31 / 35
君と密室に閉じ込められたけど拒まないで
2回戦-2
しおりを挟むアレンくんは優しい。
優しいアレンくんに触れたくて髪の毛に手を伸ばせば、一瞬動きが止まったがそのまま彼はまた再開した。
乱暴にでも何でも抱くと言った割には、1回目も私にとって楽で安心できる姿勢で抱いてくれた。
何度も何度もキスをしてくれた。
身体中を駆け巡るものに恐怖して泣き出してしまっても何も言わなかった。ただ黙って受け入れてくれた。
服を脱がす時も、アレンくんの手つきは割れ物を扱うようだった。だから、ダメダメと口で否定しても心からは恐怖心は沸き起こらなかった。
服を脱がせている間も、胸を舐め始めた時も泣きそうな顔をしていた。ただ、そんな表情をさせているのが申し訳なかった。
アレンくんは優しい。とても優しい。
1度目の性行為の後、抱きしめるように覆い被さってきたアレンくんの行動に喜びの余り震えた。
だが、私はどうしてもアレンくんが完全には受け入れられなかった。性行為をしたのにどこかまだダメだった。
こんな私にもアレンくんは優しい。
憧れてやまないのに、欲しくて仕方がないのに頭があまりにも拒むから心が悲鳴を上げた。素裸にされるまではどうしてもアレンくんのことを受け入れられなかった。それなのに服を脱がされたら変化した。自分の頑固な心が諦めたかのように萎んでいった。
そうすると今度は、ただ快楽の波に飲み込まれるだけでなく、乗りこなせるようになった。至難の技ではあるが…。
アレンくんの髪の毛は絹糸のようだ。美しい。
アレンくん、アレンくん、泣いてしまいそうなほど優しいね。
そうしているといつの間にか、ファンなのに、崇拝者なのに、そんな自分に課した縛りはいつの間にか忘れていた。
頑固な心もファンや崇拝者であるという設定の鎧も全て脱ぎ捨てて、やっとアレンくんについて真っ直ぐ考えることができるようになった。ファンなのも崇拝者なのも事実ではあるが、そうあることにいつの間にかそれに固執していたのも事実だ。だから、私の設定というのは語弊があまりない…。
誰よりも優しく美しいアレンくんは、今とても寂しげで小さく見えた。私のことを組み敷いて支配したのにもかかわらず不確かな存在に見えた。
そんな風に見えてしまったのを不思議だった。
改めてマジマジとアレンくんのことを見つめた。
真っ直ぐアレンくんのことを見つめるとやはり彼は誰よりも気高く美しかった。そして今までは気づかなかったが、ほんの少し構って欲しがり屋な私と同い年の男の子なのが伝わってきた。
この感覚はどう伝えれば良いのかわからないが、とにかく伝わってきたのだ。
あぁ、アレンくんごめんなさい。
私は、あなたの思いを踏みにじった事は後悔した。けれども、同じ人間だとは本当の意味では思っていなかった。
あなたはいつも芸術だった。ただ美の象徴だった。
もしかして、彼は私が彼のことを同じ人間だと認識しきれなかったのを気付いていたのかも知れない。傷つけてしまったな。
後で謝らないとと思いながら、また快楽にほんの少し身を委ねつつ、アレンくんの髪の毛に触れ続けた。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる