4月1日の母ちゃん

桜屋敷 櫻子

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ミッション4:しじみ・あさり・はまぐり

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 ディップという天使の出撃情報を見て、しじみは唸った。奴が動いているのは、それはそれで厄介にゃ、と。俺はしじみに説明を求めようとした。ディップという「おっさんの天使」はどういう存在なのか。しかし、しじみが俺に説明する前に、はまぐりがタブレットのようなものを取り出し、とある男の写真を見せてくれた。……おっさんだ。


    「ディップはぁ、天国に1人しかいない、天国所属脱走者追跡係なんだぁ。ボク的にはぁ、どうせ捕まるならぁ、死神よりも天使の方がオススメだよぉ。天使は死者も生者も罰さないからねぇ。あ、死神に捕まった場合のことも聞きたいぃ?」

   「……あんまり聞きたくないからいい」

   「そぉ?じゃあ、この話はこれでおしまいっていうことでぇ。じゃあ、作戦会議に戻ろうかぁ。しじみ、ボクはタイムリープのルールを一通り教えてあげるのがぁ、一番いい気がするんだけどぉ、君はそんな退屈なことはしたくないんでしょぉ?分かってるよぉ?」


 しじみは母ちゃんの肩に乗ったまま、明後日の方向を向く。あさり、はまぐり、この根性の曲がった死神猫は放っておいて、お前らがそのタイムリープのルールとやらを俺たちに教えてくれてもいいんだぞ?しかし、あさりもはまぐりも退屈していたわけで。俺と母ちゃんという、せっかくの退屈しのぎを失いたくはないだろう。期待は出来そうにない。俺が溜め息を吐いた、その時だった──。

 辺りに眩い光が広がった。しじみが舌打ちをして、母ちゃんの肩から飛び降りた。そして、しじみはどこからともなくガトリング砲を取り出し、光の中心へと構えた。しじみの声が響く。追手にゃ!ここはにゃーたちが引き受けるから大介と香織はリープするにゃ!!あさりも、はまぐりもそれぞれガトリング砲を構えた。俺は母ちゃんに促される。


 「行くわよ、大介!盾になってくれてる、あのおチビちゃんたちの為にも!!」


 切羽詰まっている母ちゃんの声。耳が辛くて、思わず唇を噛んだ。──そして、俺と母ちゃんは2度目のタイムリープをした。転移の瞬間、ガトリング砲が一斉射撃される音がした。心の中に申し訳なさと強い決意が生まれる。次に追手が来た場合は、俺が母ちゃんの盾になる。俺は、母ちゃんの為に命を懸ける。俺は、固くそう誓った。盾になってくれた、しじみ・あさり・はまぐりに。
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