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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい

10 ちょっと待ってください

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「とりあえず、一件落着かな?」

 ほっとしたように言うテオさん。いやちょっと待ってください。突っ込みどころしかないですよ!

「というか二人ってつきあってたんですか!?」
「そうだけど、マリアは知ってたと思ってたわ」

 嘘ですよね……。だって2人とも普通にしてましたし、隠してないんだったらイチャイチャしてくださいよ!
 ああ、もしかして両思いになったのはここ数日とか?

「ちなみにいつからおつきあいを……?」
「ドーマさんの依頼を受ける前の日かな。俺から告白したよ」

 パ ー テ ィ ー 組 ん で す ぐ で す ね!

 というかテオさんロールキャベツ系男子羊の皮を被った狼じゃないですか!女の人に抵抗なかったんですか!?

 それならなぜイチャイチャしない!?

 からかわれて2人で真っ赤になったりする初々しいシーンは!?

 宿でもバスの中でも普通だったじゃないですか!


「ていうか見てたら分かっただろ……」
「そんなに!?」

 宿に帰っての反省会。私から漏れ出ていた不満にラスターさんが答えた。
 つまり私がイチャイチャを見逃していただけだと、そういうことですか!?

「そりゃああれだけ一緒に行動してたら……って、お嬢だってデートのお膳立てしてたじゃねえか」
「ああ、買い出しですか?あれは2人に仲良くなってもらうために……それにあの時だって手をつないだりしてなかったじゃないですか」
「この2人の買い物にそんなのを期待してたのか?人前でそんな小っ恥ずかしいことするタイプじゃないだろ」

 そんな……

 乙ゲーじゃないとはいえゲームの世界ならもっと露骨にイチャイチャしてしかるべきでしょう!

「大体、マリアは明らかにからかう気だったでしょ。そんな状況で期待通りのことなんてしないわよ」
「お嬢はもっと女心を考えた方が良いな」
「ラスターさんに言われた!私一応女なのに!」
「まあ女心とかじゃなくて、からかわれたら俺も恥ずかしいしね」
「気遣いが痛い!」

 そうですか、そうですか。下世話な態度を改めろと!

「それで、私は知らないのにラスターさんは知ってたんですね……」
「その日にテオから報告されたからな。惚気込みで」
「ずるいです!私も聞きたかったです!」
「なんでだよ。他人の惚気話ほど面白くないものもないだろ」
「そっちこそなんでですか!リアル恋物語ですよ!少女漫画ですよ!昼ドラですよ!」
「少女まんが?昼どら?……とにかく、そんな良いものでもないだろ……」

「うーん、盛り上がってるところ悪いけど、反省は終わったみたいだし解散しようか」
「あっ、すみません!」

 途中から反省会のはの字もなくなっていたことに気付き、慌てて返事をする。
 リリーと宿の部屋に戻って、その日は私が眠くなるまで2人のことを根掘り葉掘り聞き出したのだった。


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みんなの感想(8件)

miya
2019.03.29 miya

三章楽しみに待ってます!!

紫野
2019.03.29 紫野

ありがとうございます!!

解除
智秋
2019.03.27 智秋
ネタバレ含む
紫野
2019.03.27 紫野

いつもありがとうございます!
テオさんは爽やかなキャラだったはずですが、作者も知らぬ間に腹黒に……
リリーは未だにいい人です笑
そして、伯父馬鹿とハサミは使い様ということですね!
頑張れマリア笑

解除
miya
2019.03.27 miya

めちゃめちゃ面白いです!マリア自身の恋愛とかあるんですかね?今後がとっても楽しみです!

紫野
2019.03.27 紫野

感想ありがとうございます!
楽しんでいただけて何よりです!
マリアのことも生暖かく見守っていただけると幸いです笑

解除

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