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秘密の放課後
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私は、嫌な汗をかきながら目に涙を浮かべ、ひたすら俯いていた。ゆきちゃんの足音が、目の前で止まる。そして、シャッと、カーテンを開けられた。次の瞬間、バコンッと、いい音がした。私が、ゆきちゃんの持っている名簿らしきもので頭を叩かれた音だった。恐る恐る、顔を上げると、そこには作り笑顔のゆきちゃん。
「雛、怒らないっていうのは、やっぱしなしにしていいか?」
「ご、ごめんなさい……」
……あれ?私、なにについて謝ってるんだろう?そして、ゆきちゃんはなにについて怒ってるんだろう?よく考えたら、私は「まだ」悪いことはしていない……はずだった。
「ゆきちゃん、私、なにか悪いことしたっけ……?」
「……そう言われてみると、してないな、うん」
「え、私、叩かれ損じゃん!」
私がベッドから立ち上がって、ゆきちゃんの肩を掴み、ガクガク揺さぶると、ゆきちゃんは情けない声を出してストップを求める。誰がストップするか!
と、私が家にいる時のノリでゆきちゃんに攻撃をしていると、今井先生の視線に気付いた。あ、嫌な顔してる。もしかして、もしかする?ヤキモチだったりする……?
「……佐藤先生、怪我人がいるんでしょう?もう行きますよ」
「え、あ、はいはい。こーら、雛、ここは学校なんだから、それらしくしろって」
今井先生は、さっさと保健室から出て行こうとする。ゆきちゃんも今井先生の後を追って、保健室から出て行こうとする。……ちょっと待ってよ、私も出なきゃ駄目じゃん!
慌てて二人を追いかけようとしたら、見事に足がもつれた。私は今井先生の足元にべしゃっと倒れて、またまた顔面を強打した。入学式の日の痛みが蘇ってきて、さらに痛い気分だ。
「おいおい、大丈夫か?雛」
「大丈夫ですか?佐藤さん。はい、手を貸してください」
「すみません……」
今井先生が、私の方を向いて手を差し伸べてくれる。……?今井先生が、唇だけ動かして、なにか言っている……。えーっと、つ・づ・き・は・ま・た・あ・し・た?……つ、つつ、続きって、さっきのあれの続きですか!?ほ、他になにもないよね、うん……あ。
「「あ」」
今井先生とゆきちゃんの声が、綺麗にハモった。立ち上がった瞬間、私の鼻から赤い液体が流れ出したのだ。その液体が流れ出る現象は、一般的には鼻血、と呼ばれていて……、……今日は厄日なのかもしれない、そう思った瞬間だった。
「雛、怒らないっていうのは、やっぱしなしにしていいか?」
「ご、ごめんなさい……」
……あれ?私、なにについて謝ってるんだろう?そして、ゆきちゃんはなにについて怒ってるんだろう?よく考えたら、私は「まだ」悪いことはしていない……はずだった。
「ゆきちゃん、私、なにか悪いことしたっけ……?」
「……そう言われてみると、してないな、うん」
「え、私、叩かれ損じゃん!」
私がベッドから立ち上がって、ゆきちゃんの肩を掴み、ガクガク揺さぶると、ゆきちゃんは情けない声を出してストップを求める。誰がストップするか!
と、私が家にいる時のノリでゆきちゃんに攻撃をしていると、今井先生の視線に気付いた。あ、嫌な顔してる。もしかして、もしかする?ヤキモチだったりする……?
「……佐藤先生、怪我人がいるんでしょう?もう行きますよ」
「え、あ、はいはい。こーら、雛、ここは学校なんだから、それらしくしろって」
今井先生は、さっさと保健室から出て行こうとする。ゆきちゃんも今井先生の後を追って、保健室から出て行こうとする。……ちょっと待ってよ、私も出なきゃ駄目じゃん!
慌てて二人を追いかけようとしたら、見事に足がもつれた。私は今井先生の足元にべしゃっと倒れて、またまた顔面を強打した。入学式の日の痛みが蘇ってきて、さらに痛い気分だ。
「おいおい、大丈夫か?雛」
「大丈夫ですか?佐藤さん。はい、手を貸してください」
「すみません……」
今井先生が、私の方を向いて手を差し伸べてくれる。……?今井先生が、唇だけ動かして、なにか言っている……。えーっと、つ・づ・き・は・ま・た・あ・し・た?……つ、つつ、続きって、さっきのあれの続きですか!?ほ、他になにもないよね、うん……あ。
「「あ」」
今井先生とゆきちゃんの声が、綺麗にハモった。立ち上がった瞬間、私の鼻から赤い液体が流れ出したのだ。その液体が流れ出る現象は、一般的には鼻血、と呼ばれていて……、……今日は厄日なのかもしれない、そう思った瞬間だった。
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