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21、良い先生の裏の顔
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「えっ……⁉︎」
康介は絶句した。
彼の視線はパソコンのモニターに釘付けになっている。
「こいつが例の黒のセダンの持ち主ってことですね」
「そんな、まさか……!」
「どうしたんですか、藤咲さん」
画面に浮かぶ『中岡恭志』の名を見て狼狽する康介を、高倍が怪訝な顔で見る。
防犯カメラの映像から、失踪した津木恋月が黒のセダンに乗り込む姿を確認した。
ナンバー検索システムを使って、その車の持ち主を探した。
その結果、『中岡恭志』の名が浮上した。
楓の担任の教師の名前が浮上したことで、康介は酷く動揺したのだった。
「何かの間違いなんじゃないか? もしくは盗難車とか」
「いいえ、そんな記録は無いですね」
「そんな……」
「この男、藤咲さんの知り合いとかですか?」
「ああ。楓の担任の教師だ」
「えっ⁉︎」
康介の言葉に高倍も目を見開いて驚く。
その一方で、康介の脳内では冷静な情報整理が行われていた。
津木恋月のパパ活の相手が中岡だとすると、色々と合点がいくのだ。
友人の女子生徒が言っていた「行為の最中には『カエデ』と呼んでいた」という点。
恋月の外見がどことなく楓と似ている点。
中岡は本当は楓を本命視していたが、立場上手を出すわけにはいかないので似たような外見の他人を利用していた──そう考えるとしっくりくる。
(いやしかし、中岡は板呉に襲われていた楓を助けてくれたじゃないか。
それなのに彼を疑うのか?)
何とか中岡を擁護しようと考えた時、少し前から康介の中に湧いていた疑念が再燃した。
昨日、確かに中岡は板呉から楓を助けてくれた。
しかし、楓が殴られるまでは助けに入らなかった。
公園で休んでいた楓に板呉が声を掛けて、腕を引っ張った時点では助けなかった。
その様を見ていた。
(中岡はたまたま通りかかったと言っていたが、その割にはやけに詳細に覚えていた。
最初からずっと見ていたとしか思えないぐらいに)
それが意味する事象は、中岡が楓の後を尾けていたのではないかという疑惑。
あの公園だって、楓にとっては通学ルートの途中だが、中岡の通勤ルートとは方向が違う。
「…………」
考えれば考えるほど、中岡恭志という男への疑念が深まる。
「どうしますか、藤咲さん」
「天津風高校に行こう。中岡の勤務先だ」
「今は5時半ぐらいですから、教師なら学校に居る時間ですね」
「ああ。津木恋月について、知ってることを全て話してもらう」
「そうですね。分かりました」
高倍が車の鍵を持って天津風高校へ行く準備をする。
その間、楓のことが気になっていた康介は携帯端末から電話を入れてみた。
放課後、中岡のもとで補習を受けていることを聞いてたので、心配になったのだ。
しかし、何コールと待っても楓は電話に出なかった。
(さすがの中岡も、学校内で楓に何かやったりはしないだろうが)
もう移動しなければならない。
心配は解消されないまま、留守電にメッセージを残して康介は電話を切った。
康介は絶句した。
彼の視線はパソコンのモニターに釘付けになっている。
「こいつが例の黒のセダンの持ち主ってことですね」
「そんな、まさか……!」
「どうしたんですか、藤咲さん」
画面に浮かぶ『中岡恭志』の名を見て狼狽する康介を、高倍が怪訝な顔で見る。
防犯カメラの映像から、失踪した津木恋月が黒のセダンに乗り込む姿を確認した。
ナンバー検索システムを使って、その車の持ち主を探した。
その結果、『中岡恭志』の名が浮上した。
楓の担任の教師の名前が浮上したことで、康介は酷く動揺したのだった。
「何かの間違いなんじゃないか? もしくは盗難車とか」
「いいえ、そんな記録は無いですね」
「そんな……」
「この男、藤咲さんの知り合いとかですか?」
「ああ。楓の担任の教師だ」
「えっ⁉︎」
康介の言葉に高倍も目を見開いて驚く。
その一方で、康介の脳内では冷静な情報整理が行われていた。
津木恋月のパパ活の相手が中岡だとすると、色々と合点がいくのだ。
友人の女子生徒が言っていた「行為の最中には『カエデ』と呼んでいた」という点。
恋月の外見がどことなく楓と似ている点。
中岡は本当は楓を本命視していたが、立場上手を出すわけにはいかないので似たような外見の他人を利用していた──そう考えるとしっくりくる。
(いやしかし、中岡は板呉に襲われていた楓を助けてくれたじゃないか。
それなのに彼を疑うのか?)
何とか中岡を擁護しようと考えた時、少し前から康介の中に湧いていた疑念が再燃した。
昨日、確かに中岡は板呉から楓を助けてくれた。
しかし、楓が殴られるまでは助けに入らなかった。
公園で休んでいた楓に板呉が声を掛けて、腕を引っ張った時点では助けなかった。
その様を見ていた。
(中岡はたまたま通りかかったと言っていたが、その割にはやけに詳細に覚えていた。
最初からずっと見ていたとしか思えないぐらいに)
それが意味する事象は、中岡が楓の後を尾けていたのではないかという疑惑。
あの公園だって、楓にとっては通学ルートの途中だが、中岡の通勤ルートとは方向が違う。
「…………」
考えれば考えるほど、中岡恭志という男への疑念が深まる。
「どうしますか、藤咲さん」
「天津風高校に行こう。中岡の勤務先だ」
「今は5時半ぐらいですから、教師なら学校に居る時間ですね」
「ああ。津木恋月について、知ってることを全て話してもらう」
「そうですね。分かりました」
高倍が車の鍵を持って天津風高校へ行く準備をする。
その間、楓のことが気になっていた康介は携帯端末から電話を入れてみた。
放課後、中岡のもとで補習を受けていることを聞いてたので、心配になったのだ。
しかし、何コールと待っても楓は電話に出なかった。
(さすがの中岡も、学校内で楓に何かやったりはしないだろうが)
もう移動しなければならない。
心配は解消されないまま、留守電にメッセージを残して康介は電話を切った。
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