上 下
57 / 65

glass:56

しおりを挟む
「ど、どうしよう・・・か、神沢君が・・・た、退学になっちゃう・・・。」
「・・・え?か、楓ちゃん・・・どういうこと?」
「神沢君が・・・退学?」
「・・・とりあえず鶴里もお前らも落ち着け・・・鶴里・・・何があったか話せるか?」
鶴里は深呼吸を1回して話しはじめる。

どうやら事が起こったのは昨日の夜。
文芸部の活動で遅くなってしまった鶴里は夜の街中を歩いていたらしい。
鶴里が1人で夜道を歩いていると2人組のヤンキー風の男達に声をかけられた・・・どうやらナンパ目的らしい。
断ろうとしたが鶴里はいつも通り声が小さかった為に断わり切れず、男の1人に腕を掴まれどこかへ連れていかれそうになる。
そこへたまたま通りかかった神沢が鶴里を助けようと声をかける。
しかし、男達も引き下がらずに喧嘩になってしまう。
そして、その現場を見た人が写真を撮りその写真を持って学校に報告してしまった・・・ということらしい。

「なるほどなー・・・写真か・・・理由は助ける為だとしても証拠があるのは厄介だな・・・。」
「ど、どうしよう・・・か、神沢君が・・・」
鶴里は今にも泣きそうなぐらい不安そうな顔をしている。
・・・ったく・・・好きな人を助けたいならその人にこんな顔させてんじゃねーよ・・・。

「わかった・・・俺があいつを退学にさせないために一肌脱いでやろう。」
「ほ、本当に・・・」
「あんた何とかできんの?」
「わかんねーよ。それに可能性も低い・・・けど、放ってはおけねーだろ。」
「さすが車道君っす!」
「お前、どんな時でもキャラ変わんねーな・・・まあ、とりあえずあいつの家に行ってみるよ。鶴里のことは桜山に頼んだ。」
「べ、別にあんたに言われなくても私は楓ちゃんの味方だから!」

俺は3人を図書室に残して神沢の家に向かった。
「・・・相変わらずデカい家だな・・・。」
家のインターホンを押し、名前を伝えると、メイドが出てきて中に案内される。
部屋に入るとソファーに神沢が座っていた。
よく見ると頬が少し腫れている。

「お前、派手に喧嘩したなー。」
「いや、これは親父に殴られたやつなんだけどねー!俺がヤンキー相手に1発でも入れられると思う?」
「お前、武術もできるのかよ・・・才能の塊かよ。」
「いやいや!才能の塊は退学の危機になんてならないって!いやー・・・やっちゃったなー・・・」
神沢はそう言いながら笑う。

「別に無理して強がる必要ないだろ。・・・それにしてもお前がまさか鶴里が好きだとはなー・・・。」
「あ、バレてた?」
「お前見てたらな・・・とにかく・・・鶴里が負い目感じてるし・・・それ以上にお前が退学になったらつまんねーから・・・俺はなんとかしてやりたいと思ってる。」
「・・・やっぱり鶴里さんは責任感じちゃってるのか・・・俺が助けたかっただけだから気にしなくていい・・・って言ったんだけどなー・・・やっぱり優しい子だな・・・。」
「本当に鶴里のことを助けたいならお前が退学になるわけにはいかねーだろ・・・。」
「そうだねー・・・でも証拠突きつけられちゃったからねー・・・さすがの俺も手詰まりだよ。」
「お前が手詰まりでも俺はまだなんもしてねーからな・・・。」

俺は部屋をあとにしようとする。
「さすがのコーちゃんでも今回はどうしようもないよ・・・。」
「まだ、わかんねーだろ?それにさっきも言ったけど、お前がいなくなったらつまんねーからさ。」
俺は神沢の家を出て、とある場所に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。 目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

処理中です...