憧れの君と密室に閉じ込められたけど性愛じゃないから逃げないで!

真冬のラズビ

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君と密室に閉じ込められたけど拒まないで

1回戦-2

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「ア、アレンくん……あ、あの」

他の方法がないか探してみようよ。

だって、私と今そういうことをするのは嫌でしょう?
私、アレンくんの思い踏みにじってしまったから。


そう続けることは出来なかった。
アレンくんの口付けが降ってきたから。

顔を見てしまったら拒める自信がなくて、キツく目を閉じた。そして思いっきり顔を左に向けた。

状況がまだ上手く読み込めない。何でまたこの空間に入ったんだ。何で何で何で!気まずいのに、振ったばかりなのに何でなの。

拒むんだ拒むんだ拒むんだ。

アレンくんとそして気づいちゃいけない心の声を無視する最後の機会だ。これで上手くいかなかったらもう抗えない。確実にアレンくんのことを最後まで求めてしまう。
アレンくんの気持ちを聞いたのでもいっぱいいっぱいだったんだ。さらに後悔したので追い討ちをかけてしまった。これ以上は耐えられない。

醜い女なんだ、私は。
アレンくんの思いには絶対に応じてはいけない。一生後悔して生きるべき女なんだから。だからアレンくんのこと求めてはいけない。

第一私は、さっきアレンくんの思いを拒んだ最低な奴なのに、どうしてこんなことするんだ。
私なんか、モテない美しくない頭良くないのナイナイ尽だから、本来は立場を弁えて喜んではいけないのに嬉しい。

そして変な立場に拘ってアレンくんの思いを踏みつけたのになんで。

キス

キスをしてもらったから心が震えている。
体が芯から幸せだと大声で叫んでいる。
変なの、変なの!おかしいってこんなの。

アレンくんが欲しくて欲しくて仕方がなかったって言ってる。
体がそう叫んでて、口からも『アレンくんが欲しい』と今にも溢れてしまいそうだ。

馬鹿みたい、馬鹿みたい。
私、本当の本当に馬鹿。

これ以上馬鹿にならないためにも頑張るんだ私。
ここでアレンくんに流されたらダメ。
なんでダメなのかわからないけどダメ。
もうダメダメダメ。

告白を無かったことにしたのを後悔した瞬間から、何で何がダメなのかわからなかった。時間が経つごとに頭を左右に振ってアレンくんのキスを拒むたびに分からなくなっていく。
何で拒んでるの、さっき振って後悔したくせに。


混乱しているんだ私は。
だから今は、落ち着くために会話をすべきだと思う。
アレンくんは、きっと怒ってる。だから私にキスできるんだ。
正常じゃないからきっと、きっと、きっと、絶対に後悔しちゃうよ。話して冷静になろう。

そうだよ、アレンくん私たちはせっかくなんだから話合うべき。

自分が話し合いを拒絶して今の状況を引き起こしたと言っても過言ではないのに、私はまた訳の分からないことを考えている。わかってる。誰よりも自分が1番わかっている。

ただお願いだから行為までまだ時間が欲しい。
心の準備ができていない。否、心も体も準備できている。さっきから妙に粘ついた下半身も口に集まる唾液も、早すぎる鼓動も、もっと触れたいと期待してる指先も。何もかも準備できている。頭以外は全て。頭でっかちだから変に考え事してる。


本当はシンプルな答えが出ているのにも関わらず。

この状況下での答えなんて1つしかないのにね。
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