31 / 60
31話 幼い
しおりを挟む城に魔王と王妃は戻って来た
「クソッ、何がどうなっているんだ」
「今までどこにいたのか知らねえが今はそれより、こっち来てくれ!!」
魔王と6024が急いでその場所へ行くと、縛り上げられたゼルディンがいて
「様子がおかしいんだです!」
「ハナ!?良かった無事で、ハナが言うのなら本当におかしいんだろうが……どこ、が」
しっかり生きているのが分かり安堵するも、彼はとてつもない事を口走った
「ここは何処なんです!?日本ではないんですか!?」
状況を理解したのは『勇者』と『魔族』だけで、あとは『ニホン』が何なのかという話が聞こえて来た。
「ねぇミナト……日本って確か旧世界の国よね?」
頷く事も出来ない魔王に変わって6024が応えた
「うん、僕らの故郷だ」
「待ってください!まさか」
「今は何も喋らないでほしい、君は今『罪人』だ。仲間がいれば連隊責任をとらされるよ」
「……」
案外被害者は少なかったものの、兵士長と王妃の護衛ヘリウズは互いに重症
更には兵士数名が敵に魔法でやられていた。
「俺を信じて付いて来てくれた者たちに、俺は……」
「むしろ助けたいって思ってここに来てるのよ皆、アンタは堂々としなさい」
「ですわです」
――――――――――――――――――
魔王の部屋
魔王、王妃、ミミ、ハナ、715、イチの6人だけで確認を始めた
「お兄様、何も覚えていないのですね?」
「……はい、いえ正確にはミナトやお父様の名前がバースな事など覚えている事はあるのですが」
「バースって、あのバース・ディンですか?」
「……ああ」
715からすれば、クローンの『教育プログラム』を作った科学者であり有名人だった
彼は『国の為に家族を捨てた』人間であり嫁や子供の扱いが酷いというのはクローンですらある程度知っている常識である
「そうだ自己紹介しましょう、私はナイゴといいます、クローンナンバー715と言った方が分かりやすいですかね」
「私の記憶ではまだクローン量産は実験段階だったはずなんですが」
「年齢はおいくつで?」
「11歳です」
「子供じゃないの!」
「ええと」
「アタシ?アタシはミミでこっちがハナ」
「……どうもですわです」
そして
「僕は6024、ミナトの妻です」
「妻!?あんなものが欲しかったのですか!?」
「アタシからしたら妻を迎えるって良い事なんだけど、本当不思議だわ」
「それにミナトはどうしてそんな姿に?」
「元々人間だった魔族は皆姿が変わっているのです、お兄様も変わっていますし」
「わっ自分の髪が白いですね」
記憶が無いのが演技、という線もあるにはあったのだが
皆が不思議と本当の事を言っていると確信していた
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
35
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる