憧れの君と密室に閉じ込められたけど性愛じゃないから逃げないで!

真冬のラズビ

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憧れという君はこっちを見ない

心臓2

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「アレンくん、この前は資料ありがとう。」
アレンくんの方を向いて、その横顔を見ながらそう言った。

やはりアレンくんは今までで出会った誰よりも美しい。いつ見ても輝いている。
そのサラサラな髪の毛に、美しい鼻筋に触れたくなる。

「後2問でキリ良くなるからそれまで待って。」
アレンくんは、チラッとこっちを見るとそうとだけ言って勉強を再開した。

美しい声。一生聞いていたい。

アレンくんの態度にほんの少し安心した。避けていたこと怒っていないのかもしれない。もしかしたら、気にしてないかも。否、気付いていないのかも。

心がふわふわと軽くなる。

都合の良い考えだとはわかってる。
わかってるけど、そうでもしないとここにじっとして居られない。

5分ぐらいしただろうか。教科書を目で追っていると、アレンくんが息を吐きながら問題集を閉じた。

「話したいことがあるから、今からどこか2人になれるところに行こう。」

再び体に力が入った。

アレンくんの目を見つめて、頷いた。
首が錆びてしまったかのようで、ゆっくりとしか頷くことが出来なかった。

都合良く色々考えてしまったけれども、そうもいかないだろう。確実にそうはいかない。わかってる。
でも、きっと大丈夫。そう信じたい。

荷物をまとめながら何度も何度も『安心しよう』『もう逃げられない、頑張るしかない』『きっと大丈夫』そう自分に言い聞かせていた。

最低なことをしたのは自分なのにどこまでも都合がいい。恥ずかしいぐらいに。

ガラガラと引き戸を開けたアレンくんに続いて、教室に入ると、私が入ったのを確認してアレンくんは、そのまままた閉めた。

心臓が煩い、ここから逃げ出したい。
でも、逃げられない。逃げちゃいけない。立ち向かわないといけない。


最近、アレンくんに美しいって声かけてないな何てことを考えて気を紛らわせていた。

次に口を開く時は褒めないと、私はアレンくんのファンですから。うんうん。

もちろん、そんなことを無理矢理考えても手の震えは止まらない。これからどんな話をするのか予想出来るだけにそっちに意識が向かう。

多分アノこと。

少しの沈黙の後アレンくんは、徐に口を開いた。

「もう1ヶ月半以上、もう直ぐ2ヶ月経つけどあの日の話がしたいんだ。」

やっぱりね。
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