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朝、ケータイが鳴る音で目が覚める。
画面を確認すると神沢からだ。
「あ!もしもし、コーちゃん?来週の月曜と火曜って空いてない?」
「いきなりなんだよ・・・月曜と火曜?空いてるけど?」
「皆で海行くことになったからよろしく!水着と泊りの用意は持ってきてねー!」
「いや、唐突すぎるだろ!まだ、行くって行ってないだろ!」
「・・・常にメガネの鶴里さんと寝る前にメガネをかけるであろう森下さんも来るんだけどなー・・・。」
「・・・行きましょう。」

一週間後。俺達はいつもの5人で海にいた。
「海だー!!皆ー!!海だぞー!!」
「わー!綺麗!」
「・・・久しぶりに・・・海・・・見た・・・。」
「・・・んで、なんであんたがいんのよ?」
「神沢が誘ったなら普通に考えて俺はいるだろ。」
「あんたってこういうの参加しなさそうじゃない・・・もしかして私達の水着姿が見たいとか?」
「確かに思春期だから興味がないとは言わないが、断じてちげーよ。」
「・・・変態。」
「誰が変態だよ!」
「あんたしかいないでしょ?水中メガネに興奮とかしたら殴るわよ?」
「さすがにゴーグルにはなんとも思わねーよ!」
「まあまあ、お二人さん!仲がいいのはわかったから今日は休戦して楽しもうよ!」
「・・・わかったよ。っていうかお前、海まで来たのはいいけどどこ泊まるんだよ?まさか野宿とか言わねーよな?」
「あ、あそこにログハウスあるだろ?あれ、俺ん家の別荘なんだよ。」

神沢が指を差した方向を見ると信じられないくらいに立派なログハウスがあった。
「は!?あの馬鹿でかい建物、お前ん家の所有物なの!?」
「えー!?もしかして神沢君ってすごいお金持ちなんじゃ・・・。」
俺と森下が驚いて話す中、桜山と鶴里はあまりの驚きに唖然としている。
「いやー・・・俺の親父が会社経営しててさー・・・。」
「お前、そんなこと今まで言わなかったじゃねーか!」
「いや・・・隠してたつもりはないんだけど、タイミングが無くて・・・それに変にそういうの意識されるのも嫌だしさ・・・。」
まあ、こいつにはこいつなりの悩みがあるんだろうな・・・。
俺達は1度荷物を別荘に持って行き、海に向かった。

海では水着の森下・桜山・鶴里がはしゃいでいる。
俺は砂浜に座り、鶴里も海に入る時はメガネ外すんだな・・・なんてことを考えながらそれを見ていた。
すると、2人分の飲み物を持った神沢が俺の横に座り、片方の飲み物を渡す。
「いやー・・・コーちゃん・・・水着の美少女が3人だぞ?・・・海にも天使っていたんだな・・・。」
「天使って頭に輪っかついてないんだな・・・。」
「コーちゃんは冷めてるなー・・・見てみなよ!あの、森下さんの抜群のプロポーションを!そして、鶴里さんも童顔な見た目とは裏腹に森下さんに負けず劣らずのスタイルだし、桜山さんの華奢な体はもはや逆にエロい!」
「お前・・・気持ち悪いぞ?・・・・・まあ、でも確かに3人ともスタイルはいいな・・・。」
柄にもなく照れて下を向いてしまった。

「誰の何がいいって?」
俺の言葉を遮るように声が聞こえる。
顔を上げると女子3人組が目の前にいた。
「へー・・・あんた、やっぱり私達の水着見にきたんだー・・・。」
桜山がニヤニヤしながら言う。
「ま、まあ車道君も・・・お、男の子だもんね!そ、その・・・べ、別に私は全然いいと思うよ!ね!」
「・・・・・。」
森下・・・無理に励ますのはやめてくれ・・・そして鶴里・・・無言は余計やめてくれ。

桜山に一通り責められたあと、夕方になったので別荘に戻りバーベキューをすることになった。
「よし、とりあえず準備はこんなもんかな・・・。」
「やっぱり男の子ってこういう時すごいよね!」
「まあ、変態なことには変わりないけどねー。」
「そ、それはもういいだろ!っていうか神沢・・・肉とかはどこにあるんだ?」
「あ・・・買うの忘れてた。」

おい。神沢・・・どうすんだよ・・・。
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