愛玩用クローンが初めて恋を知る話

宝者来価

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転 最後の1夜

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惚れた相手が王妃様だと聞いてから数日後の夜だった


「ちょっ、あんたに『勇者様』の指名はいったわよ!?」
「え」

彼が店に来てくれたやっと、確かめられる
慌てて2階から受付へと走った、階段から転げ落ちそうになりつつも急がずにはいれらない
たどり着けば、ドレスは着ていない勇者。

「このようなお店は初めてでして……名刺を貰えてよかったですよ、ドレスコードはあってますか?」
「は、はいっ!!」

受付をしてくれてるボーイが気をきかせてくれた

「アミちゃんでしたら丁度あいてますよ、奥へどうぞ」
「こちらですっ」


案内して歩いている間も、慣れてる仕事とは思えない程にぎこちない動きになってしまう
慣れた筈のベッドにたどりついても身体はまだ固まったままで
このままでは『大した価値が無い』と思われてしまう

愛玩用として生まれて来た自分にとって、それだけは嫌だった


「私はNG無しですっ、どのようなプレイをお望みで?」
「スタンダードなものはありますかね?」
「はい、勿論です!私に任せてくださいっ、ぜったい気持ちよくしてみせますから!」


恥ずかしくて顔を隠したいのを必死で耐え、服を全て脱いだ
抱く相手の顔が見えないなど『こういう店』では絶対にしてはいけない事だ
今日はまともな恰好の彼の服を脱がして

「やっぱり少し、恥ずかしいですね」
「分からなくても私に全部おまかせください!」
「……」

『人並み』に擦れば起ちもする
胸でつつんで舌で責めて、フィニッシュまで行かなかった者はいない
だが、他の者より時間が経過しても彼は出さなかった。

「あ、あれっ?」
「どうかしましたか?」
「これ気持ちよく、ないですか?」
「いいんですが……私から触っても構いませんか?」
「それは勿論―――」

ふにっ

「あっ…‥!?」

胸を揉まれただけで、演技で声を出そうとしなくても勝手に出てくる
乱暴にやってくる客が大半のなかで優しい手つきがむしろもどかしいくらいだった。

「可愛い声ですね、こちらも鳴いてくれますか?」

膣に指が入り、流石に慣れていない素人には無理だろうと高を括っていた
しかしすぐにイイトコロに指を当ててくる


「ひゃあっ!?……えっ、ん…っ…!!」
「気持ちいいですか?女性の方を抱く方法は一応、学んでから来たつもりなのですが」
「イくっ!!イっちゃいますからっ!!」

指だけで、ここまで乱されるのは初めての事だった
好きな相手だというだけはない、まぎれもなく彼は『テク』を持っているのだ

「良かった、貴方を気持ちよくしてみたかったんですよ」
「イッーーーーーー!!」
「この動きは、絶頂ですかね?」
「も、おちんちん入れて下さいっ……」

こんな調子では最後までもたないのだ


「まだほぐれて無いのでは?」
「慣れてますし、この大きさなら平気ですよっ!!」
「……分かりました」


繋がった後も、さんざん心の底から声が出た。
普段なら痛かろうと演技するのだが、今日だけは違う
好きな人と繋がれるのは、こんなにも気持ちがいいのだと初めて分かったのだ。













やがて時間になり、これだけは聞かなければならなかった。

「お客様、招待券を用意しますのでお名前を教えて下さい」
「すみません、立場があって名乗れないのです―――」
「そうっ、ですか……分かりました」

最後まで可愛い私でいるために、手を振って見送り終わるまで笑顔を止めなかった。


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