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第1章
第1話 スキルの素
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目を覚ますと真っ白な空間に俺はいた。
周りには沢山の人がいた。
日本人だけでなく、何処の国かはわからないけれど外国人も大勢いる。
――脳に音が直接伝わるかのように、地を這うような低い声が聞こえた。
『制限時間は10分。スキルの素を3つ選べ。ただし他者と同じものは選べない』
はけ口のない、耐え難い陰鬱な圧迫感。
あきらかに人ではない、抗うことを許さない声だった。
『終わった者は”転移”と口にしろ。他者との行動を望むなら、他者の手を取り口にしろ』
一瞬の静けさに包まれた後。
『……では、始めよ。我を失望させるなよ』
身体全体に感じていた圧迫感が溶けるように消えた。様々な声や響きが遠く近くで交差する。
「ステータス」
「ステータスオープン!」
「おおっ! で、出たぞ」
「やったー、俺も異世界いけるぞぉ」
そんな歓喜とも狂気ともいえる声が聞こえてきた。
まさか……そういうことなのか。
少し恥ずかしいので、誰にも聞かれない音量でつぶやく。
「す、ステータス」
目の前にSFやゲームでお馴染みのステータス画面が目の前に現れた。
おおおおっ、それはラノベでよく見る光景だった。俺はラノベが好きだ。
様々なジャンルのラノベは読破している。
ノーヒントでいきなりステータス画面に気づけた連中も同じ穴のムジナなんだろう。
嬉しくなり周りを見ると、何もない空中に向かって指をスライド、タップしている人が大勢いた。
どうやらステータス画面は他の人には見えないようだ。
自分のステータス画面に目を向けると、右上に『残り9:01』と表示されカウントダウンしている。
これはさっきの説明にあった制限時間のことだろう。
画面の中央には『スキルの素』と書かれ、箇条書きがずらりと並んでいた。
・火(検討中)
・槍
・融合
:
・束縛
・土(検討中)
・鑑定(検討中)
:
軽くスクロールさせてみると、ものすごい数のスキルの素が並んでいた。1,000個以上はありそうだ。
ジャンルごとに分類されていないので非常に見づらい。
いくつかのスキルの素には『(検討中)』と横に書かれていた。
嫌な予感がしたそのとき、『(検討中)』の文字が『(済)』に変わった。
「よっしゃー! チートスキルの鑑定ゲットだぜぇ!」
という声が聞こえた。
誰かが選択した状態だと『(検討中)』で、確定状態になると『(済)』になるようだ。
つまりは早いもの勝ち。
急がないとチートの素が全てなくなる危険な状態。
良さそうな『スキルの素』を探すが、すでにチートの匂いがするものは(検討中)か(済)になっている。
駐車場で後ろから車が来ているのに、駐車券が見つからないくらい焦る。
「時間がないところすまない。いきなりなんだけど僕達とパーティを組まないかい?」
隣にいた長身で優しそうな男が話しかけてきた。
周りには男女合わせて8人くらい集まっている。
「ここにいる人達でパーティを組むことにしたんだ。良さそうなスキルの素をみんなで分担して集めている。あれだけの数があると吟味して3つ選ぶのは難しいからね」
なるほど、8人いれば合わせてスキルの素が24個選択できる。
とりあえず良さそうなのを(検討中)にして、後で誰がどのスキルの素を持つか調整する作戦のようだ。
「君もわかると思うけど、これは早いもの勝ちだ。人数が多ければ多いほど有効なスキルをおさえられる。転移した後がどうなるかわからないけれど、1人よりも有力な仲間と初めから一緒にいる方が危険は少ないはずだ。どうだい仲間にならないか?」
たしかにその通りだ。
良い作戦だと思うよ。
だから返事をした。
「ごめんなさい」
だって、俺は陽キャが苦手なんだ。
周りには沢山の人がいた。
日本人だけでなく、何処の国かはわからないけれど外国人も大勢いる。
――脳に音が直接伝わるかのように、地を這うような低い声が聞こえた。
『制限時間は10分。スキルの素を3つ選べ。ただし他者と同じものは選べない』
はけ口のない、耐え難い陰鬱な圧迫感。
あきらかに人ではない、抗うことを許さない声だった。
『終わった者は”転移”と口にしろ。他者との行動を望むなら、他者の手を取り口にしろ』
一瞬の静けさに包まれた後。
『……では、始めよ。我を失望させるなよ』
身体全体に感じていた圧迫感が溶けるように消えた。様々な声や響きが遠く近くで交差する。
「ステータス」
「ステータスオープン!」
「おおっ! で、出たぞ」
「やったー、俺も異世界いけるぞぉ」
そんな歓喜とも狂気ともいえる声が聞こえてきた。
まさか……そういうことなのか。
少し恥ずかしいので、誰にも聞かれない音量でつぶやく。
「す、ステータス」
目の前にSFやゲームでお馴染みのステータス画面が目の前に現れた。
おおおおっ、それはラノベでよく見る光景だった。俺はラノベが好きだ。
様々なジャンルのラノベは読破している。
ノーヒントでいきなりステータス画面に気づけた連中も同じ穴のムジナなんだろう。
嬉しくなり周りを見ると、何もない空中に向かって指をスライド、タップしている人が大勢いた。
どうやらステータス画面は他の人には見えないようだ。
自分のステータス画面に目を向けると、右上に『残り9:01』と表示されカウントダウンしている。
これはさっきの説明にあった制限時間のことだろう。
画面の中央には『スキルの素』と書かれ、箇条書きがずらりと並んでいた。
・火(検討中)
・槍
・融合
:
・束縛
・土(検討中)
・鑑定(検討中)
:
軽くスクロールさせてみると、ものすごい数のスキルの素が並んでいた。1,000個以上はありそうだ。
ジャンルごとに分類されていないので非常に見づらい。
いくつかのスキルの素には『(検討中)』と横に書かれていた。
嫌な予感がしたそのとき、『(検討中)』の文字が『(済)』に変わった。
「よっしゃー! チートスキルの鑑定ゲットだぜぇ!」
という声が聞こえた。
誰かが選択した状態だと『(検討中)』で、確定状態になると『(済)』になるようだ。
つまりは早いもの勝ち。
急がないとチートの素が全てなくなる危険な状態。
良さそうな『スキルの素』を探すが、すでにチートの匂いがするものは(検討中)か(済)になっている。
駐車場で後ろから車が来ているのに、駐車券が見つからないくらい焦る。
「時間がないところすまない。いきなりなんだけど僕達とパーティを組まないかい?」
隣にいた長身で優しそうな男が話しかけてきた。
周りには男女合わせて8人くらい集まっている。
「ここにいる人達でパーティを組むことにしたんだ。良さそうなスキルの素をみんなで分担して集めている。あれだけの数があると吟味して3つ選ぶのは難しいからね」
なるほど、8人いれば合わせてスキルの素が24個選択できる。
とりあえず良さそうなのを(検討中)にして、後で誰がどのスキルの素を持つか調整する作戦のようだ。
「君もわかると思うけど、これは早いもの勝ちだ。人数が多ければ多いほど有効なスキルをおさえられる。転移した後がどうなるかわからないけれど、1人よりも有力な仲間と初めから一緒にいる方が危険は少ないはずだ。どうだい仲間にならないか?」
たしかにその通りだ。
良い作戦だと思うよ。
だから返事をした。
「ごめんなさい」
だって、俺は陽キャが苦手なんだ。
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