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54話 そして目が覚めた【最終回】

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「なんっだアレ!?」

登ってくる雪崩なんかある訳がない
正体はよくみれば鼠の大群
ここまでたどり着かれたら骨までかじりつかれて死ぬかもしれない

「登れ!!」

登り始めネズミたちがドロドロにふれると溶けていくのが見えた
自分たちも触れ続ければ危ない
何とか岩を掴んでは登り足を引っかけては登り

「もう、足場がッ」
「俺を信じてこっちへ飛べ!!」

ジャンプしたって届くはずがないがそれでも
迷っている暇もなく空中に身を投げた
ヒロが壁を走りその剣に自分を着地させ

「天空切り!!」

空高くに投げ飛ばされ自分だけどうにか壁を登り切る事が出来た
しかしヒロは衝撃でネズミたちの元へ
急いでゴールを目指す、早く、早く!!

旗が見えて無我夢中で走って、掴んだ。

「ゲームクリアだ!!約束は果たしてもらう!!」


「えーとお見舞いってやつだよな?」
「僕と高校の同級生だったこと、覚えてない?」

記憶気に無い奴だけどお見舞いに来てくれるぐらい?
思い出そうとしても何かにモヤがかかる

「あーいたっけ……なんかすごい記憶があいまいで」
「僕らにとってはもう10年ちかく前だから無理も無いよ」
「でもお見舞い来てくれてありがとな」

看護師さんたちに話を聞くと
自分はゲーム中に倒れたらしい
脳に何かしらのダメージが残り記憶が薄れている

「あのさ、高校生の時にキャンプ行ったよね?」
「それは覚えてる」

くっそ楽しかったしカレーの作り方も覚え―――
俺は誰と行った?クラスの連中なのはそう
だけど確か励ますっていうか

「君に何かあれば僕がなんでもするからね」
「そんな献身的になるほどの事をした記憶がねぇ!!」
「ゲームで助けられたんだ」

しばらく入院していたら
女性がお見舞いに来てくれたのだが覚えが無い
初めましてとお見舞いで言われる人いる?俺はそう

「ええと、何用でしょうか?」
「私はあなたのおかげで生きることが出来た人です」
「ヤンデレストーカー……がいたような」
「私には食べ終わった袋を寄越せといってくるヤンデレストーカーいますけど」
「いるんだ」
「でも、大切な友達ですよ」

訳がわからないが何かゲームをしていて
自分は序盤でリタイアしたがいなければ詰んでいたらしい
そのゲームを彼女の兄の婚約者?とやっていた

「結論は?」
「私の心臓はあなたのおかげで動いている、ですかね」

ゲームをクリアしなければ心臓を渡さない
そんな漫画やドラマではあるまいしと思ったが
自分の入院した記憶があまりにも曖昧でしんじざるをえなかった。

廊下でそんな事ある?と思いながら歩いていたせいでぶつかった。

「あいた」
「きゃっ」
「す、すみませんぼーっと歩いてて」
「こっちこそ……あら?」
「どうされました?」
「その鞄って」
「昔から愛用しているキャンプ用の鞄です」
「ここ病院なのに何で今そんなものを持ってるのかしら」
「俺にも何がなんだか……ゲーム世界だの説明されて混乱中なんで」
「あら貴方も?」
「ということはえーと、おにー、おねぇ?さんも?」
「目が覚めたら彼女がいて救った英雄扱いされたわ」
「あー例の人の―――彼氏?」

話がややこしいなーと思っていた矢先

『まだ動いたらダメですよ!!』
『何いってるんですか!?』

病院なのに騒がしいので何かと思えば
女性が全力でかけまわっている
短距離走の選手かと思うぐらいに爆速

「病院で出していいスピードじゃねぇ」

目があった瞬間にこちらに爆速で走って来た。

「お、お前ッ!!」
「えーと何でしょう」
「無事だったんだなぁ!!」

抱きつかれたのだが自分はこの背の高い爆速疾走ボインに見覚えが無い
あと普通に苦しいから離れてほしい
ついでにあらぬところがあらぬ事になっている

「俺、ほんと、守れなかった―――って」
「泣いてるんですか!?」
「お前がいてくれなかったら俺は義理の妹を助けられなかった」
「そう言われても何が何だか」
「有難う!!」

抱き疲れているのを最初に見舞いに来た友人に目撃された

「これはそーいうんじゃなくて」
「ヒロさん目が覚めたんですね!?」
「タロウ!?」
「どこか体に異常があったりとかは?」
「無いね、だが現実とやらの世界はよくわからん」
「僕の嫁になるんですから心配しなくていいですよ」

こいつの嫁!?

「……いや本当にその、さっきのはこの人が勝手に抱きついて」
「仮に浮気だったとしてもどうでもいいかな」
「そんな事ある?」
「あとはクリスだけか」
「そういや話に出てきたな……なんか小さな女の子」
「実際は女子高生なんだけど」
「クリスの病室にお見舞いに行こうか」

何故か3人でクリスの病室に行ったら
そこで先日あった謎の高校生と妹?さんがキス中
思わず閉めた。

「どうしたんだ?」
「いや病室間違えてない?ここであってる?」
「合ってるけど……」

ドアを開けるタロウ、二人は座っていた。

「タロウさん」
「彦星ッ見舞いにほとんどこれなくてごめん!!」
「そういわれても覚えが」
「お兄ちゃんもクリスのおみまい?」
「うん……そろそろ目が覚める筈なんだけど」

知らない男が入って来た

「失礼します」
「えっ」
「あなた方のおかげでゲームが完成しました」
「そうですか」
「おいあんた!!」
「はい」
「クリスが目覚めねぇのはなんでだ!?」
「あなたがた全員が長い間寝ていましたので個人差というだけかと」
「そもそもアンタ何者?」
「ゲーム会社の社長です」
「はい?」
「……ただこれ以上起きないのであれば考えている事がございます」
「何だよ?」
「彼女をゲーム世界に入れる事」
「あんな過酷なものをまた!?」
「いえ全く関係の無いアニマルランドの方に」
「え?」

こうしてゲーム機をつながれるクリス
ものの3分で起きてきた
皆がだきついていく

「良かったッ本当に!!」
「生きとるんや……なら、良かったわ」

すごい感動の場面らしいのだが全然分からん
思い出せないでいることにまた謝罪された
じきに思い出せはするらしいが

「社会復帰できるかこえぇ」
「我が会社が面倒えをみましょう」
「え?」





三か月後

『ようこそモンスタークエストマウンテンへ!』
「なんでまたやる事になるかな」
「今回はいつでもログアウト出来るしシゲトと何もできなかったのが悔しくて」
「……本当は俺の記憶が戻るんじゃないかって思ったとかだろ?」
「うんまぁ正解なんだけど」
「バッチリ思い出したからこそいうけどくっそログアウトしたい」
「思い出したの?」
「こんなクソゲー二度もやりたくねぇ」
「シゲトこのゲーム会社の社員なのにディスっていいの?」

周りが言う

「まー確かに2度目があるとは思って無かったわ」
「せやなー」
「私は楽しみだよ?」
「これだけ人数いるとパーティーって感じがしていいな!!」

『難易度イージーの為初期装備を配ります』

「……この子は僕の相棒」
「え?」

案内のナビゲーターに採用されたウサギのマスコット

『……こんどこそ楽しんでくれたら嬉しい』
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