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発覚
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乳首の傷が回復しても、ぼくの心はもう元には戻らなかった。
感覚が鈍くなり、痛みも苦しみも、もうぼんやりとしか感じなくなった。もっと早く、こうなれば良かったとぼくは思った。何をされてももう構わなかった。
「すごいね。すごいフェラだ、こんな上手なフェラは初めてだよ。さすが、よく躾けられてる。」
「ンフッ、、ハゥ、、、」
ぼくは何も考えず一心不乱に性器にむしゃぶりつき、喉と舌を使って射精に導いた。まるで精巧に作られた性玩具のように、性器の反応にだけ集中してそれに合わせて舌や喉を使った。どれだけ長い時間でも、どれだけ激しく突かれても、無になった心は耐えられた。時折身体が生理的な限界を迎えて意識を失った。それでも叩き起こされると何事もなかったように奉仕を続けた。
ぼくの乳首にピアスをした男は、それから度々ぼくを買った。そのピアスにチェーンを付けて咥えさせながらそれを引っ張って甚振ったり、そのチェーンを一つにまとめて勃起させたぼくの亀頭に取り付けた輪っかに繋いだりして遊ぶのだった。肛門に乱暴に挿入された苦痛でぼくの性器が萎えると、チェーンが引っ張られて乳首が千切れそうになる。それでぼくは、肛門に挿れられながら勃起を維持できるようになった。身体は挿入の痛みを快感と認識するようになり、ぼくの心とはもう全く関係なく、命じられたら射精もできるようになった。
ぼくは変えられていく自分自身の身体を、どこか他人のもののような感覚で受け止めた。こんな身体、どこまでも変えられれば良い。
ぼくはひたすら、世界が粉々になる瞬間だけを想像した。
男に跨って性器を咥え込んでなるべく淫らに見えるように腰を振りながら。
命じられるままに男の目の前に爛れて赤く腫れ上がった肛門を突き出し、弄くり回されながら男の性器を自ら喉につきたてて。
自分で数を数えさせられながら鞭で打たれて、背中から血を流しながらそれでも勃起させて嬌声をあげてみせながら。
ぼくの頭には常にガラガラと崩れて粉々になる歌舞伎町のビルの映像が流れていた。吉田君と一緒にボタンを押すスカイツリーの映像は、絶対に思い浮かべないようにした。男達の精液にまみれながら吉田君の事を考えると、何もかもがぐちゃぐちゃに穢れる気がして、男たちの前では吉田君の事を考えないようにした。
だから、粉々になる街の事だけ思い浮かべた。
そして夜、アパートで痛みと疲労にぐったりと身体を丸めて眠る時、ぼくは吉田君の事を考えた。爆弾を一緒に作る様子や、吉田君と夜中に吉田君の前に通っていた学校に爆弾仕掛ける光景を、詳細に何度も思い浮かべた。スカイツリーで一緒にスイッチを押すところも。そうすると、夢も見ずにぐっすり眠る事ができた。
お前、もう頭のてっぺんから爪先まで完璧な便器になったな。
店長にそう言われて、ああ、やっと人間を辞める事ができたんだ、と思った。ぼくはもう泣いて嫌がったり恐怖に震えたりしなくなった。涙は自由自在に、男達の要求に応じて流す事ができた。あまりの激痛に体が痙攣していても、心はずっと無のままだった。
吉田君に客といるところを見られたのは、そんな頃だった。客の男に求められるままに、ファミレスでデートをしていた。その男は、本当の恋人のように振る舞わせたがる人だった。
ファミレスのボックス席のシートに横に並んで座り、指を絡ませるように手を繋いでいるぼく達は、どう見ても援助交際してる中学生と買ってる親父だった。周りの客にジロジロと侮蔑的な眼差しで見られても、ぼくは一向に構わなかった。男の要求を察知して彼の気にいる言葉を言い、気にいる仕草をする事、その事だけに集中していたから、吉田君に全く気付かなかった。
「花森君、何してるの?」
そう言われてふと顔を上げた時は、男はぼくの胸元に手を突っ込んで乳首のピアスを指で弾きながら首の後ろを舐めていた。
「ンフッ、、やめてよ、リョースケさん。くすぐった…」
耳元で、嬌声に聞こえるようにゆっくりと囁いている途中で、一瞬目の前にいるのが吉田君だとは信じられなかった。
「あ、あ…」
何も言えず目を見開いて固まるぼくの前で、吉田君も口をあんぐり開けて硬直して立ち尽くしていた。
ぼくを買った男はすぐに状況を察知したようで、さも楽しげに見るも悍ましい下卑た笑顔を貼り付けて笑い声を上げた。
きっとぼくの顔にも同じように下卑た、媚びを含んだ笑みが張り付いているのだろう。
「学校のお友達かな、は・な・も・り・君♡」
男は嬉しそうに言った。
ぼくは衝撃からなんとか立ち直り、なんとか声を絞り出した。
「だ、誰かと間違えてるんじゃない?ぼくは花森なんて名前じゃないよ。」
「そっか、そうなんだ。誰と間違えたんだろうね~。」
「ッア!!ッック…」
「どうしたのかな~?カケルくん?」
「ッア、な、なんでもない。と、とにかく、人違いだから。」
男に言われてファミレスのトイレで自ら肛門に咥え込まさせられたバイブの振動を、吉田君の前で男はMAXにした。
強すぎる振動に下半身がガクガクと震えるのをなんとか堪えていると、困惑したままその場を動かない吉田君が心配そうに覗き込んだ。
「花森君、どうしたの?この人、誰?お父さん?なんか、具合悪そうだよ。大丈夫?」
「フフフハハハ!なんか愉快なシチュエーションだなぁ。君、ここに座る?
カケルくん、意地悪しちゃダメだよ、ちゃんと教えてあげないと、お友達に僕達の関係をさ。学校のお友達は知らないのかな、カケルくんが本当は淫乱な性奴隷だってこと。」
吉田君は口をあんぐり開けたまま顔を真っ赤にした。反対にぼくの顔からは血の気が引いて、ぼくは地球が粉々に砕ける様を何度も何度も思い浮かべた。吐き気がした。座っているのがやっとだった。
その後のことはよく覚えていない。
男は吉田君の前で満足するまでぼくを辱めると、伝票を持って立ち上がった。
ぼくは手を引かれて、覚束ない足取りで唖然とまだ立ち尽くしている吉田君の脇を通り過ぎて、男に連れられその場を後にした。
ホテルに着くと男はやたらに興奮していて、何度も何度も犯された。精液やローションでベタベタの男のものを口で清めている間、男はずっとあの男の子の名前を言えとぼくを脅した。
「言わないと鞭で打つよ。」
「ごめんなさい、分かりません。本当に人違いで。」
「は?そんなわけねぇじゃん。おい、口止めんじゃねーよ。」
「はい、ごえんあはい。」
「言わないつもりなら店長にクレームつけようっと。厳しく折檻されるんだろ?」
「……」
ぼくは何を言われてももう黙っていた。
好きにすれば良い。
最後には男は諦めて、腹いせにぼくを鞭で何度も叩いた。
感覚が鈍くなり、痛みも苦しみも、もうぼんやりとしか感じなくなった。もっと早く、こうなれば良かったとぼくは思った。何をされてももう構わなかった。
「すごいね。すごいフェラだ、こんな上手なフェラは初めてだよ。さすが、よく躾けられてる。」
「ンフッ、、ハゥ、、、」
ぼくは何も考えず一心不乱に性器にむしゃぶりつき、喉と舌を使って射精に導いた。まるで精巧に作られた性玩具のように、性器の反応にだけ集中してそれに合わせて舌や喉を使った。どれだけ長い時間でも、どれだけ激しく突かれても、無になった心は耐えられた。時折身体が生理的な限界を迎えて意識を失った。それでも叩き起こされると何事もなかったように奉仕を続けた。
ぼくの乳首にピアスをした男は、それから度々ぼくを買った。そのピアスにチェーンを付けて咥えさせながらそれを引っ張って甚振ったり、そのチェーンを一つにまとめて勃起させたぼくの亀頭に取り付けた輪っかに繋いだりして遊ぶのだった。肛門に乱暴に挿入された苦痛でぼくの性器が萎えると、チェーンが引っ張られて乳首が千切れそうになる。それでぼくは、肛門に挿れられながら勃起を維持できるようになった。身体は挿入の痛みを快感と認識するようになり、ぼくの心とはもう全く関係なく、命じられたら射精もできるようになった。
ぼくは変えられていく自分自身の身体を、どこか他人のもののような感覚で受け止めた。こんな身体、どこまでも変えられれば良い。
ぼくはひたすら、世界が粉々になる瞬間だけを想像した。
男に跨って性器を咥え込んでなるべく淫らに見えるように腰を振りながら。
命じられるままに男の目の前に爛れて赤く腫れ上がった肛門を突き出し、弄くり回されながら男の性器を自ら喉につきたてて。
自分で数を数えさせられながら鞭で打たれて、背中から血を流しながらそれでも勃起させて嬌声をあげてみせながら。
ぼくの頭には常にガラガラと崩れて粉々になる歌舞伎町のビルの映像が流れていた。吉田君と一緒にボタンを押すスカイツリーの映像は、絶対に思い浮かべないようにした。男達の精液にまみれながら吉田君の事を考えると、何もかもがぐちゃぐちゃに穢れる気がして、男たちの前では吉田君の事を考えないようにした。
だから、粉々になる街の事だけ思い浮かべた。
そして夜、アパートで痛みと疲労にぐったりと身体を丸めて眠る時、ぼくは吉田君の事を考えた。爆弾を一緒に作る様子や、吉田君と夜中に吉田君の前に通っていた学校に爆弾仕掛ける光景を、詳細に何度も思い浮かべた。スカイツリーで一緒にスイッチを押すところも。そうすると、夢も見ずにぐっすり眠る事ができた。
お前、もう頭のてっぺんから爪先まで完璧な便器になったな。
店長にそう言われて、ああ、やっと人間を辞める事ができたんだ、と思った。ぼくはもう泣いて嫌がったり恐怖に震えたりしなくなった。涙は自由自在に、男達の要求に応じて流す事ができた。あまりの激痛に体が痙攣していても、心はずっと無のままだった。
吉田君に客といるところを見られたのは、そんな頃だった。客の男に求められるままに、ファミレスでデートをしていた。その男は、本当の恋人のように振る舞わせたがる人だった。
ファミレスのボックス席のシートに横に並んで座り、指を絡ませるように手を繋いでいるぼく達は、どう見ても援助交際してる中学生と買ってる親父だった。周りの客にジロジロと侮蔑的な眼差しで見られても、ぼくは一向に構わなかった。男の要求を察知して彼の気にいる言葉を言い、気にいる仕草をする事、その事だけに集中していたから、吉田君に全く気付かなかった。
「花森君、何してるの?」
そう言われてふと顔を上げた時は、男はぼくの胸元に手を突っ込んで乳首のピアスを指で弾きながら首の後ろを舐めていた。
「ンフッ、、やめてよ、リョースケさん。くすぐった…」
耳元で、嬌声に聞こえるようにゆっくりと囁いている途中で、一瞬目の前にいるのが吉田君だとは信じられなかった。
「あ、あ…」
何も言えず目を見開いて固まるぼくの前で、吉田君も口をあんぐり開けて硬直して立ち尽くしていた。
ぼくを買った男はすぐに状況を察知したようで、さも楽しげに見るも悍ましい下卑た笑顔を貼り付けて笑い声を上げた。
きっとぼくの顔にも同じように下卑た、媚びを含んだ笑みが張り付いているのだろう。
「学校のお友達かな、は・な・も・り・君♡」
男は嬉しそうに言った。
ぼくは衝撃からなんとか立ち直り、なんとか声を絞り出した。
「だ、誰かと間違えてるんじゃない?ぼくは花森なんて名前じゃないよ。」
「そっか、そうなんだ。誰と間違えたんだろうね~。」
「ッア!!ッック…」
「どうしたのかな~?カケルくん?」
「ッア、な、なんでもない。と、とにかく、人違いだから。」
男に言われてファミレスのトイレで自ら肛門に咥え込まさせられたバイブの振動を、吉田君の前で男はMAXにした。
強すぎる振動に下半身がガクガクと震えるのをなんとか堪えていると、困惑したままその場を動かない吉田君が心配そうに覗き込んだ。
「花森君、どうしたの?この人、誰?お父さん?なんか、具合悪そうだよ。大丈夫?」
「フフフハハハ!なんか愉快なシチュエーションだなぁ。君、ここに座る?
カケルくん、意地悪しちゃダメだよ、ちゃんと教えてあげないと、お友達に僕達の関係をさ。学校のお友達は知らないのかな、カケルくんが本当は淫乱な性奴隷だってこと。」
吉田君は口をあんぐり開けたまま顔を真っ赤にした。反対にぼくの顔からは血の気が引いて、ぼくは地球が粉々に砕ける様を何度も何度も思い浮かべた。吐き気がした。座っているのがやっとだった。
その後のことはよく覚えていない。
男は吉田君の前で満足するまでぼくを辱めると、伝票を持って立ち上がった。
ぼくは手を引かれて、覚束ない足取りで唖然とまだ立ち尽くしている吉田君の脇を通り過ぎて、男に連れられその場を後にした。
ホテルに着くと男はやたらに興奮していて、何度も何度も犯された。精液やローションでベタベタの男のものを口で清めている間、男はずっとあの男の子の名前を言えとぼくを脅した。
「言わないと鞭で打つよ。」
「ごめんなさい、分かりません。本当に人違いで。」
「は?そんなわけねぇじゃん。おい、口止めんじゃねーよ。」
「はい、ごえんあはい。」
「言わないつもりなら店長にクレームつけようっと。厳しく折檻されるんだろ?」
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