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6話 欠陥は見えない
しおりを挟む6155視点
昨日は何も言いに来なかったが、隣人は何を選んだのだろうか?
「おーい6155」
「そんな律儀にフルネームで呼ばなくても」
「俺をフルネームで呼んでもらいたいからな」
「いやですよ」
「ほらご一緒にジュウニマンハッセンサンビャクハチジュウハチ」
「それより何の用です?」
「魔王様が呼んでる」
絶対、昨日の事ですね
しかしキスって口移しの事だとは思わなかったですよ全くややこしい
だとすればもう『メイドとして私の元へ来て下さい』と責任をとって言うべきですね
魔王の待つ部屋へと入って、膝をついた
「お呼びでしょうか?」
「結論から言わせて貰うが、あいつは娼婦をやるそうだ」
「はい……はい!?」
勘違いだと、記憶しているのだが
抱く気なんかねーよ的な事を叫んでいた魔王様と
キスしたつもりは無かったとかなんとか
「それで相談がある」
「相談も何も止めさせましょう娼婦なんてマネは、仕事がなければ私がメイドとして雇いますよ」
「俺だって止めようとしたが、俺も知らない最悪の自体になって」
「淫乱だったとでも?」
魔王は詳しくそして重々しく『教育プログラム』について口を開いた。
「ほんとに人間ってクソですね」
「やめろ」
「すみません、魔族は元人間でしたね……」
「その感覚が勇者たちにあるのは仕方が無い事だが、抑えてくれ」
「平和なこの世界で争いをする訳にはいきませんから勿論」
だが、それでも異世界に来てまで人間に縛られる欠陥品は哀れで仕方ない。
今は誰しもが人間として扱われるこの世界で、生き方を選ぶことすら与えられない者に心から同情した。
「相談なのだが、説明した通り娼婦として生きる以外に道は無い……よな?」
「いえ、ありますね」
「何だと!?教えてくれ」
「売るのではなく『買う』道もあります」
「買う!?」
「教育と脳の呪いはともかく『肉体』は私と同じ物、討伐や畑に工作と他の仕事をやらせても問題は無いかと」
「しかし、それでは脳が壊れてしまうのでは?」
「だから『買う』んです、ロクでなしに身体を売るよりはいいでしょう、あくまで処置として抱かれなければならないだけであって娼婦として最高位になりたいとかいう訳ではないのでしょう?」
「確かに」
だが、どうしたって人々の『目』には知らないとはいえ淫乱に映るだろう。
売っても買っても、悪いように言われてしまうのは避けて通れない。
陰口など良きものの行為ではなく気にするなと言っても傷はかならず出来る。
「それで、魔王様はどうなんです?」
「え」
「貴方は6024を抱けるんですか?」
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