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決戦
誰が為に
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この世界は狩野を追い詰めた。追い詰めて、全てを奪っては、その魂の形すら歪めた。
彼はこの世界を許しはしないだろうし、俺もまた、全てを知ってなお狩野の手を取らぬ道理はなかった。
現に少し前の俺なら、躊躇いなくそうしていた。
「……俺は、」
それでも俺は、知ってしまった。
この不安定で残酷な世界でも、今を生きる人々が確かに存在すること。
ひび割れた地平線に沈む夕焼けが、涙が出るくらい美しいこと。
人の目を盗んで食う土だらけの木の実が、実は死ぬほど美味いこと。
一人一人に人生があって、誰かを愛しては守りたいと願っていること。
命と友人を犠牲にしてでも、かつてこの世界を守ろうとした人間がいたこと。
連綿と受け継がれる人の想いがあること。
──『ヒトも、草も土も。世界の全部が大好き』
──『彼の死の上に成り立つ幸福全てを、私は赦さない』
思想や考え方は違えども、誰も彼もがこの世界を守ろうとしていたこと。
「俺は、どちらも諦められない」
それが、結論だった。
知る前には戻れない。知らなければ、もっと簡単だったのかもしれない。けれども俺は、知ったことを後悔してはいない。
「また、選ばないんだ?」
「いいや、選んだ」
選ばないことを、選んだ。
それが、結論だった。
この世界を壊させたりしない。狩野も連れて帰る。これが俺の選択だ。
全てを知った上で、考え抜いた選択だと胸を張って言える。
相貌を擡げて、真っ直ぐに狩野の目を見据える。
狩野は、しばらく何も言わなかった。
「そう」
やがて落とされた声は、あまりに無機質な物だった。
万物への期待を捨てた、真に全てを見限った人間だけが持っている温度。
冷めた鉱物みたいな目で、ただ俺を見下ろして。
「詭弁だ」
「…………」
「おれは許さないよ、圭一。そんなの、『選んだ』なんて言わない」
同時だった。
空間内に響いた破砕音に、「は」なんて間抜けな声が漏れる。
咄嗟に振り返る。
そして、
「っ、」
そして、グリードの胸の上で砕けた水晶に、頭頂から血の気が引いていく。
「──っ、まえ……!」
「選ばなかったのは圭一だよ。ぜんぶ奪われても、仕方がないよね?」
──元の世界に戻るには、世界滅亡エンドしかない。
そんな無情な事実を眼前に突き付けながら、ただ狩野は綺麗に微笑んでいて。
「…………どちらも、」
けれどこの期に及んで、俺の口からこぼれたのはそんな言葉だった。
「とちらも、諦めない」
吠える。
「この世界を諦めない」
血の混じった嗚咽を漏らす。
「お前を連れて帰る」
「泣いて嫌がろうが、手足を折ってでも引き摺って帰る────!」
激情のまま叫ぶ。こみ上げる血の味を呑み下して、狩野の胸倉を掴み上げる。
何度聞かれようと、答えは変わらない。
大切なものを踏み躙ろうと、狩野を傷つけようと、道の先に自分が存在しなくても。俺は、この選択を守り通す。あの部屋で示した覚悟とは、そういう物だったはずだ。
荒い呼吸のまま、狩野を睥睨する。
狩野は何も言わなかった。ただ、醒めた目で、俺の視線を受け入れていた。冷えた静寂の中、互いの呼吸音だけに耳を澄ませて。
「ふ、」
沈黙を裂いたのは、そんな、くぐもった笑声だった。
「は、は、は、は、は、は、は」
歪に吊り上がった唇から、絶え間なく不安定な笑声が漏れる。可笑しくてたまらない。そう言いたげに仰け反っては、首を振った。
「あはは!そうだよねぇ!知ってた、うん、わかってた。圭一なら、きっとそう言うんだろうなって」
────紙の賽でも、見ているようだった。
少しのきっかけでぱたりと倒れ、転がり、全くの別側面を露呈させる。怒り、悲しみ、次の瞬間には笑っている。
感情と言動の乖離。
そんな、大自然すら彷彿とさせる不確定性が、ただ薄気味悪かった。
余熱に火照った相貌を、狩野の冷たい手が包み込む。鼻先に迫った双眸は、文字通り上機嫌に弧を描いていた。
「な、に笑って…………」
「だって、あはは。無駄なことしたなぁ。最初から選択肢なんてなかったのに」
「は、」
「圭一が自分でおれの手を取ってくれたのなら、一番それが嬉しかったんだけど。ふふ、全部視えちゃった」
瞑った左瞼をトントンと軽く弾いて。
茶目っぽい所作は、悪戯の種明かしをする子供を彷彿とさせる。それでも、深層に過った冷えた悪意のような物に、緊張を緩める事はできなかった。
「だって」と。次に口を開いたとき、やはりその相貌からは完全に色が抜け落ちていた。
「────帰ったら圭一、死ぬかもしれないんでしょ?」
「なんで、」
なんで、それを知っている?
そんな疑問を口にするよりも早く、命懸けでじゃんけんをしたときの記憶が脳裏を駆け抜ける。
「『嫉妬』か……!」
観測した魔術を、六分の一の精度で再現する、『嫉妬』の固有魔法。
先刻の金槍は『傲慢』の物で、蒼炎は『強欲』の物。
そして、個人の過去までもを見通す千里眼は、『怠惰』の物。
普遍的な魔術を再現できることは知っていたが、エンヴィは、それを固有魔法の再現に至るまで高めていた。
彼の、魔術師としての素養を畏怖しつつ、それを丸呑みにしたのは眼前の青年であるという事実に、眩暈を覚える。
俺の反応に、確信を得たのだろう。
透徹した金眼に、剣呑な光が宿る。
「それで、『一緒に帰ろう』だなんて。やっぱり圭一は嘘吐きだ」
「嘘、じゃ、」
「嘘じゃない?なにが?まだ救助すらされてないんでしょ。それで、動けなくて、死にかけで?」
…………ああ、もう死んでるかもなのか。
押し殺したような、激情と諦観が滲んだ唸り。
空虚を感じさせるその声音は、あの前夜──狩野が、『憤怒』として大きく変質したときと同様のものだった。
「お、れは、まだ生きてる。だって、俺はまだここに居て、」
「…………」
「そうだ、モーガンだって、そう言って──、」
また変わってしまう。
そんな焦燥と一緒に捲し立てるも、狩野の視線は未だ冷めたままだった。
「『怠惰』の言葉を本気で信じてる?」
時折垣間見せるこの冷えた理性こそが、狩野の本質なのだろうと。たびたびそう思った。
俺の心中を検分し、全てを見透かした上で、全てを看過してきた。
けれど今回ばかりは、その穴を見逃してくれないのだと、嫌でも理解する。
案の定落とされた、「お人好しだね」なんて呟きに、嫌な汗が滲んだ。
「駄目だよ、利害はちゃんと測らなきゃ」
「利害……?」
「そう。彼にとって今一番大切なことは、おれという脅威をこの世界から追い出すことだけ」
「…………」
「確かに、圭一を焚きつけるのが一番有効なのかもだけど」
気に入らないな、と、低い唸りが落ちる。芯の無い幹を、爪の先で弾いたような音だった。
狩野の言わんとすることは、理解できた。同時に、それが最も理に適った結論であることも。
俺が実際に生きているか死んでいるかなど、彼にとってどうでも良いのだろう。
そして、俺がここにきてから、ゆうに1ヶ月は経過している。
1か月もの間、人が瀕死の状態のまま、生命を維持できるはずがない。
目を背けてきた事実に、口元が引き攣るのがわかった。
「それでも、可能性はゼロじゃない」
「どのみち圭一は、この世界に閉じ込める」
互いの言葉が衝突する。
臨界点。潮時だった。
最早、分かり合えない。
互いに譲れない物があって、それらは共存し得ない。どちらかが倒れるしかないのは、もはや必然だった。
それは狩野も理解するところなのだろう。
感情を薄く引き延ばしたような瞳が、伏せられる。静かでいながら、壮絶な決意が滲んだ表情だった。
そんな表情に、俺もまた、一種の決意を固めていた。
策はある。
狩野が俺との問答に興じてきたのは、俺一人にできることなど、何も無いと信じているからだ。
圧倒的な力量差。だからこそ、その慢心には付け入る隙がある。
だが、問題は──、
「圭一くん」
そんな言葉に、背後を振り返る。
血だまりのなかで、グリードがゆっくりと相貌を擡げて。
「…………さっさとしたまえ」
散瞳する。
同時に、幾束かの頭髪が宙を舞う。
俺の横髪だった。重い金槍が、俺の頬を掠めて真っ直ぐにグリードへと射出されたのだ。
「っ、グリードさ──、」
だが金槍は、グリードには届かない。
立ち塞がった男が──グラトニーが、それを受け止めたからだ。
すぐ近くで、息を呑む音が聞こえる。
最もな混乱だと思った。グラトニーは、狩野の支配下にあるはずだから。
「痛ったァい……」
「私の、胸に穴を空けたんだ。それだけの仕事はしたまえ」
「うひ!」
身体を貫かれた反動に、小ぶりな頭が、仰け反るように振り乱される。
表情を隠していたボサボサの蓬髪の下から、爛々と輝く赤目が覗いて。
「──履行魔法」
その首元には、俺の小指と同じ色をした痣が巻き付いていた。
……『嫉妬』の支配に、『強欲』のそれは優越する。
大方、協定関係を結ぶ上で、不可侵条約のようなものを取り付けていたのだろう。
だからこそ、それが破られた今グラトニーは、履行魔法の発動という形で狩野の支配を逃れることができた。
そのために一発貰ってしまっては、わけないとは思うが、改めてグリードの先見の明には畏怖すら覚える。
自らの小指へと、咄嗟に視線を遣って。
次に響き渡ったのは、耳を塞ぎたくなるほどの、おぞましい哄笑だった。
狂ったように笑いながら、腹部に刺さった槍をずろりと引き抜く。
口から絶えず血反吐を吐き出しながら、込み上げるように、一際大袈裟にえずいて。
「吐け」
「ぉえええええええええ!」
大きな口から吐き出されたのは、キラキラ光る固形物だった。
否、あれは。
「水晶…………?」
呟く間もなく、グラトニーがその細腕を振りかぶっては金槍を投擲する。
空中で火花が爆ぜる。
甲高い金属音と共に弾き飛ばされた金槍が、支柱に刺さっては大穴を開けて。乾いた轟音に混じって、耳元で舌打ちの音が聞こえる。
水晶を狙って、狩野が何らかの攻撃を仕掛けたのだと、ようやっと理解する。
理の外の反射、並外れた動体視力と反応速度に、『暴食』の真髄を見る。
「きた…っ、汚ッ!グラトニーくん、ちょっとかかったのだけど!」
「グリードが吐けって言ったからぁ…………」
そして、そんな気の抜けた小競り合いをする両者に、イビフ地方での記憶を回想する。
嘆きの渓谷から上がってきた、ホカホカの肉塊。あれが咥えていた水晶には、確かに齧られたような痕跡があったが。
やはりあの一部は、グラトニーの胃に収まっていたようだった。
予期せぬ形での答え合わせに、引き攣った笑みが漏れる。
だが、どれだけ絵面が間抜けでも、それが会心の一手であることに違いはなかった。
なんせ、懸念材料が全て解消された。
躊躇いなく、策を実行に移すことができる。
「かませ」と。
唇だけで向けられた叱責に、眦を決す。
「狩野」と呼びかければ、見開かれたアンバーと視線がかちあった。
「…………告白の返事、まだしてなかったな」
一定の温度感を保っていた双眸が、わずかに揺れる。それは、動揺だった。
「お前とセックスできるかはまだわからないけれど。おれは、確かにお前が好きだよ」
狩野の顔が、みるみるうちに赤くなっていく。
それでもその相貌には、確かな怯えが滲んでいた。
「どうしたの、急に」なんて。そんな強張った声に、目を細めて。
「は──、」
俺は、狩野の胸を突き飛ばしていた。
あいつにとっては、虫に撫でられるに等しい抵抗だっただろう。それでも、今の狩野の表情を、俺はこの先一生忘れられないのだろうと思った。
よろめく肢体を尻目に、手の中の『それ』に魔力を巡らせる。
「圭一!」
狩野の、千切れるような悲鳴が響く。
零れるほどに見開かれた金眼に、狼狽に歪んだ端正な相貌。
けれどもそんな光景も、すぐに見えなくなる。
激痛と共に、視界が真っ赤に染まったから。
刃先を突き立てた顎あたりから、鮮血と、柔らかい何かがあふれてくるのが分かった。
──一定量の魔力を注ぐことで、ショールチェーンは剣へと形を変える。
それを、狩野は知らない。ほんの些細な、情報量の差。けれどこの場面では、勝敗を分ける決定的なアドバンテージとなる。
勝ち誇ったように微笑むも、すぐにそれは苦悶の表情に塗り替わる。
頭が割れそうだった。
全身が四方から引き裂かれるような激痛。それでも、獣のような咆哮を上げながら、更に刃先を押し込む。
「圭一、圭一圭一圭一、ねぇ、何してるの圭一!」
「…………おれを、たすけろ」
血塗れの唇で言えば、狩野が息を呑むのがわかった。
「もどって、ほんとうのおれを、」
現実での身体が死ねば、魂もまた消滅する。それが真実なのだとしたら。
ここで死んで、現実の身体が息絶えた時。俺は、本当にどの世界からも消えるのだろう。正真正銘の死だ。
加えて今の狩野に、残りの罪源者を全て屈服させるだけの余裕は無いことは一目瞭然だった。
俺を助けたいのならば、今すぐに現実に戻って身体を助ける以外に道は無い。
俺は俺を人質に、狩野を脅迫していた。
そしてきっと、狩野もそれを理解している。
「────おい、みてんだろ、どうせ」
霞む視界の中で、呼びかける。
「『怠惰』」
「死ぬのか、アサギケイイチ」
「……ゴプ…」
「ううん、死ぬなぁ、これは。100パー死ぬ」
背後に、人の気配が増えるのがわかった。『怠惰』は、強かな男だ。
グリードの乱入以来姿を消してはいたが、どこかに潜伏して戦況を伺っていることは容易に想像がついた。
「代替器の、使い方は」
「ああ、問題無い。適合者が半径100㎞以内に存在しない状態で、罪源を解き放つ。…………だが、一つ足りないな?」
『憤怒』の代替器は、プレイヤーの所持する手帳だ。「問題ない」と唇だけで伝えれば、「ふぅん」とだけ唸った。
「…………頼んだ」
「あはは、勿論。『傲慢』の無力化に成功。後に残った特大の不発弾も、お前が今、命を賭してこの世界から追い出そうとしている。願ってもない結末、お前は功労者だからね」
霧のように現れた男は、饒舌に語り、「だが」と言葉を切った。
「分からないな。尋常じゃない苦痛だろう。生身じゃないと分かったところで、人は普通、そう簡単に自分の喉笛をカッ捌くことはできない。加えて、『憤怒』がお前を助けられる確証もない。お前の決断は異常だ。常軌を逸している」
「…………」
「何がお前を駆り立てる。何を以て、そうも彼方側の世界に執着する」
目はほとんど見えなくなったけれど、狩野がどんな顔でこちらを見ているのかは不思議と想像できた。
口以外から、空気の漏れる音がする。この剣を抜いた時、俺は死ぬのだろうと直感で分かった。
ともすればこれが、最期の言葉になるかもしれない。
激痛の波に攫われる意識の中、自問自答をする。
やがて、乾いた唇から出た声は、酷く掠れていた。
「…………えと、」
「なに、聞こえないよ、圭一」
震えた声は、出会ったころのあいつに戻ったみたいだった。手を伸ばす。何かを探すように指先を彷徨わせると、柔らかな感触が手のひらに触れる。
「おまえと、……もだちに…………ちゃんと、ほんとの、おまえと、」
「…………れだって」
わななくように、声を絞り出す。指先にこびり付いた血を、温かい液体が洗い流した。
「おれだって、本当の圭一に会いたいよ。おれだって、もっとちゃんと圭一と友達になりたい」
「でも、もう、わからないよ。本当のおれってなに。もう思い出せない、自分がどんななだったのか、もう…………」
「ねえ、本当に圭一だけなの。おれには、圭一だけ。だから────」
血液と一緒に、体温が流れ出していくような。末端から凍り付いては、どこもかしこも動かなくなる。唇だけを吊り上げると、息を呑むような音がした。
「大好きだ、いまのおまえも」
それが、精一杯だった。もう何も話せない。けれど、伝えたいことは伝えられた。
狩野を傷つけたこと、もう原形の分からないくらいに歪ませてしまったこと。俺はきっと、今わの際までそれを悔やみながら自分を呪う。だけど、それはもうどうしようもないことだ。
これからできることは、歪みも、罪も何もかもをひっくるめて、ありのままの『狩野幸人』を愛すること。
それだけだ。それだけが、俺とあいつの未来に必要なこと。
温い手が、俺の手の甲を包み込んで引き寄せる。震える手で引き寄せて、頬を擦りつけてくる。俺の血で汚れる白い肌を想像するけれど、ごめんと謝ることすら出来なかった。
狩野は俺を守るためにああなってしまったのに、結局こんな方法しか思いつかなかった。グリードも、グラトニーも、狩野自身も。全てを傷付ける形でしか、狩野を守ることができなかった。
けれど、それでも。
全てを踏みつけて、傷つけてでも。その先で手に入るかもしれない可能性に、それだけの価値を見出した。
だから後悔はなかった。
音が聞こえなくなって、痛みすら遠ざかっていく。
何もかもがなくなって、自分の輪郭すら溶けていくような浮遊感の中。
指先に残った体温だけを、抱いて眠った。
彼はこの世界を許しはしないだろうし、俺もまた、全てを知ってなお狩野の手を取らぬ道理はなかった。
現に少し前の俺なら、躊躇いなくそうしていた。
「……俺は、」
それでも俺は、知ってしまった。
この不安定で残酷な世界でも、今を生きる人々が確かに存在すること。
ひび割れた地平線に沈む夕焼けが、涙が出るくらい美しいこと。
人の目を盗んで食う土だらけの木の実が、実は死ぬほど美味いこと。
一人一人に人生があって、誰かを愛しては守りたいと願っていること。
命と友人を犠牲にしてでも、かつてこの世界を守ろうとした人間がいたこと。
連綿と受け継がれる人の想いがあること。
──『ヒトも、草も土も。世界の全部が大好き』
──『彼の死の上に成り立つ幸福全てを、私は赦さない』
思想や考え方は違えども、誰も彼もがこの世界を守ろうとしていたこと。
「俺は、どちらも諦められない」
それが、結論だった。
知る前には戻れない。知らなければ、もっと簡単だったのかもしれない。けれども俺は、知ったことを後悔してはいない。
「また、選ばないんだ?」
「いいや、選んだ」
選ばないことを、選んだ。
それが、結論だった。
この世界を壊させたりしない。狩野も連れて帰る。これが俺の選択だ。
全てを知った上で、考え抜いた選択だと胸を張って言える。
相貌を擡げて、真っ直ぐに狩野の目を見据える。
狩野は、しばらく何も言わなかった。
「そう」
やがて落とされた声は、あまりに無機質な物だった。
万物への期待を捨てた、真に全てを見限った人間だけが持っている温度。
冷めた鉱物みたいな目で、ただ俺を見下ろして。
「詭弁だ」
「…………」
「おれは許さないよ、圭一。そんなの、『選んだ』なんて言わない」
同時だった。
空間内に響いた破砕音に、「は」なんて間抜けな声が漏れる。
咄嗟に振り返る。
そして、
「っ、」
そして、グリードの胸の上で砕けた水晶に、頭頂から血の気が引いていく。
「──っ、まえ……!」
「選ばなかったのは圭一だよ。ぜんぶ奪われても、仕方がないよね?」
──元の世界に戻るには、世界滅亡エンドしかない。
そんな無情な事実を眼前に突き付けながら、ただ狩野は綺麗に微笑んでいて。
「…………どちらも、」
けれどこの期に及んで、俺の口からこぼれたのはそんな言葉だった。
「とちらも、諦めない」
吠える。
「この世界を諦めない」
血の混じった嗚咽を漏らす。
「お前を連れて帰る」
「泣いて嫌がろうが、手足を折ってでも引き摺って帰る────!」
激情のまま叫ぶ。こみ上げる血の味を呑み下して、狩野の胸倉を掴み上げる。
何度聞かれようと、答えは変わらない。
大切なものを踏み躙ろうと、狩野を傷つけようと、道の先に自分が存在しなくても。俺は、この選択を守り通す。あの部屋で示した覚悟とは、そういう物だったはずだ。
荒い呼吸のまま、狩野を睥睨する。
狩野は何も言わなかった。ただ、醒めた目で、俺の視線を受け入れていた。冷えた静寂の中、互いの呼吸音だけに耳を澄ませて。
「ふ、」
沈黙を裂いたのは、そんな、くぐもった笑声だった。
「は、は、は、は、は、は、は」
歪に吊り上がった唇から、絶え間なく不安定な笑声が漏れる。可笑しくてたまらない。そう言いたげに仰け反っては、首を振った。
「あはは!そうだよねぇ!知ってた、うん、わかってた。圭一なら、きっとそう言うんだろうなって」
────紙の賽でも、見ているようだった。
少しのきっかけでぱたりと倒れ、転がり、全くの別側面を露呈させる。怒り、悲しみ、次の瞬間には笑っている。
感情と言動の乖離。
そんな、大自然すら彷彿とさせる不確定性が、ただ薄気味悪かった。
余熱に火照った相貌を、狩野の冷たい手が包み込む。鼻先に迫った双眸は、文字通り上機嫌に弧を描いていた。
「な、に笑って…………」
「だって、あはは。無駄なことしたなぁ。最初から選択肢なんてなかったのに」
「は、」
「圭一が自分でおれの手を取ってくれたのなら、一番それが嬉しかったんだけど。ふふ、全部視えちゃった」
瞑った左瞼をトントンと軽く弾いて。
茶目っぽい所作は、悪戯の種明かしをする子供を彷彿とさせる。それでも、深層に過った冷えた悪意のような物に、緊張を緩める事はできなかった。
「だって」と。次に口を開いたとき、やはりその相貌からは完全に色が抜け落ちていた。
「────帰ったら圭一、死ぬかもしれないんでしょ?」
「なんで、」
なんで、それを知っている?
そんな疑問を口にするよりも早く、命懸けでじゃんけんをしたときの記憶が脳裏を駆け抜ける。
「『嫉妬』か……!」
観測した魔術を、六分の一の精度で再現する、『嫉妬』の固有魔法。
先刻の金槍は『傲慢』の物で、蒼炎は『強欲』の物。
そして、個人の過去までもを見通す千里眼は、『怠惰』の物。
普遍的な魔術を再現できることは知っていたが、エンヴィは、それを固有魔法の再現に至るまで高めていた。
彼の、魔術師としての素養を畏怖しつつ、それを丸呑みにしたのは眼前の青年であるという事実に、眩暈を覚える。
俺の反応に、確信を得たのだろう。
透徹した金眼に、剣呑な光が宿る。
「それで、『一緒に帰ろう』だなんて。やっぱり圭一は嘘吐きだ」
「嘘、じゃ、」
「嘘じゃない?なにが?まだ救助すらされてないんでしょ。それで、動けなくて、死にかけで?」
…………ああ、もう死んでるかもなのか。
押し殺したような、激情と諦観が滲んだ唸り。
空虚を感じさせるその声音は、あの前夜──狩野が、『憤怒』として大きく変質したときと同様のものだった。
「お、れは、まだ生きてる。だって、俺はまだここに居て、」
「…………」
「そうだ、モーガンだって、そう言って──、」
また変わってしまう。
そんな焦燥と一緒に捲し立てるも、狩野の視線は未だ冷めたままだった。
「『怠惰』の言葉を本気で信じてる?」
時折垣間見せるこの冷えた理性こそが、狩野の本質なのだろうと。たびたびそう思った。
俺の心中を検分し、全てを見透かした上で、全てを看過してきた。
けれど今回ばかりは、その穴を見逃してくれないのだと、嫌でも理解する。
案の定落とされた、「お人好しだね」なんて呟きに、嫌な汗が滲んだ。
「駄目だよ、利害はちゃんと測らなきゃ」
「利害……?」
「そう。彼にとって今一番大切なことは、おれという脅威をこの世界から追い出すことだけ」
「…………」
「確かに、圭一を焚きつけるのが一番有効なのかもだけど」
気に入らないな、と、低い唸りが落ちる。芯の無い幹を、爪の先で弾いたような音だった。
狩野の言わんとすることは、理解できた。同時に、それが最も理に適った結論であることも。
俺が実際に生きているか死んでいるかなど、彼にとってどうでも良いのだろう。
そして、俺がここにきてから、ゆうに1ヶ月は経過している。
1か月もの間、人が瀕死の状態のまま、生命を維持できるはずがない。
目を背けてきた事実に、口元が引き攣るのがわかった。
「それでも、可能性はゼロじゃない」
「どのみち圭一は、この世界に閉じ込める」
互いの言葉が衝突する。
臨界点。潮時だった。
最早、分かり合えない。
互いに譲れない物があって、それらは共存し得ない。どちらかが倒れるしかないのは、もはや必然だった。
それは狩野も理解するところなのだろう。
感情を薄く引き延ばしたような瞳が、伏せられる。静かでいながら、壮絶な決意が滲んだ表情だった。
そんな表情に、俺もまた、一種の決意を固めていた。
策はある。
狩野が俺との問答に興じてきたのは、俺一人にできることなど、何も無いと信じているからだ。
圧倒的な力量差。だからこそ、その慢心には付け入る隙がある。
だが、問題は──、
「圭一くん」
そんな言葉に、背後を振り返る。
血だまりのなかで、グリードがゆっくりと相貌を擡げて。
「…………さっさとしたまえ」
散瞳する。
同時に、幾束かの頭髪が宙を舞う。
俺の横髪だった。重い金槍が、俺の頬を掠めて真っ直ぐにグリードへと射出されたのだ。
「っ、グリードさ──、」
だが金槍は、グリードには届かない。
立ち塞がった男が──グラトニーが、それを受け止めたからだ。
すぐ近くで、息を呑む音が聞こえる。
最もな混乱だと思った。グラトニーは、狩野の支配下にあるはずだから。
「痛ったァい……」
「私の、胸に穴を空けたんだ。それだけの仕事はしたまえ」
「うひ!」
身体を貫かれた反動に、小ぶりな頭が、仰け反るように振り乱される。
表情を隠していたボサボサの蓬髪の下から、爛々と輝く赤目が覗いて。
「──履行魔法」
その首元には、俺の小指と同じ色をした痣が巻き付いていた。
……『嫉妬』の支配に、『強欲』のそれは優越する。
大方、協定関係を結ぶ上で、不可侵条約のようなものを取り付けていたのだろう。
だからこそ、それが破られた今グラトニーは、履行魔法の発動という形で狩野の支配を逃れることができた。
そのために一発貰ってしまっては、わけないとは思うが、改めてグリードの先見の明には畏怖すら覚える。
自らの小指へと、咄嗟に視線を遣って。
次に響き渡ったのは、耳を塞ぎたくなるほどの、おぞましい哄笑だった。
狂ったように笑いながら、腹部に刺さった槍をずろりと引き抜く。
口から絶えず血反吐を吐き出しながら、込み上げるように、一際大袈裟にえずいて。
「吐け」
「ぉえええええええええ!」
大きな口から吐き出されたのは、キラキラ光る固形物だった。
否、あれは。
「水晶…………?」
呟く間もなく、グラトニーがその細腕を振りかぶっては金槍を投擲する。
空中で火花が爆ぜる。
甲高い金属音と共に弾き飛ばされた金槍が、支柱に刺さっては大穴を開けて。乾いた轟音に混じって、耳元で舌打ちの音が聞こえる。
水晶を狙って、狩野が何らかの攻撃を仕掛けたのだと、ようやっと理解する。
理の外の反射、並外れた動体視力と反応速度に、『暴食』の真髄を見る。
「きた…っ、汚ッ!グラトニーくん、ちょっとかかったのだけど!」
「グリードが吐けって言ったからぁ…………」
そして、そんな気の抜けた小競り合いをする両者に、イビフ地方での記憶を回想する。
嘆きの渓谷から上がってきた、ホカホカの肉塊。あれが咥えていた水晶には、確かに齧られたような痕跡があったが。
やはりあの一部は、グラトニーの胃に収まっていたようだった。
予期せぬ形での答え合わせに、引き攣った笑みが漏れる。
だが、どれだけ絵面が間抜けでも、それが会心の一手であることに違いはなかった。
なんせ、懸念材料が全て解消された。
躊躇いなく、策を実行に移すことができる。
「かませ」と。
唇だけで向けられた叱責に、眦を決す。
「狩野」と呼びかければ、見開かれたアンバーと視線がかちあった。
「…………告白の返事、まだしてなかったな」
一定の温度感を保っていた双眸が、わずかに揺れる。それは、動揺だった。
「お前とセックスできるかはまだわからないけれど。おれは、確かにお前が好きだよ」
狩野の顔が、みるみるうちに赤くなっていく。
それでもその相貌には、確かな怯えが滲んでいた。
「どうしたの、急に」なんて。そんな強張った声に、目を細めて。
「は──、」
俺は、狩野の胸を突き飛ばしていた。
あいつにとっては、虫に撫でられるに等しい抵抗だっただろう。それでも、今の狩野の表情を、俺はこの先一生忘れられないのだろうと思った。
よろめく肢体を尻目に、手の中の『それ』に魔力を巡らせる。
「圭一!」
狩野の、千切れるような悲鳴が響く。
零れるほどに見開かれた金眼に、狼狽に歪んだ端正な相貌。
けれどもそんな光景も、すぐに見えなくなる。
激痛と共に、視界が真っ赤に染まったから。
刃先を突き立てた顎あたりから、鮮血と、柔らかい何かがあふれてくるのが分かった。
──一定量の魔力を注ぐことで、ショールチェーンは剣へと形を変える。
それを、狩野は知らない。ほんの些細な、情報量の差。けれどこの場面では、勝敗を分ける決定的なアドバンテージとなる。
勝ち誇ったように微笑むも、すぐにそれは苦悶の表情に塗り替わる。
頭が割れそうだった。
全身が四方から引き裂かれるような激痛。それでも、獣のような咆哮を上げながら、更に刃先を押し込む。
「圭一、圭一圭一圭一、ねぇ、何してるの圭一!」
「…………おれを、たすけろ」
血塗れの唇で言えば、狩野が息を呑むのがわかった。
「もどって、ほんとうのおれを、」
現実での身体が死ねば、魂もまた消滅する。それが真実なのだとしたら。
ここで死んで、現実の身体が息絶えた時。俺は、本当にどの世界からも消えるのだろう。正真正銘の死だ。
加えて今の狩野に、残りの罪源者を全て屈服させるだけの余裕は無いことは一目瞭然だった。
俺を助けたいのならば、今すぐに現実に戻って身体を助ける以外に道は無い。
俺は俺を人質に、狩野を脅迫していた。
そしてきっと、狩野もそれを理解している。
「────おい、みてんだろ、どうせ」
霞む視界の中で、呼びかける。
「『怠惰』」
「死ぬのか、アサギケイイチ」
「……ゴプ…」
「ううん、死ぬなぁ、これは。100パー死ぬ」
背後に、人の気配が増えるのがわかった。『怠惰』は、強かな男だ。
グリードの乱入以来姿を消してはいたが、どこかに潜伏して戦況を伺っていることは容易に想像がついた。
「代替器の、使い方は」
「ああ、問題無い。適合者が半径100㎞以内に存在しない状態で、罪源を解き放つ。…………だが、一つ足りないな?」
『憤怒』の代替器は、プレイヤーの所持する手帳だ。「問題ない」と唇だけで伝えれば、「ふぅん」とだけ唸った。
「…………頼んだ」
「あはは、勿論。『傲慢』の無力化に成功。後に残った特大の不発弾も、お前が今、命を賭してこの世界から追い出そうとしている。願ってもない結末、お前は功労者だからね」
霧のように現れた男は、饒舌に語り、「だが」と言葉を切った。
「分からないな。尋常じゃない苦痛だろう。生身じゃないと分かったところで、人は普通、そう簡単に自分の喉笛をカッ捌くことはできない。加えて、『憤怒』がお前を助けられる確証もない。お前の決断は異常だ。常軌を逸している」
「…………」
「何がお前を駆り立てる。何を以て、そうも彼方側の世界に執着する」
目はほとんど見えなくなったけれど、狩野がどんな顔でこちらを見ているのかは不思議と想像できた。
口以外から、空気の漏れる音がする。この剣を抜いた時、俺は死ぬのだろうと直感で分かった。
ともすればこれが、最期の言葉になるかもしれない。
激痛の波に攫われる意識の中、自問自答をする。
やがて、乾いた唇から出た声は、酷く掠れていた。
「…………えと、」
「なに、聞こえないよ、圭一」
震えた声は、出会ったころのあいつに戻ったみたいだった。手を伸ばす。何かを探すように指先を彷徨わせると、柔らかな感触が手のひらに触れる。
「おまえと、……もだちに…………ちゃんと、ほんとの、おまえと、」
「…………れだって」
わななくように、声を絞り出す。指先にこびり付いた血を、温かい液体が洗い流した。
「おれだって、本当の圭一に会いたいよ。おれだって、もっとちゃんと圭一と友達になりたい」
「でも、もう、わからないよ。本当のおれってなに。もう思い出せない、自分がどんななだったのか、もう…………」
「ねえ、本当に圭一だけなの。おれには、圭一だけ。だから────」
血液と一緒に、体温が流れ出していくような。末端から凍り付いては、どこもかしこも動かなくなる。唇だけを吊り上げると、息を呑むような音がした。
「大好きだ、いまのおまえも」
それが、精一杯だった。もう何も話せない。けれど、伝えたいことは伝えられた。
狩野を傷つけたこと、もう原形の分からないくらいに歪ませてしまったこと。俺はきっと、今わの際までそれを悔やみながら自分を呪う。だけど、それはもうどうしようもないことだ。
これからできることは、歪みも、罪も何もかもをひっくるめて、ありのままの『狩野幸人』を愛すること。
それだけだ。それだけが、俺とあいつの未来に必要なこと。
温い手が、俺の手の甲を包み込んで引き寄せる。震える手で引き寄せて、頬を擦りつけてくる。俺の血で汚れる白い肌を想像するけれど、ごめんと謝ることすら出来なかった。
狩野は俺を守るためにああなってしまったのに、結局こんな方法しか思いつかなかった。グリードも、グラトニーも、狩野自身も。全てを傷付ける形でしか、狩野を守ることができなかった。
けれど、それでも。
全てを踏みつけて、傷つけてでも。その先で手に入るかもしれない可能性に、それだけの価値を見出した。
だから後悔はなかった。
音が聞こえなくなって、痛みすら遠ざかっていく。
何もかもがなくなって、自分の輪郭すら溶けていくような浮遊感の中。
指先に残った体温だけを、抱いて眠った。
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