憧れの君と密室に閉じ込められたけど性愛じゃないから逃げないで!

真冬のラズビ

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憧れという君はこっちを見ない

心臓5

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「何でいつも俺の話は聞かないの?
いつも自分ばっかり。自己完結する。
こっちのことをちゃんと見ようともしない。何も聞こうともしない。会話だってまともに成立しない。」

背中がヒヤッとした。
そんなことないと思いた。見てると言いたい。
だってアレンくんの癖とかわかるし。

でも、確かに私はアレンくんと関わることを避けてきた。そして今も避けようとした。

「俺はただの人間で、リリアナと同じ人間で、同じ時間を生きてて、同じように心があるのに、リリアナは1度も俺のことを同じ土俵に立たせなかった。」

そう吐き捨てるようにアレンくんは言った。
その姿は酷く寂しそうで泣きそうに見えた。

やっぱり何で?
何でリリアナ、私なんかにそんな感情的になっているの?私なんてアレンくんの感情を向けるのに価しない人間ですよ。

そうとぼけようとしたが、アレンくんの悲痛な顔を見て現実から目を逸せなくなった。

もしかして、私は今、彼に対して酷いことをしたのかも知れない。今まで最低なことをしていたのかも知れない。

ううん。まだ現実から目を逸らしてる。
私は最低なことをしたんだ。

感情を露わにしたアレンくんに
アレンくんのことを襲いたいとかそんな下品な気持ちを抱いちゃうような女だよ。だからそんな感情的にならないでとか身勝手なことを思った。

感情を露わにされたら怖い。
自分の罪がありありと突きつけられてしまうから。
ずっと交流を避けて、欲しい時にしたいように接して来た罪が。

「ごめんなさい…」
気が付いたらその言葉が出てきていた。


「俺は、」
それだけ言うと、アレンくんは何度か口を開いたり閉じたり、大きく呼吸をしたりし始めた。

まるで何かとてつもなく大きな勇気が必要な言葉を伝えたい。という風に。


なぜだか、続く言葉が何だかわかってしまった。けれども、その言葉が出て来たら否定しないといけない。

だって、だって、だって。
美しくも、可愛くも、賢くもない、汚い欲に塗れた私は、誰よりも美しいアレンくんには釣り合わないから。

何かを言おうと口を開くよりも先にアレンくんが行動した。


アレンくんが覚悟を決めたように見えた。そして口を開いた。

「俺は、リリアナと付き合いたい。
この2ヶ月近く過ごしてそう思った。
最初はどうであれ、いつの間にかリリアナが欲しくなった。」

私のことを見据える瞳は力強かった。
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