4月1日の母ちゃん

桜屋敷 櫻子

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ミッション3:喋る猫を追え?

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   俺と母ちゃんが帰ると、ボロの実家の玄関先に猫がいた。なんだっけ、名前。悠介が拾ってきた、捨て猫の……なんか、海鮮っぽい名前で……あぁ、そうだ、しじみだ。しじみは荷物を抱えた俺をじっと見て、それから母ちゃんをじっと見て、口を開いた。

  そう、口を開いた。


    「にゃんだ、あんたらこの時間の大介と香織じゃないにゃ。何をやらかしたにゃ?」

    「「猫が喋った……」」

    「お約束の反応、ありがとにゃ」


    ぶっちゃけ、俺も母ちゃんも非現実的なことに慣れつつある。しじみが喋っても、非現実的な展開になる前ほど驚かない。しかし、だな。俺と母ちゃん(香織)がこの時間の俺と母ちゃんじゃないって分かるってことは、しじみもそっちの人間……いや、猫なのか?

    霊界とか天国の、関係者。いや、猫。


    「しじみ、お前、何者だ?」

    「にゃーは霊界所属派遣猫0814番にゃ。脱走者の確保、送還、その辺が仕事にゃ。大介はともかく、香織はなんか怪しいにゃ。霊界に問い合わせてみるかにゃ」


    ちょ、それは待って。今、手元に母ちゃんの銃火器とかないし追手から逃げられる気しないんだよ。俺は慌ててしじみを捕まえようとするが、腕をするりと抜けられた。

    そのまま、しじみは走っていく。悠介、お前、とんでもない猫を拾ってくれたよ。現代のしじみがどうしてるかは知らないけど、現代に戻ったら覚えておけ、しじみ!!
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