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憧れという君はこっちを見ない

賭け3

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次の日全くリリアナに会わなかった。
その次の日も遠くで見かけたと思ったら逃げられてしまった。

そして今朝も何も無し。
今日でもう今週が終わってしまう。


賭けが失敗した。


その事実が重くのしかかった。
1歩歩くのだけで大半だ。体が重い。
教室までの道のりが何千キロメートルもあるようだ。

リリアナと違う教室なのに、自分の教室に行くだけで辛いって変だ。
多分、今日ではなくて学校に来るのが辛いんだ。

ハーっとまた大きくため息をついてしまった。やっぱりダメだった。

今まで親の仕事に興味なんてなかったのに、聞いてデータを貰って、欲しいものを集めてまとめて渡した。自分本位過ぎたのかもしれない。性急だった。

だが、あれ以上にどのようにして距離を詰めればよかったんだろう。


賭けは失敗したが、親から魔族の事件についてのデータを貰えたのは幸運だった。俺自身が1ヶ月半前の出来事について色々知りたいと思っていたからだ。

変態的な話ではあるが、時折夢にリリアナが出て来て、その時はまるで友人のように会話でき、ある時は恋人のように勤しんでいる。
ただその夢を見る頻度があまりにも高いためさすがに不信感を抱いた。
だから、親にもらった情報に載っていて安心した。

因みにもちろん貰ったデータは、1度世の中に公表されたデータだ。俺を含め一般人に見せられないものは渡してくれなかった。見たければ多少は見れるかも知れないが。

それらをリリアナも欲しがる情報とほんの少し別のを混ぜてリリアナに渡した。
そしたらリリアナが何かしらの行動を取ってくれると思っていた。

これが賭けだった。
何でもよかった、とりあえずリリアナと話がしたかった。


計画不足で未熟な賭けだった。
最後の足掻きのような賭けだった。


親は今まで俺が仕事に興味を示してなかったため、喜んでいたが同時に訝しんだ。

『学校で魔族反応があったのは知ってる?』と言えば、なぜ知っているのかと矢継ぎに質問してきた。ただ『友人が』とだけ答えた。

言葉足らずだと思う。
けれども、あんな体験したと馬鹿正直に答えるはずがない。答えられるはずがない。

色々言って墓穴掘るのは得策ではない。

まだ聞き出そうにしていたが、それ以上答えない俺から何かを察したのか『役に立てて』とだけ言ってデータを渡してくれた。
そして『もっと知りたかったらその時は言って欲しい。』とも。

リリアナと一緒にもっと詳しい情報を見たかった。2人とも被害者だから、だからまずはあの事について話したかった。


もう1度ため息が溢れた。

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