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31話 日本人

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夜になりソーラーランタンの灯を付ける
曇り続きだったせいで光が弱い
充電が持たなそうなので止めた

「そうか太陽をMPに変えるのなら天気が悪いと無理だな」

木にビニール紐を括り付けブルーシートで屋根を作り
簡素だが『キッチン』を用意した
鍋にお湯を沸かしてカップ麺を皆で食べ
その最中に箱が出たので触れたら

ハブラシが出た(3本)

実は最初から2本あって(最初のキャンプ場から持ってきた)
ヒロはいいと言ったが久利巣の分が無かったので

「残りどれぐらい山で生活するか分からへんから虫歯にはなりたくはないねんな」
「俺は別に」
「磨いて下さい病気予防です!!」
「お、おう?」

歯磨きをしないと虫歯になる
これは確かにそうだがもっと問題になることがあって
口の中というのは菌が繁殖しやすい
『水道から出して真夏に1日のざらしにした水』
この文章にキレイ好きでなくても多少の抵抗感ぐらいはあるだろう

「具合が悪くなるのを少しでも防ぐ方がいいですからね」
「それは確かにそうだな」
「テントは前みたいに男そっちでいいか?」
「いいわよ」


翌朝の天候もやはり軽い雪がずっと降り続いて
水の装置にはそこそこの水たまりが出来ていた
そして出現していた箱は缶詰め26個へと姿を変えた


「プルタブ式だからたべられる!!」
「なんだ?」
「食料ですよ」
「変わった入れ物に入ってんな」

何時までも現実世界の事を思い出せない『広子』さんが心配だが
今は食べ物が手に入ったので皆でまずは食べる事に
温めた方がいいと温めたが缶があつくてしばらく触れなかった


「そろそろ……よし開いた」
「なんだ?」
「『ツナ缶』と書かれているし魚だよ」
「魚!」

皆で缶詰めを食べ素朴な味だが美味しかった
ラーメンやパンにチョコなど炭水化物のオンパレード
タンパク質の取れる肉や魚を食べられなかったので有難い

「これだけじゃ足りねぇしカップ麺ゆでるか」
「食べたら水をまたくんで来たほうがいいわね」
「今回は僕も行くから」

そして水をとりにいき何事も無く戻ってきた
今までの皮より近い場所に水の流れを発見し
ずいぶん早く戻ってくることが出来た


「ちょっと水質がかわってるかも」
「何にせよ煮沸はした方がよさそうね」
「引っ越しも終わったし動けば腹が減るから動いてねぇ」
「大事です」

昼時になりカップ麺と缶詰めを食べていると箱が
出て来たのは『登山靴』しかもなぜか2足

「靴が出てきました」
「俺はこの靴で十分だがお前らの装備は防御が低そうだからな」
「言い方として間違ってはあらへんね」
「足を守れるのはけっこういいんじゃないかしら」

皆でゆるやかに火を焚いて温まり
動かない事で空腹をどうにかする
薪だけはかなりの量があるので当分の間はここから動かないだろう

『へーろー』

焚き火しかしてない最中に虫歯菌のデフォルメにしか見えない例の課金キャラが現れた

「何でかしら?」
『その剣で木を削っていただろ?』
「成程」
『それよりも今回このボッタ君様がもってきたアイテムはパンが10で2万円!!』

一個2000円もする法外価格だが買うしかなく

「いいの?」
「借金してでもなんとかする」
「これだけパンが食べられるんなら少しぃの間は食料ももつんかな?」
「4人もいるから2食程度よ」
「とにかく耐久の時だな」
「ずっとテントで寝ているのもありでよね」
「いや夜に寝れないのはきついだろ」

こうしてなるべく動かないようにして夜を迎え
箱が現れたが内容は靴下
着替えがないので悪くは無くても食べ物が良かった


「靴下だった」
「パン食べてさっさと寝るか」

テントに戻って就寝
毛布と寝袋で十分にとはいえない寒さだが
前の激寒の夜に比べればまだ耐えられた
翌日にかなり早朝で目を覚ました

「あああああああっ!!」

久利巣の大声に目を覚まして
同じく起きた彦星と共に
寒いとか思ってられずパジャマで外に出た


「久利巣さんどうしたの!?」
「こ、これっ」

『お米 5きろ』

袋には確かにそう書いてある
日本人たちが揃っているのだ
米など何日も食べられなかった

「火だっまずは火を用意して水をっ!!」
「アタシたちは着替えてからよ」
「寒いもんね!!」
「それよりお米が今まで無かったから蓋の無い鍋しかなくない?」

ヒロが手を挙げた

「米を炊く奴ならあるぞ?」
「え」
「ほら蓋のついた鍋」

ヒロが荷物用のテントから持ってきたのは確かにフタ付きの鍋

「ほんとだいつの間に!!」
「久利巣がいた山で手に入れた奴」

こうしてまずは焚き火をして
水を入れる分量がイマイチ分からないがそれでもキャンプ経験者
どうにか見た目で判断して米と水を鍋に入れた

「ぐつぐつしてきたな!!」
「まだです―――まだッ」

そうして出来上がった米を皆で分けて食べる
おかずは調味料の塩を少しふっただけ
それでも本当に美味しかった

「5キロって確か4人家族で10日ぐらいだったかな」
「確かに残りはそれなりにあるわね」
「それまでに食料も出てくんだろ」
「しかし結構な量やなぁ」

まだあるので皆で食べきった
じっとしているのも大事なのだが水が無い
ヒロ・彦星で迎い久利巣と拠点に残る


「体力はあるねんけど重い物がもてへんのがネックすぎるで」
「久利巣さんは薪を細かくしてくれるかな」
「ええんやけどタロウさんは何するつもりなんや」
「水のろ過装置を作る」
「確かにこの水がもっときれいになれば往復もへるなぁ」

水溜め装置の穴を少し広げてそこにラップをしく
布と砂、石、灰、を入れて

「木くずとかどうや?」
「採用」

ペットボトルが無かったので(全部もってかれた)
代わりにヤカンをつかって水をくんでろ過していく
思っていたよりも成功した

「もどったぞー……ため池の水がくっそ綺麗」
「ここまできたら煮沸すればギリギリ飲めそうね」
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