『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

文字の大きさ
上 下
8 / 76
第1章

第8話 異世界人の評判

しおりを挟む
 ――翌朝

 宿屋の食堂で水と簡単な食べ物を買った後、ゴールドを稼ぐため魔物狩りに出かけた。

 『改ざん』スキルで攻撃力を9に上げた強化石は凶悪だった。

 稀に革の鎧や木の盾を装備しているゴブリンと遭遇するが、強化石は防具を貫通し一撃で屠るのだ。
 遠距離攻撃のみで倒せるため、危ない場面は今のところなかった。

 ただ強化石にも弱点はある。
 4~5回投げると割れるのだ。攻撃力を強化しても、耐久力は強化されないみたいだ。

 俺の『分析』スキルの効果は、「ステータス対象に触れて情報を取得する。取得した情報は表示できる。対象に触れている時間が長いほど詳しい情報を取得できる」

 対象との接触時間を長くすれば、どんな情報でも表示できそうだな。

 気になったので『分析』スキルで、を意識してステータス画面を表示する。

------
名前:強化石
状態:普通
攻撃力:+9
耐久力:+3
------

 ……できた。マジ万能なんだが。

 試しに『改ざん』スキルで耐久力を9に上げた。『改ざん』スキルは1文字しか変更できないので、攻撃力が改ざん前の1に戻った。

------
名前:強化石
状態:普通
攻撃力:+1
耐久力:+9
------

 強化石は確かに割れづらくなったが、攻撃力が1なので魔物にダメージをほとんど与えられなくなった。

 『改ざん』スキルはとても強力だが、1文字しか変更できない不便さがあるな。

 俺は今まで通り攻撃力をあげるスタイルでいくことにし、夕方になるまでコブリンを狩り続けた。

 ◇
 
 村に戻り、そのまま冒険者ギルドへ行った。
 
 ギルドの中に入ると、ギルドマスターのハンナさんと1人の男が話していた。

「おっ珍しい。見たことない顔だな」

「ハリーさん、この子は異世界人だよ。昨日来たのさ」

 ハンナさんは俺のことを冒険者のハリーさんに紹介してくれた。
 ハリーさんは、5年前の異世界人ケンさんに冒険者のノウハウを教えていたらしい。

 ハリーさんが食事に誘ってくれたので、一緒させてもらうことにした。

「食事の前に魔石の売却だけさせてください」

 リュックをハンナさんに渡し、魔石の買い取りをお願いした。
 
 ……魔石を見たハンナさんと、ハリーさんが固まっている。

「昨日も驚かされたけど……これあんた1人で倒したのかい?」

「タクミ、どうやったらこんなに倒せるんだ?」

 二人は驚いていたようだ。

 俺は魔石売却として515ゴールドを冒険者カードに記録してもらった。

 まだ、驚きが冷めていないハリーさんと一緒に、食堂へ向かった。

 ◇
 
 食堂に着くとハリーさんが俺の分もあわせて注文してくれた。

「タクミは何歳なんだい?」

 日本の頃の情報を晒したくない。
 今の容姿は背が低く童顔なので15歳ぐらいの設定でいけるだろう。
 
「僕は15歳です、5年前に来た異世界人のケンさんは何歳だったんですか?」

「ああ、ケンはここに来たときは25歳っていってたような…… 今は30歳ぐらいじゃないかな」

 この世界に転生されたときの年齢はバラバラってことか。

 そんな話をしていると食事と木のジョッキに入っているエールが運ばれてきた。

 ハリーさんと乾杯し一口飲む。この世界のエールは、ビールよりも濃厚な香りでコクが深かった。
 贅沢を言わせてもらえば、冷えたビールが飲みたくなる。

「ケンさんってどんな冒険者だったんですか?」

「ケンは薬師になったよ。薬草を集めポーション作って売る。この世界に来る前にも薬を作ってたらしいぜ」

 なるほど、転生前は薬剤師だったのかな。スキルの素はなんだったんだろう、他人のスキルの素って気になるな。

「ケンさんのスキルの素って、ハリーさん知ってます?」

「タクミよ。この世界ではスキルの素を聞きまわると危険だぞ。最悪殺される」

「殺される!?」

「そうだ。スキルの素と職業がわかれば、どんなスキルがあるか予想がつくからな。おまえを前にして言いづらいことだが、異世界人はやばい連中が多い。すぐ強くなるからな。傲慢になってやりたい放題だよ」

 異世界人の行動は容易に想像できる。

 俺はたぶん大丈夫なので、安心してください。

 ハリーさんからは、この辺の地理についても教えてもらった。

 この国はメルキド王国。
 王都はここから東にあり、王都に近づくほど街はどんどん大きくなっていく。

 特権階級は貴族という存在はなく、王族だけだ。
 各村や街には、それぞれの住民が長を決め運営していて、1年に1回税金を王国に収めている。
 その代わり、魔物が増えてきたときは王都の兵士が討伐してくれるらしい。

 そしてこのロゼッタ村は、王都から西にある。ここから西に進むと、未開拓な森で魔物しかいないらしい。

 だから、ロゼッタ村の異世界人は、この村を出たら東に2日ぐらい歩いたところにある『バーセリー』という街を目指す。

 俺の次の目的地は『バーセリー』になりそうだ。


しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

処理中です...