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憧れという君はこっちを見ない
心臓6
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覚悟していても耳を疑った。
そして動揺した。
「つ、付き合おうって
そんな無理しなくていいよ」
アレンくんそんなボランティア存在しないよ!自分のこと大切にしなよ!
君ほど美しい人間を求める人はこの世に沢山いるよ!安売りしないで
と続けそうになったが、さすがに自分が傷ついてしまう。短い間に準備した言葉だがどう伝わるのだろう。
予想はしていたが、やっぱり信じられない。もしかして、私の耳は遂にやられてしまったのか、いや、これは耳じゃない頭だ。頭がやられた。
あまりにもアレンくんのことを求めるあまりおかしくなっちゃったんだ。
喜びそうになったが、私が喜んではいけない。私はダメなんだ。
ここはアレンくんの名誉のために否定しないといけない。断らないといけない。喜んでたらダメなんだ。
「私は美しいアレンくんの幸せを祈っているよ。どうか今後も遠くから見守らせて欲しい。そしてお願いなのだけれども誰かと結婚する時は結婚式呼んで欲しい。今までありがとう。」
掌をグッと丸めて拳を作り、胸の前に持ってきてガッツポーズのような形をとる。完璧。
どこまでも愛してるアレンくん。君は神に愛されし青年。今も実はあまりの神々しさに涙が溢れてしまいそうだよ。なんたる幸福。
結婚式のところは単なる欲求満たすためだ。この美の化身の未来を覗きたいから。自分があまり干渉できないとわかっているから。
ここまで来てまだアレンくんと関わりを持ちたいだなんて、私はなんて強欲な人なのでしょう。呆れてしまうわ。
そう言いながらも心のどこかでは傷付いていた。何で私は断っているのだろう。馬鹿みたい。そんな風に思っていた。
嘘ついているのがバレて欲しくなくて、じーっとアレンくんの目を見る。
改めてじっくりと見ると少し驚いたようにも呆れたようにも見える。いろんな表情をできるようになったね。アレンくん。
挨拶を半分無視されてたのがここまで来ると感動のあまり咽び泣きそうになる。こんな状況でなければ。
これは後で咽び泣く。多分美しさと失恋で。絶対に鼻水塗れになる。アレンくん凄まじいよ。君は美の化身だ。君はいつも美しい。
これが正しいんだ。間違いなくそう。
今度こそ去らないと、多分、もうすぐごちゃごちゃした感情が波のように押し寄せて来る。
また感情的になるなんて出来ない。
やっと調子を取り戻したのだから。
じっと見つめていると、変化したアレンくんの視線に硬直した。
さっき振りですね。また怒ってる?
「これでもわからないの?もういいよ。リリアナは、ごめんね、リリアナさんは何がしたいの?本当リリアさんに期待しただけダメだった。」
そう吐き捨てるとアレンくんは背を翻した。
直感でアレンくんとこれまでの関係が壊れたとわかった。これまだでの関係だけでなく、これからの関係も消えた。
遅れて何をしでかしたのかをジワジワと気付いてきた。私は彼の思いを踏みにじったんだ。でも、仕方ない。仕方がないんだ。
ただアレンくんの言葉が反復する。
私は何がしたいの?
何がしたくてアレンくんの言葉、好意を踏みにじったの?
多分、今、私は、くだらない自分の立場を守ろうとするあまりに、半ば永久的にアレンくんのことを失った。
ジワジワと冷たい粘ついた冷たいものに体を覆われるが、後悔しても時既に遅し。
元々手に入れてすらなかったが、きっともう今までのようファンとして接することも許されない。
自業自得なのに、しばらくそこから動くことも声を発することも、何かを考えることもできなかった。
どれくらい経ったのだろうか。
数秒、数分、数十分かわからないが呆然としていたら、場の空気が変わっていた。
また"あの空間"に入ってしまった。
そう確信した。
驚いて顔を上げると怒りに満ちた目のアレンくんがいた。
そして動揺した。
「つ、付き合おうって
そんな無理しなくていいよ」
アレンくんそんなボランティア存在しないよ!自分のこと大切にしなよ!
君ほど美しい人間を求める人はこの世に沢山いるよ!安売りしないで
と続けそうになったが、さすがに自分が傷ついてしまう。短い間に準備した言葉だがどう伝わるのだろう。
予想はしていたが、やっぱり信じられない。もしかして、私の耳は遂にやられてしまったのか、いや、これは耳じゃない頭だ。頭がやられた。
あまりにもアレンくんのことを求めるあまりおかしくなっちゃったんだ。
喜びそうになったが、私が喜んではいけない。私はダメなんだ。
ここはアレンくんの名誉のために否定しないといけない。断らないといけない。喜んでたらダメなんだ。
「私は美しいアレンくんの幸せを祈っているよ。どうか今後も遠くから見守らせて欲しい。そしてお願いなのだけれども誰かと結婚する時は結婚式呼んで欲しい。今までありがとう。」
掌をグッと丸めて拳を作り、胸の前に持ってきてガッツポーズのような形をとる。完璧。
どこまでも愛してるアレンくん。君は神に愛されし青年。今も実はあまりの神々しさに涙が溢れてしまいそうだよ。なんたる幸福。
結婚式のところは単なる欲求満たすためだ。この美の化身の未来を覗きたいから。自分があまり干渉できないとわかっているから。
ここまで来てまだアレンくんと関わりを持ちたいだなんて、私はなんて強欲な人なのでしょう。呆れてしまうわ。
そう言いながらも心のどこかでは傷付いていた。何で私は断っているのだろう。馬鹿みたい。そんな風に思っていた。
嘘ついているのがバレて欲しくなくて、じーっとアレンくんの目を見る。
改めてじっくりと見ると少し驚いたようにも呆れたようにも見える。いろんな表情をできるようになったね。アレンくん。
挨拶を半分無視されてたのがここまで来ると感動のあまり咽び泣きそうになる。こんな状況でなければ。
これは後で咽び泣く。多分美しさと失恋で。絶対に鼻水塗れになる。アレンくん凄まじいよ。君は美の化身だ。君はいつも美しい。
これが正しいんだ。間違いなくそう。
今度こそ去らないと、多分、もうすぐごちゃごちゃした感情が波のように押し寄せて来る。
また感情的になるなんて出来ない。
やっと調子を取り戻したのだから。
じっと見つめていると、変化したアレンくんの視線に硬直した。
さっき振りですね。また怒ってる?
「これでもわからないの?もういいよ。リリアナは、ごめんね、リリアナさんは何がしたいの?本当リリアさんに期待しただけダメだった。」
そう吐き捨てるとアレンくんは背を翻した。
直感でアレンくんとこれまでの関係が壊れたとわかった。これまだでの関係だけでなく、これからの関係も消えた。
遅れて何をしでかしたのかをジワジワと気付いてきた。私は彼の思いを踏みにじったんだ。でも、仕方ない。仕方がないんだ。
ただアレンくんの言葉が反復する。
私は何がしたいの?
何がしたくてアレンくんの言葉、好意を踏みにじったの?
多分、今、私は、くだらない自分の立場を守ろうとするあまりに、半ば永久的にアレンくんのことを失った。
ジワジワと冷たい粘ついた冷たいものに体を覆われるが、後悔しても時既に遅し。
元々手に入れてすらなかったが、きっともう今までのようファンとして接することも許されない。
自業自得なのに、しばらくそこから動くことも声を発することも、何かを考えることもできなかった。
どれくらい経ったのだろうか。
数秒、数分、数十分かわからないが呆然としていたら、場の空気が変わっていた。
また"あの空間"に入ってしまった。
そう確信した。
驚いて顔を上げると怒りに満ちた目のアレンくんがいた。
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