもが熱を孕んでいる。
俯いて唇を軽く噛み、羞恥心に耐えている私を見て、エヴェレットは深いため息をつく。手を額に当て、背中を反って天を仰ぐ様な体制になる。
「はあーーーーー、」
「……、エ、エヴェレットさま、」
「お前……、、本当に………はぁ……、」
「エッ、エヴェレット様は慣れているかもしれませんが、私は本当に慣れてないんです!特に、男性には!覚えといてくださいね!あまり揶揄っては嫌です!」
小声で、力強く訴えると、エヴェレットは小声でやっぱりかと呟く。やっぱり?何のことだ?気になる私を置いて、エヴェレットは部屋の時計をチラリと見る。
「そろそろ良いか。ほら、ここを出る準備をするぞ。使用人を呼ぶから後はいいな?」
「わ、分かりました」
そう言ってパタンと出ていってしまう。朝っぱらからこんな事をして情けない。
でも、エヴェレットも同類だ。そう思うことにする。向こうの方が何枚も上手だけど。
使用人の人が来てくれたので、私はその指示に従いここを出る準備をした。
キスされた手には、唇の感触と熱がいつまでも残っていた。
あれ、ここは何処だ?まだ、夢の中なのだろうか。
それに、手が温かい。誰かに握られているみたいだ。
目の前から静かな寝息が聞こえる。
空いている片方の手で、目を擦って見ると、私の目の前には、エヴェレットが私の手を握ったまま伏せて寝ていた。
私はビックリして体全体が跳ね上がり、ベッドがギシリと音を立てて振動する。
そのせいだろうか。エヴェレットはゆっくりと目を開けた。
「あっ、エヴェレット様、申し訳ありません」
私が小声で謝ると、エヴェレットは寝起きとは思えない程ハキハキとしたした声で、しかし私と同じく小声で喋る。
「構わん。俺も少し前に目を覚ましてた。と言うか、もっと寝ていて良いんだが。まだ早いぞ」
「そ、そういうわけには、」
「それに、お前はエリーが学園に行くまでここから出られないぞ。もし鉢合わせたら大変なことになるからな」
「あの…、私が今ここに居ることは、誰がご存知なのですか?」
「父上と母上、それと一部の騎士団員のみだ。誰が関わっているかもまだわからないから、エリーは勿論お前の家にも伝えていない」
そう…なのか。その方が良い。
エリーやローズが知らないのは心配をかけてしまうが、この件の真犯人は私の両親だ。私が生きていると知ったら、次はどんな行動に出るか予想が付かない。
「不思議な顔をするな」
「え?」
「心配とか、寂しいと言う顔をしているのにも関わらず、何処か安心してる顔をしてる」
「よく見ていますね」
「お前は分かりやすいからな」
そう言われ、顔をズイッと急に近づけられる。ひゃっと声を出して私は赤くなる。
「ほら」
ニヤリといやらしく口角を上げるエヴェレットは、いつもの好青年というよりも悪戯を楽しんでいる男の子だ。やられっぱなしは癪だ。此方もキッと睨み付けてグッと前のめりになる。
すると、エヴェレットは最初こそ少し驚いたが、すぐに笑って私の髪を手に取って耳にかける。私も同様のことをしたいが、エヴェレットは髪が短い。耳にかかるまでの長さがないのだ。
その代わりといってはアレだが、少し目にかかっている前髪をサラリと横に避けてやる。
それがいけなかった。
余計にエヴェレットと目が合う。私は目線を外すこともできず、口から声にならない吐息を溢すだけだ。
エヴェレットは私の指に自分の指を絡め、前に持ってきたかと思うと、私の手に優しいキスを落とす。
「っ、」
声を出す寸前、私の口にエヴェレットの空いてる手が当てられた。
「大声を出すな」
エヴェレットの手が離されると、私は小声で、しかし、ちゃんと圧がある様にエヴェレットを責め立てる。
「エヴェレット様が急にこんな事するから!」
「こんな事?何のことだ?」
「なっ、…、わ、分かってるくせに!」
「分からんな、何のことだ?言ってみろよ、レイア・ルーナマリア・リリー」
歪曲を描くその口元は愉しさと優越感を隠し切れていない。いや、隠す気もない。
私は悔しくて、その挑発にいとも簡単に乗る。それがエヴェレットの掌の上で、私は今面白い程に踊り狂ってるいうことも頭では理解していたが、我慢できない。
「わっ、私の手に、キッ……、きす、するから………、」
最後の方は本当にか細い声で、ほぼ音になっていなかった。キス、の所も声が産まれたての子鹿くらいにガクガクに震えていたし。
ああもう、何でこんなことに。そもそも、エヴェレットがこんな事するから。私の手に、キスなんかするから。
私はエヴェレットに八つ当たりをする。挑発に乗る自分が悪いのに。
全身が燃える様に熱い。全てが蒸発してしまいそうだ。私の体も、吐息も、何もかもが熱を孕んでいる。
俯いて唇を軽く噛み、羞恥心に耐えている私を見て、エヴェレットは深いため息をつく。手を額に当て、背中を反って天を仰ぐ様な体制になる。
「はあーーーーー、」
「……、エ、エヴェレットさま、」
「お前……、、本当に………はぁ……、」
「エッ、エヴェレット様は慣れているかもしれませんが、私は本当に慣れてないんです!特に、男性には!覚えといてくださいね!あまり揶揄っては嫌です!」
小声で、力強く訴えると、エヴェレットは小声でやっぱりかと呟く。やっぱり?何のことだ?気になる私を置いて、エヴェレットは部屋の時計をチラリと見る。
「そろそろ良いか。ほら、ここを出る準備をするぞ。使用人を呼ぶから後はいいな?」
「わ、分かりました」
そう言ってパタンと出ていってしまう。朝っぱらからこんな事をして情けない。
でも、エヴェレットも同類だ。そう思うことにする。向こうの方が何枚も上手だけど。
使用人の人が来てくれたので、私はその指示に従いここを出る準備をした。
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