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(33)容疑者1、話す
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──久須野良也。
──兼河保志さん宅に押し入ったのは強盗目的か?
「そうだよ。あいつの自宅には常に100万円以上の現金があるって聞いてたから」
──誰から聞いた?
「……」
──兼河さんを殺害する必要はあったのか?
「あの時はびっくりして慌ててた。
あの日は、奴は夜まで帰ってこないって聞いてたから」
──それで焦って殺害してしまったのか?
「そうだよ。元々は殺すつもりなんてなかった。
……でも、あいつは殺されて当然の最低な男なんだ」
──なぜ、そう思う?
「あいつはエリカを困らせるストーカーだったんだ」
──ストーカー?
「エリカはあいつに付き纏われてたんだ。ずっとそのことで悩んでた」
──なぜ、兼河さんはエリカさんに付き纏っていたのか?
「昔、ほんの短い間だせど、エリカはあいつと付き合ってたことがあって、
その時に人には見られたくないような写真を撮られちまって……
それをネタにして、ずっと脅されてたんだ」
──脅されてた?
「その写真をばら撒かれたくなかったら金を渡せって言われて、
毎月何十万も払ってたんだ。何年もずっと。
店に行くたびにエリカからその話を聞かされて。
本当に可哀想だと思ったし、兼河の奴が憎かった。
だから、何とかして兼河からエリカを解放してやりたいと、ずっとそう思ってた」
──それで事件を起こしたのか?
「ああ。でも、さっきも言ったけど、最初から殺すつもりじゃなかった。
あいつの自宅から、現金とネックレスを奪ってエリカに返してやりたかったんだ」
──ネックレス?
「エリカが兼河に奪われたのは金だけじゃなかった。
父親の形見のネックレスまで奪われてたんだ。
彼女が逃げないようにってな。本当に卑劣な男だ」
──エリカさんからそう聞いたのか?
「ああ、そうだよ。金のことはもういいけど、
ネックレスだけはどうしても取り返したいって言って泣いてた。
だから俺、彼女に約束したんだ。
何としてでもそのネックレスを取り返してやるって」
──それで、彼女と共謀して犯行に臨んだのか?
「エリカからは、金庫のある場所と兼河が不在の時間を聞いただけだ。
彼女は直接には事件には関わってない!」
──でも、不在だったはずの時間に兼河さんは帰宅してきた。
「そうだな。びっくりしたし、焦って気が動転した。
でも、それ以上に強い憎しみが湧き上がった」
──兼河さんと面識はあったのか?
「直接話をしたことはない。
でも、店の外でエリカと言い争っているのを何度か見たことがある。
あの男が兼河だってことはエリカからも聞いてた。
だから、マンションで奴と鉢合わせになった時、
どうしようって気持ちよりも憎しみの方が強く出たんだ」
──それで殺したのか?
「持ってたスパナで2発ほど殴った。でも、直接あいつを殺したのは糸田だろうよ」
──なぜそう思う?
「倒れた兼河を包丁で滅多刺しにしたのは糸田だからだよ」
──貴方が彼にそのような指示を出したのでは?
「さあな」
──糸田さんを犯行に引き込んだ理由は?
「あいつ、金に困ってたらしいから丁度いいと思ってな。それに……」
──それに?
「いざって時に全部の責任をおっかぶせられる存在が必要だと思ったんだよ」
──実際に、その為に糸田さんを殺害しようとした?
「ああ。あの時、しくじらなければなあ……」
──ところで、エリカさんのネックレスは見つかったのか?
「ああ。金庫の中に現金と一緒に保管されてたよ。ご丁寧に密封袋なんかに入れてな」
──それはエリカさんに渡したのか?
「当然だろ。彼女、感激して泣いて喜んでくれたよ。
それどころか、お礼に俺と一緒になりたいとまで言ってくれた。
あーあ、あの時に糸田が死んでくれてたら、
今頃俺たちは2人で幸せに過ごしていたはずなのになあ」
──兼河保志さん宅に押し入ったのは強盗目的か?
「そうだよ。あいつの自宅には常に100万円以上の現金があるって聞いてたから」
──誰から聞いた?
「……」
──兼河さんを殺害する必要はあったのか?
「あの時はびっくりして慌ててた。
あの日は、奴は夜まで帰ってこないって聞いてたから」
──それで焦って殺害してしまったのか?
「そうだよ。元々は殺すつもりなんてなかった。
……でも、あいつは殺されて当然の最低な男なんだ」
──なぜ、そう思う?
「あいつはエリカを困らせるストーカーだったんだ」
──ストーカー?
「エリカはあいつに付き纏われてたんだ。ずっとそのことで悩んでた」
──なぜ、兼河さんはエリカさんに付き纏っていたのか?
「昔、ほんの短い間だせど、エリカはあいつと付き合ってたことがあって、
その時に人には見られたくないような写真を撮られちまって……
それをネタにして、ずっと脅されてたんだ」
──脅されてた?
「その写真をばら撒かれたくなかったら金を渡せって言われて、
毎月何十万も払ってたんだ。何年もずっと。
店に行くたびにエリカからその話を聞かされて。
本当に可哀想だと思ったし、兼河の奴が憎かった。
だから、何とかして兼河からエリカを解放してやりたいと、ずっとそう思ってた」
──それで事件を起こしたのか?
「ああ。でも、さっきも言ったけど、最初から殺すつもりじゃなかった。
あいつの自宅から、現金とネックレスを奪ってエリカに返してやりたかったんだ」
──ネックレス?
「エリカが兼河に奪われたのは金だけじゃなかった。
父親の形見のネックレスまで奪われてたんだ。
彼女が逃げないようにってな。本当に卑劣な男だ」
──エリカさんからそう聞いたのか?
「ああ、そうだよ。金のことはもういいけど、
ネックレスだけはどうしても取り返したいって言って泣いてた。
だから俺、彼女に約束したんだ。
何としてでもそのネックレスを取り返してやるって」
──それで、彼女と共謀して犯行に臨んだのか?
「エリカからは、金庫のある場所と兼河が不在の時間を聞いただけだ。
彼女は直接には事件には関わってない!」
──でも、不在だったはずの時間に兼河さんは帰宅してきた。
「そうだな。びっくりしたし、焦って気が動転した。
でも、それ以上に強い憎しみが湧き上がった」
──兼河さんと面識はあったのか?
「直接話をしたことはない。
でも、店の外でエリカと言い争っているのを何度か見たことがある。
あの男が兼河だってことはエリカからも聞いてた。
だから、マンションで奴と鉢合わせになった時、
どうしようって気持ちよりも憎しみの方が強く出たんだ」
──それで殺したのか?
「持ってたスパナで2発ほど殴った。でも、直接あいつを殺したのは糸田だろうよ」
──なぜそう思う?
「倒れた兼河を包丁で滅多刺しにしたのは糸田だからだよ」
──貴方が彼にそのような指示を出したのでは?
「さあな」
──糸田さんを犯行に引き込んだ理由は?
「あいつ、金に困ってたらしいから丁度いいと思ってな。それに……」
──それに?
「いざって時に全部の責任をおっかぶせられる存在が必要だと思ったんだよ」
──実際に、その為に糸田さんを殺害しようとした?
「ああ。あの時、しくじらなければなあ……」
──ところで、エリカさんのネックレスは見つかったのか?
「ああ。金庫の中に現金と一緒に保管されてたよ。ご丁寧に密封袋なんかに入れてな」
──それはエリカさんに渡したのか?
「当然だろ。彼女、感激して泣いて喜んでくれたよ。
それどころか、お礼に俺と一緒になりたいとまで言ってくれた。
あーあ、あの時に糸田が死んでくれてたら、
今頃俺たちは2人で幸せに過ごしていたはずなのになあ」
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