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第1章
第18話 アーティファクト
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「おいおい、今度はドワーフと一緒か? 使えない異世界人と卑しいドワーフ。お似合いのパーティだな。あははははっ」
今はククトさんと一緒だ。迷惑をかけないよう穏便に済ませたい。
下手に出つつも、情報を引き出すか。
「その……おじさん達が凄腕のパーティって聞きました。僕らの目標にしたいので、おじさん達のパーティのランクを教えてもらえませんか?」
「俺達を目標だって? おまえらごとき無理に決まってんだろぉ! まぁランクぐらい教えてやるよ。Cランクだよ。パーティ名は『精霊の狩人』だ」
「僕らもCランク目指してがんばります。それでは失礼します」
そう言って俺達は冒険者ギルドへ向かった。
後ろで笑い声が聞こえたが無視する。
「ククトさん、先程は大変失礼しました。奴らには、そのうち自分たちの発言を後悔させてやるので、少々お待ちください」
「はははっ、ワシは大丈夫だぞ。あんなの気にしておらん。時間の無駄だ。さて、ワシは帰ってマルルと工房で待つ。今日納品なんだろ?」
今日はマルルさんに頼んだぬいぐみの納品日なのだ。
ククトさんと別れた後、俺達は冒険者ギルドで魔石を売却した。それから宿屋で汗を洗い流し工房へ向かった。
◇
――ククトさんの工房へ向かう途中。
事前にミアと相談したいことがあった。
「相談なんだけど、僕達のスキルのことククトさんたちに一部話してもいいかな? 重要なことは隠すけど」
「わたしはタクミに任せます。けど、タクミのスキルについてもですか?」
昨日の夜、ミアに俺のスキルについて話した。
俺のスキルのことがまわりに知られたら、強欲な連中に俺が拐われると心配しているのだろう。
「話の流れ次第かな。正直『精霊の狩人』にムカついた。僕とミアだけでなく、ククトさん達の力も思い知らせてやりたくてね」
◇
ククトさんの工房に着いた。
ドアをノックすると、すぐに家の中に招いてくれた。
今日はお茶が用意されていた。
「早かったな。では早速といきたいところだが、その前にマルルの納品から済ませよう」
「タクミさん。はい、これデス」
テーブルの上に置いてある白い布をマルルさんが引き上げる。
そこには青い猫型ロボットのぬいぐるみがあった。
「「おおおおっ!」」
俺とミアは声を出して驚いた。
凄い完成度だ。しかもお腹に付いている四次元なポケットはちゃんと開け閉めできる仕様だ。
「マルルさん完璧です。ほんとすごいですよ!」
ミアはすごく興奮してマルルさんを褒めた。
「ミア、早速ここでやってみないか? ククトさん達にスキルのことを理解してもらうのに丁度いい」
「ん? ここで何するんだ?」
首をかしげながらククトさんが尋ねてきた。
俺はククトさんとマルルさんの顔を見た後、姿勢を整えてから言った。
「僕達はククトさんとマルルさんを信頼してます。これから見聞きしたことは秘密にしてください。今から僕達のスキルをここで使います」
みんなの顔つきが真剣になった。
ククトさんとマルルさんには、俺達のスキルのことを知ってもらった方が、より最高のモノが作れること。そして今後も引き続き協力してほしいことを伝えた。
「わかった。ワシら親子を信じてくれ。絶対に誰にも言わん」
「ワチも絶対に誰にも言わないデス。約束するデス」
俺は頷き、ミアに猫型ロボットのぬいぐるみを渡して『デフォルメ』スキルをお願いする。
ミアは両手でぬいぐるみを抱え、目を閉じて祈るようにイメージを込めた。
淡い光がぬいぐるみを包む。そしてミアが俺に向かって微笑んだ。
「できました。今回は自信があります」
ミアは、腰袋から強化石を取り出し、ぬいぐるみのポケットに入れようとした。するとポケットより明らかに大きな強化石が、ポケットに吸い込まれるように消える。
「「へ?」」
今度は、手をぬいぐるみのポケットに突っ込み引き抜く。その手には強化石が握られていた。
「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」
驚いてる二人を置いて、俺はミアに賛辞を送る。
「ミア、すごいよ! 完璧だね」
「はい! 今回は凄くしっくりきました。やっぱりスキルの対象がイメージと近いのが大事ですね」
ミアは目を輝かせ、会心の出来に喜んでいた。
「ち、ちょ、ちょっとまってくれ。石が消えたり出たり!? あのポケットどんな素材なんだ。ありえないぐらい伸びたぞ!」
目を白黒させながらククトさんが叫んでる。
「ミア、ぬいぐるみ貸して。今度は僕がやってみるよ」
俺はククトさん、マルルさんの二人に向かって言った。
「説明するのでよく見てください。このポケットにはどんな大きさのものでも入ります。ポケットに入れたものは時間が止まります。淹れたての熱い茶をポケットに入れて、翌日出しても熱いままです」
テーブルの上にあるお茶と強化石をぬいぐるみのポケットに入れてみせた。
その後、強化石とお茶を取り出した。
「こ、これは収納の魔道具か?」
「違います。魔石は不要です」
「「アーティファクトだ!!」」
ククトさんとマルルさんは絶叫した。
アーティファクトが何を意味するか知らないけれど、きっと凄いものなんだろう。
俺達のスキルのヤバさが理解しやすいのなら、その方向で説明してみるか。
「はい。ミアのスキルはアーティファクトのアイテムや素材を創れます」
「そ、そんなの、神の御業だ。これは誰かに知られると危険だ。絶対に知られたらダメだ」
「はい。ククトさん達を信じてますよ。あと、あの剣をちょっとお借りしてもいいですか?」
俺はククトさんに許可をもらい、近くのショートソードを手に取った。
今はククトさんと一緒だ。迷惑をかけないよう穏便に済ませたい。
下手に出つつも、情報を引き出すか。
「その……おじさん達が凄腕のパーティって聞きました。僕らの目標にしたいので、おじさん達のパーティのランクを教えてもらえませんか?」
「俺達を目標だって? おまえらごとき無理に決まってんだろぉ! まぁランクぐらい教えてやるよ。Cランクだよ。パーティ名は『精霊の狩人』だ」
「僕らもCランク目指してがんばります。それでは失礼します」
そう言って俺達は冒険者ギルドへ向かった。
後ろで笑い声が聞こえたが無視する。
「ククトさん、先程は大変失礼しました。奴らには、そのうち自分たちの発言を後悔させてやるので、少々お待ちください」
「はははっ、ワシは大丈夫だぞ。あんなの気にしておらん。時間の無駄だ。さて、ワシは帰ってマルルと工房で待つ。今日納品なんだろ?」
今日はマルルさんに頼んだぬいぐみの納品日なのだ。
ククトさんと別れた後、俺達は冒険者ギルドで魔石を売却した。それから宿屋で汗を洗い流し工房へ向かった。
◇
――ククトさんの工房へ向かう途中。
事前にミアと相談したいことがあった。
「相談なんだけど、僕達のスキルのことククトさんたちに一部話してもいいかな? 重要なことは隠すけど」
「わたしはタクミに任せます。けど、タクミのスキルについてもですか?」
昨日の夜、ミアに俺のスキルについて話した。
俺のスキルのことがまわりに知られたら、強欲な連中に俺が拐われると心配しているのだろう。
「話の流れ次第かな。正直『精霊の狩人』にムカついた。僕とミアだけでなく、ククトさん達の力も思い知らせてやりたくてね」
◇
ククトさんの工房に着いた。
ドアをノックすると、すぐに家の中に招いてくれた。
今日はお茶が用意されていた。
「早かったな。では早速といきたいところだが、その前にマルルの納品から済ませよう」
「タクミさん。はい、これデス」
テーブルの上に置いてある白い布をマルルさんが引き上げる。
そこには青い猫型ロボットのぬいぐるみがあった。
「「おおおおっ!」」
俺とミアは声を出して驚いた。
凄い完成度だ。しかもお腹に付いている四次元なポケットはちゃんと開け閉めできる仕様だ。
「マルルさん完璧です。ほんとすごいですよ!」
ミアはすごく興奮してマルルさんを褒めた。
「ミア、早速ここでやってみないか? ククトさん達にスキルのことを理解してもらうのに丁度いい」
「ん? ここで何するんだ?」
首をかしげながらククトさんが尋ねてきた。
俺はククトさんとマルルさんの顔を見た後、姿勢を整えてから言った。
「僕達はククトさんとマルルさんを信頼してます。これから見聞きしたことは秘密にしてください。今から僕達のスキルをここで使います」
みんなの顔つきが真剣になった。
ククトさんとマルルさんには、俺達のスキルのことを知ってもらった方が、より最高のモノが作れること。そして今後も引き続き協力してほしいことを伝えた。
「わかった。ワシら親子を信じてくれ。絶対に誰にも言わん」
「ワチも絶対に誰にも言わないデス。約束するデス」
俺は頷き、ミアに猫型ロボットのぬいぐるみを渡して『デフォルメ』スキルをお願いする。
ミアは両手でぬいぐるみを抱え、目を閉じて祈るようにイメージを込めた。
淡い光がぬいぐるみを包む。そしてミアが俺に向かって微笑んだ。
「できました。今回は自信があります」
ミアは、腰袋から強化石を取り出し、ぬいぐるみのポケットに入れようとした。するとポケットより明らかに大きな強化石が、ポケットに吸い込まれるように消える。
「「へ?」」
今度は、手をぬいぐるみのポケットに突っ込み引き抜く。その手には強化石が握られていた。
「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」
驚いてる二人を置いて、俺はミアに賛辞を送る。
「ミア、すごいよ! 完璧だね」
「はい! 今回は凄くしっくりきました。やっぱりスキルの対象がイメージと近いのが大事ですね」
ミアは目を輝かせ、会心の出来に喜んでいた。
「ち、ちょ、ちょっとまってくれ。石が消えたり出たり!? あのポケットどんな素材なんだ。ありえないぐらい伸びたぞ!」
目を白黒させながらククトさんが叫んでる。
「ミア、ぬいぐるみ貸して。今度は僕がやってみるよ」
俺はククトさん、マルルさんの二人に向かって言った。
「説明するのでよく見てください。このポケットにはどんな大きさのものでも入ります。ポケットに入れたものは時間が止まります。淹れたての熱い茶をポケットに入れて、翌日出しても熱いままです」
テーブルの上にあるお茶と強化石をぬいぐるみのポケットに入れてみせた。
その後、強化石とお茶を取り出した。
「こ、これは収納の魔道具か?」
「違います。魔石は不要です」
「「アーティファクトだ!!」」
ククトさんとマルルさんは絶叫した。
アーティファクトが何を意味するか知らないけれど、きっと凄いものなんだろう。
俺達のスキルのヤバさが理解しやすいのなら、その方向で説明してみるか。
「はい。ミアのスキルはアーティファクトのアイテムや素材を創れます」
「そ、そんなの、神の御業だ。これは誰かに知られると危険だ。絶対に知られたらダメだ」
「はい。ククトさん達を信じてますよ。あと、あの剣をちょっとお借りしてもいいですか?」
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