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朝、教室に入り自分の席に座る。

「コーちゃん!おはよー!」
「おはよう。お前は朝から元気だな。」
「車道君!おはようっす!私と付き合う準備はできたっすか?」
「おはよう。お前は朝から面倒だな。」
正面と隣からポジティブな空気に飲み込まれそうになる憂鬱な朝。
朝ぐらいのんびりさせてくれよ。

「車道君・・・おはよう。」
メガネをかけた森下が落ち着いた声で話しかけてくる。
森下・・・お前はこの地獄に舞い降りた天使だよ。
「おう・・・おはよう。」
「なんか私と森下さんで反応違わないっすか?1人の女を特別扱いするのはいただけないっすねー!」
「いや、お前以外には基本あんな感じだよ。」
「ガーン!!ショックっす!!」
「本当にショック受けた奴は声に出してガーンとは言わないんだよ。」
「せっかく誕生日プレゼントも持ってきたんっすよ?」
「え?あ、ありがとう・・・それは純粋に嬉しいよ。」
「はい!これあげるっす!」

柴田から手渡されたのは柴田本人のブロマイドだった。
「いや、いるかこんなもん!」
「ガーン!!ショックっす!!」
「だから本当にショック受けた奴はガーンとは言わないんだよ!」
「コーちゃんはモテモテだなー!」
「こんな自己顕示欲の塊みたいなもん渡されるモテ方があってたまるか!」

こんな感じのやりとりをほぼ1日中続け気づけば昼休みになっていた。
柴田のしつこいお誘いを避けに避けたせいで校舎の外で1人寂しく昼食をとることになってしまった。

「・・・こんなとこで何してんの?」
顔を上げると桜山がいた。
「・・・柴田から逃げてきた。」
「・・・あんたも大変ね。」
「っていうかお前こそこんなとこで何してんだよ。」
「売店でパン買ってたのよ。」
桜山が俺の横に座る。
「・・・教室で食わなくていいのか?」
「別に・・・あんたが寂しそうだったから一緒に食べてやろうと思ったのよ。」
「・・・そっか。」
「・・・こ、これあげる。」
桜山から少しぶっきらぼうに小さな包み紙に入った何かを渡される。
「えっと・・・これは?」
「あんたもうすぐ誕生日でしょ?・・・和菓子作ったから食べてもらおうと思って。」
「試食係じゃねーかよ。・・・でも、ありがとな。」
包み紙をあけると柿をモチーフにした和菓子が入っていた。
「これ、お前が作ったのか!すげーな!よくできてる!」
「あ、ありがとう・・・。」
俺はその和菓子を食べる。
「・・・美味い。」
「ほ、本当!?」
桜山の顔を見るとものすごく嬉しそうな顔をしている。
そんな様子を見ていると誕生日も悪くないな・・・と思えた。
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