僕の恋人

ken

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「あ、こんにちは、野木さん!
野木さん、お子さんいらっしゃるんですね!」
保育園の帰りにオープンエアのカフェで葵と2人、お茶を飲みながら玲香さんを待っているとふいに声をかけられた。
目を上げると、何度か仕事を依頼した事のある左官職人の青年が立っていた。
「あ、こ、こんにちは。あ、ご無沙汰しております。えと、原田さんのとこの…山田さんですよね?」
「はい、山田です。山田斗真です。」
「あ、お世話になってます。」
「こちらこそ。僕、社長が持ってた野木さんの名刺たまたま見て、斗の字が一緒だったんで、なんか勝手に親近感持ってて。僕、おんなじ斗に真実のシンって書いて、とうまって読むんです。」
「あ、そ、そうでしたか。」
「可愛いお子さんですね!こんにちは。」
「こんにちは。のぎあおい、4歳です。」
「わぁ!すごい!!お利口さんですねー。こんにちは。やまだとうま、28歳です。」
「ふふ、あおちゃんまだ3歳でしょう?」
「もう4歳だもん!」
「あおいくん、野木さん、僕もお茶仲間に入れてください。」
「もちろん。どうぞどうぞ。」
「どーぞどーぞどーぞどーぞ」
「すみません、親子水入らずをお邪魔して。」
「あ、あの。兄の子なんです。甥です。」
「ママ待ってるの。お仕事終わるの待ってるの。」
「あー、そうでしたか!可愛い甥っ子さんですね。良いなぁ。」

原田左官は東京にある小さな左官屋だが、少数精鋭の職人が集まった、とてもクオリティの高い技術を持つ会社だ。特に社長は建築を知り尽くしたプロフェッショナルで、彼が育てた職人は皆意欲があって確かな技術で、勉強熱心な人達ばかりだ。デザイン性の高い仕事や技術的に難しい仕事は彼らにしか任せられないものも多く、建築業界ではレジェンド的な会社だった。国内外の新しい素材への研究も熱心で、メーカーによっては指定業者になっていたりする。山田さんはその中では若手の職人さんで、丁寧な仕事はもちろんの事、明るく愛想が良いのでクライアントがよく現場に見に来る案件では特に重宝されている。
今もあっという間に葵と仲良くなって、何やら楽しそうに遊んでいる。僕にはとてもできない。葵は別だが、他の子供とはこんな風にすぐに仲良くはできない。すごいな~と思いながら眺めていると、葵に見せた楽しげな笑顔のままふっとこっちを見て、その笑顔の眩しさになぜか胸がドキッとした。その笑顔のまま
「ゆうとって読むので合ってます?」
と言われて、自分の下の名前の読み方を聞かれたのだと気付くのにほんの少し時間がかかった。
「あ、はい。そうです。ゆうとです。」
「そっか~。まさとさんかゆうとさんかどっちだろうって思ってたんです。優斗さんって呼んでも良いですか?」
「え?あ、はい。はい大丈夫です。」
「良かった!僕の事もとーまって呼んでください。」
花が咲くような笑顔で言われて、思わず目を逸らしてしまった。
「とーま!」
葵が言う。
「こらこら。とーまさんだよ。」
「いいよ、とーまで。」
「とーま、あおの家おいでよ。ママ来たらさ、一緒に。今日優にーにとママと3人で手巻き寿司なんだよ。とーまも一緒に手巻き寿司しよ。」
「えー!良いなぁ!!手巻き寿司大好き。でもママびっくりしちゃうよ。」
「こらこら、あおちゃん。急過ぎるよ。とーまさんも用事あるかも知れないしね。」
「え~だってとーま手巻き寿司大好きって言ってるよ。優にーにのお友達でしょ?ママ絶対良いよって言うよ。とーま、用事あるの?」
「うーん、用事はないんだけど…
あ、でも。また今度にしようかな。今度さ、ちゃんとママに前もって聞いといてよ。」
「すみません、あお、お客さんが大好きで。」
「いえいえ、またぜひ誘って下さい。あ、あの…  連絡先とか、交換したり…
あ、もし、嫌じゃなければ。」
「あ、はい。僕、仕事もプライベートも同じ携帯なので。」
そう言って僕は名刺を渡した。

それから2ヶ月後に、山田さんと現場で出くわした。内装にモールテックスという特殊な素材を使っていて、この素材は扱える職人が限られているため、原田左官の職人が来る事は分かっていた。誰がくるのだろうと、少し気になっていた。現場で山田さんの顔を見た時、気持ちがふわっと浮き上がる感じがした。良かった、山田さんだ。その時初めて自分が山田さんだと良いなと思っていたんだと、彼にまた会いたいと思っていたんだということに気付いた。山田さんは僕の顔を見て、
「優斗さん!お久しぶりです!!」
と満面の笑顔で駆け寄って来てくれた。キラキラキラと、擬音語が聞こえてくるような笑顔だった。
「あ、どうも、お疲れ様です。この間はありがとうございました。」
「僕、立候補しちゃったんです、野木さんの物件だったから!!」
「え?あ、あ、そうでしたか。あ、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「カッコいいですね~!野木さんの図面はすぐに分かります。図面が既に美しいんです。」
僕は体温が急に上昇し、顔が赤くなっていくのか分かった。すぐに赤くなるのは僕のコンプレックスで、僕は恥ずかしくてますます顔が赤くなっていく気がして、何も言えず俯いた。
「お、分かります?山田さん、良いっすねぇ!野木さんの図面の良さ、分かるんだー!俺もね、野木さんの図面のファンですから!楽しいっすよね~、美しい図面の現場は!」
「あ、戸塚さん、よろしくお願いします。ちょっとちょっと、戸塚さんがライバルだったなんて笑」
冗談を言い合う山田さんと営業の戸塚さんから、僕はそっと離れた。これ以上あそこにいたら恥ずかしくて顔が熱くなりすぎ、鼻血が出てしまうかも知れない。
僕が外で火照った顔を冷やしていると、隣に山田さんが来た。
「あ、あの、優斗さん。今晩、もし、もし良かったら、ご飯でも食べに行きませんか?あ、ぼく、今回初めて最初から最後まで1人で任されて。なんか、緊張しちゃって。」
何度ももし良かったらと繰り返す彼に、僕は思わずもちろん!と言ってしまった。親しくない人と食事に行くのはとても緊張するので、いつもはなるべく避けていたのに。人は、どうやら自分より緊張している人を目の前にすると、自分の緊張を忘れてどうにか相手の緊張を解いてあげたいと思うものらしい。
「はい、もちろん。行きましょう、ごはん。」
「やった!嬉しい!どこ行きますか?」
「あ、山田さんのお好きなところで。僕、なんでも食べられます。」
「えー!とーまって呼んでくださいって言ったじゃないですか~?ぼくだけ優斗さんって呼んでたら、変じゃないですか~。」
「あ、す、すみません。と、斗真さん。斗真さんの好きなところで。」
「さんも…… 
ま、いっか。あ、ご自宅ってどの辺ですか?近いところが良いですよね。」
「えと、目黒区です。自由が丘。」
「わあ!やっぱり素敵なとこに住んでるんですね、建築家さんって。」
「いや、そんなんじゃないです。兄と住んでるんです。時々兄の子、あ、この間お会いした時に一緒にいた葵を預かったりするので。」
「あ、あおくん!!可愛かったなぁ。またぜひご一緒に遊ばせて下さい。」
「あ、ぜひ。あおも喜びます。お子さんいらっしゃるんですか?」
「ぼく?ぼくはいません。」
「あ、なんか、すごくお上手だったんで、子供の相手。あおとすぐに打ち解けてくれたから。」
「歳の離れた妹がいるんです。と言っても今中学生で、絶賛反抗期です。うち、母はシングルなので、父親がわりになっちゃったのか、特にぼくに対して反抗期で…笑」
「きっと、良いお兄さんなんでしょうね。反抗できるって安心してるって事だと思います。」
「そうだと良いです。
あ、だからぼく、子供はいなくて、独身です。フリーです。」
「そうなんですね。」
「はい。じゃあ自由が丘まで行きます。」
「斗真さんはどちらに?」
「ぼく、鶴見なんです、横浜の。」
「じゃあ自由が丘まで来てもらうのは申し訳ない。中間にしましょう?どこが良いかな。」
「じゃあ、大井町はどうですか?京浜東北線で一本で帰れます。」
「分かりました。7時に大井町の駅で。」
「はい。7時に。」
「ぼく、あんまり外食ってしないから、もし良ければ優斗さんお店…
あ、でも、ぼくから誘っておいてそれはないか。すみません!」
「いや、良いですよ。兄や義理の姉に聞いてみます、詳しいから。
あ、元義姉?離婚してるんです、葵のママと兄。でも仲は良いんですけど…
あ、なんか、すみません!こんな個人的な事ベラベラと。
と、とにかく、誰かに聞いてみます。お店、調べておきます。」
「ありがとうございます!助かります!」
僕達はどこかぎこちなく約束を交わした。あたふたと慌てる斗真さんが、逆に僕の緊張をほぐしてくれた。

内装の各セクションの職人さんや営業担当の方と軽く打ち合わせして、事務所に戻ったのはもう夕方だった。玲香さんに大井町のお店をメールで尋ねていた、返信が来ていた。幾つかのお店の情報の後に
「わざわざ私に聞くって事は、デート??」
と、目がハートの顔の絵文字と共に送られて来た。途端になぜか、胸がドキドキしてしまう。そんなんじゃない。第一、斗真さんはきっと彼女が…
「独身、フリーです!」
そう言う斗真さんの顔が思い浮かぶ。
「立候補しちゃったんです。」
キラキラと溢れるような笑顔が浮かび、さらに胸がドキドキしてしまう。
僕はどうしちゃったというんだろう。こんなのきっと気持ち悪い。仕事を依頼する立場だから、セクハラ?少なくともパワハラになるかも知れない。どんな顔して会えば良いのだろう。いっそ、都合が悪くなったって言って断ろうか、そんな事まで考え出した矢先、ピロンと携帯が鳴りショートメッセージが届いた。
「今日、楽しみにしてます!お店、僕もちょっと調べてみました。ネット情報ですが。」
ピロン、ピロンと立て続けに携帯が鳴り、お店のURLが貼り付けられてきた。
その中の一軒が、玲香さんが送ってくれたリストの中にもあったので、そこに電話をして予約をした。予約をしたら、途中で怖気付いて行かない、なんて選択肢を排除できる。それからは、仕事をしていてもどうしても集中できず、僕は定時と同時にさっさと仕事を切り上げた。

約束の7時より30分以上も前に大井町の駅に着いた。緊張はピークだった。どうして約束なんてしてしまったんだろう。兄や葵、玲香さん、翠ちゃんと渚ちゃんを除けば誰かと2人きりで食事をするのは久しぶりだった。酷い対人恐怖は乗り越えたつもりだったけど、いまだに人と接するのは苦手だ。うまく喋ることもできないし、きっと嫌われてしまう。これから1か月以上も仕事をするのに、嫌われたらどうしよう。そう思うと吐きそうになる。
「僕は大丈夫。何もおかしくない。」
駅のトイレで鏡に向かって心の中で言い聞かせる。

トイレを出ると、改札から出て来た斗真さんが見えた。自分の心臓の音が聞こえそうだった。キョロキョロと辺りを見ながら改札から出てくる斗真さんは、人混みの中でも一際鮮やかに僕の目には映った。28歳と言ってたけど、もっとずっと若く見える。シンプルな黒いズボンに鮮やかな花柄の上着が良く似合っている。僕だったら絶対にチャレンジできない柄だけど、すごく素敵だ。仕事の時とは全然違う印象に、もう胸が苦しくなるくらいドキドキしてきた。

「あ、優斗さん。」
まるで今気付いたたかのように手を挙げて挨拶する。
「こんにちは。あ、こんばんは。」
それから、どうやってお店まで行ったのかはよく覚えていない。
でも、一杯目のビールを飲み干した頃には少し落ち着いてきた。
「ごめんなさい、僕、話すのそんなに得意じゃなくて。つまらないですよね。」
「そんな事ないですよ!楽しい。」
斗真さんはいろんな事を喋ってくれた。彼は本当に仕事が好きで、そして美しい建築物が大好きだった。僕達はいくつかの名建築の壁の仕様の話で盛り上がり、植栽の話や石の美しさなど、共通の話題は尽きなかった。彼は僕が吃ったりうまく言葉が出てこなくても嫌な顔せずに待ってくれて、僕はあんなに緊張していたのが嘘のようにいつになくリラックスして話ができた。僕達はビールを何杯か飲み、ワインを1本空けた。初めて食事をする人とこんなにアルコールを飲んだのは初めてだった。酔っても変わらずゆったりとした口調で穏やかに話す斗真さんの声は、不思議と僕を落ち着かせてくれた。楽しかった。

駅まで帰る道すがら、突然斗真さんが立ち止まった。
「優斗さん、ぼく、ゲイなんです。それで…ぼ、ぼく、また、優斗さんと会いたいです。仕事抜きで。つまり…その…」
斗真さんはお酒のせいかほんの少し赤くなった顔で真っ直ぐ僕の目を見て言った。
「あの。ぼく…
ぼく、優斗さんの事が好きです。恋って意味で、好きなんです。あの、気持ち悪いかも知れないけど、1年くらい前の現場で、好きになったんです。ずっと、きれいな図面を描く人だなって思ってて。優斗さんの作る家、すごく美しくて、現場での優斗さん見て、ますます好きになって。この前偶然カフェで見かけて、それでぼく、告白しようって決めてたんです。」
不安そうに俯く斗真さんを見ると、胸が締め付けられそうな気持ちがした。申し訳なさでいっぱいになる。
僕は、勇気を出して返事をした。
「僕もゲイだと思います。たぶん。僕、恋をした経験が一度しかなくて、だからたぶん。たぶんゲイです。
僕、今日とっても楽しかったし、また斗真さんと会いたいと思ったし、今日、ここに来る前、緊張して吐きそうで、駅で斗真さんを見たらドキドキしました。斗真さんの方が気が付いたってフリしましたけど、本当はちょっと前に僕斗真さんのこと気付いてた。でもドキドキして声をかけられなかった。僕も斗真さんの事、好きなんだと思います。」
斗真さんは泣いていた。
「嬉しい…」
僕は、罪悪感が込み上げてきた。僕はこんな素敵な人の恋人にはなれない。
僕は……
「僕、でも、僕は…
斗真さんみたいな素敵な人と付き合ったりできる人間じゃないんです。ずっと、もう人を好きになんてなっちゃいけないと思ってきたんです。もう、ずっとこれから1人で生きてくんだろうなって思ってた。」
「え?どうして?」
斗真さんはたちまち悲しい顔になった。表情がクルクル変わる。きっと素直で真っ直ぐな人なんだろうな。
僕は悲しくなった。
「ごめんなさい。」
斗真さんの顔が、もう見られない。
俯いた僕の手を、斗真さんがそっと握った。斗真さんは中腰になって、俯いた僕に目線を合わせてくれた。
「優斗さん、ぼく達、付き合います!
そんなの嫌だ。好きな人が、自分の事を好きになってくれる確率なんて、何%だと思います?奇跡です、そんなん!
そんなチャンス逃すなんて、嫌です。ぼく嫌だ。このまま、優斗さんと会えないとか、仕事で会ってももぎこちなくてとか、嫌だよ。優斗さんに何があってもう恋しないって決めたか分からないけど、もしぼくが好きなら、頑張って。頑張って下さい。お願い。何でもするから。優斗さんの傷が癒えるなら、ぼくなんでもするよ。一緒にいたい。それだけだから。
ぼく、本当に優斗さんが好きなんだ。優斗さん知らないと思うけど、ぼく、ずっと現場で優斗さんの事見てたんだ。誰にでも優しくて、控えめで、正直で、自分より他人の事を優先する。仕事に誠実で、優秀で、でも時々悲しそうな瞳をする。頑張って笑顔作ってる時あるのも、知ってる。ねえ、ぼくも、ぼくにも分けて下さい、優斗さんの傷を。」
僕は驚いてしまった。そんなにも前から、こんなにも強く自分の事を好きと思ってくれてたなんて。僕は、恋が始まったのかも知れないと思っていたけど、斗真さんにとっては違ったんだ。これは始まりじゃないんだ。

「僕、良い恋人にはなれないと思う。だから…」
「ぼくは、良い恋人が欲しいんじゃない!優斗さんと一緒にいたいだけなんです。現場でふっと辛そうな表情をする時、優斗さんを抱きしめたいって、ずっと思ってた。それだけなんです。」
「ありがとう。」
「今、抱きしめて良いですか?」
「うん。」

斗真さんは僕よりほんの少し背が低くて、でもずっとがっしりした筋肉で、抱きしめられるとフワリと斗真さんの髪の匂いがした。斗真さんに背中を優しくさすられていると、僕は自分が震えている事に気付いた。怖かった。
僕は、また優しさを求めて溺れてしまわないだろうか。また、縋って奴隷になってしまわないだろうか。嬉しさと怖さがちょうど半々で、頭が酷く混乱した。


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