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出られる部屋
しおりを挟む自分の部屋で寝たら、違う所で目を覚ました
「こ、これはまさか」
「おはよう」
「えーと、オハヨウゴザイマス」
眼鏡で一つ縛りの妖しげな男が、俺の眠るベッドに座って今時珍しい煙草を吸っていた。
「……煙管?」
「俺は道幸双六(みちゆきすごろく)あんたは?」
「鈴木進(すずきすすむ)です」
「この状況に覚えは?」
「全くないんですが、双六さんは?」
「無い」
部屋中がピンク色であり、天蓋つきのベッド
たとえラブホだとしても値段はバカ高そうな広さと設備
かるく部屋を見渡せばアメニティもあり『いい部屋』なのは事実だ
「まさか、これは……」
二次創作で流行っているあの部屋では?と扉に手をかけた
ガチャリ
「その扉、開いてるよ」
「何でやねん」
ガッツリ開いたのだ、扉が、しかも向こうに廊下が普通に見える
「少々聞きたい、君は酒などは飲むか?」
「一口のんだだけで記憶が飛びます、飲みません」
「実は俺も飲まないんだが」
酒によって、この部屋まで俺を連れて来た?
逆だったら犯罪者だし何より兄二人にバレたらまずい
誘拐なんて駄目中の駄目
「本当に、何も覚えていないんです……俺なにか、しでかしました?」
「いや?特に覚えていないがスマホに妙な記録が」
「妙?」
「これなんだが」
【愛の力を試す呪文 お互いの事を忘れてしまいますが、セックスで元に戻ります】
「……」
「どう考える?」
「呪文というより、もしかしたら催眠系のアプリなのかも」
「え?」
「物事は案外、現実でおこりうるんですよ」
「確かに呪文は非科学的ではある、な」
「ちなみに俺は記憶が確かなら職業は警察だった筈です」
「え」
「……何らかの犯罪者だったりしても、今は特別に許します」
「youtuverだ」
「え」
「もしもスタッフがしかけたドッキリなら、タネあかしするなら今だからな?」
「俺もドッキリの方が良かったです」
「状況確認をもう少ししたいんだが」
「そうですね、現場にいる訳ですし」
棚には、ローションやアダルトグッズが立ち並ぶ
「こっち来てみろ」
「何です……か?」
温泉とでも言えばいいのか、丸型でまるでプールのような見た目で
窓の外を見ればここがビルのように高低という意味での高い部屋だと分かった
「これはすごい」
「撮影しに、来たのかもしれないな……」
「スマホもう少し詳しく見て下さい、私への連絡先とかあるかも」
風呂から出て、自分の荷物を見つけた
影にかくれていたので気付くのに遅れたが、スマホや財布が見つかった
おかしな経歴もないし日付なども変に思う事が無い
「鈴木さん」
「下の名前でお願いします」
「……進さん、ここのホテル?のレシートっぽいのが財布から出て来た」
「え」
「それと、これを見て欲しい」
『鈴木様へ ようこそお越しくださいました』
いわゆるwelcomeカード、ラブホに泊まった事ないが状況からして
「忘れてるだけで、本当に自分たちで来た可能性が高そうですね……料金大丈夫かな」
「少し試したい事があるんだが、構わないか?」
「試したい事?」
「ルームサービスだ」
「確かに、人に話を聞くのはてっとり早いですからね」
ぐ-きゅるる
「腹でも返事するとか器用な奴だな」
「おなかすいたんですよ!」
ルームサービスは普通に注文出来た
「ちょっと聞きたいんだが」
『はい?』
「酒をのみすぎて昨夜の記憶がない、俺はフロントとかでなにか失礼していないだろうか?」
『いいえ?私が対応させていただきましたが『一昨日にご予約された通りの時間』に来られてましたよ』
「そうか、すまない」
朝食をおいて、スタッフは部屋からでていった
流石に空腹が限度であり二人して食べる
「美味しいですね」
「うっま!エビがぷりぷりだし、噛むと肉汁か?が出て」
「食レポがお上手ですね」
「まぁ……この感じ、レモンがいい味だしてるな」
「何をメモってるんです?」
「味」
「お料理されるんですか?」
「?さっき俺の仕事いった……あ、そうかコレ抜かしてた、料理系のtyoutuverだ」
「どおりで」
このホテルはルビーホテルというらしく、皿にそう印刷されていた
「しかし記憶が無いのは本当に変だな」
「え?」
「俺は確かに酒を飲むと記憶が飛ぶが、それは『酒を飲んだ後』であって飲む前の、それも一昨日の記憶まで消えたりしない」
「たしかに俺も同じですね……しかし本当においしい」
「無性に腹立つ」
「何でです?」
「俺の料理の方が美味い」
「ぶふっ」
思わず、拭き笑いしてしまった
「そんなに変なこと言ったか?」
「いや、ただ可愛い事いう人だなと」
「……」
「男が可愛いって言われるのは嫌、みたいな派閥でしたか?」
「いや、記憶が無いが……さっきのアプリに『愛の力を試す』とかあっただろう?」
「ですね」
「付き合ってた可能性はあると思うか?」
「んー」
自分はゲイだと思った事は無い、だが状況からしてそれすら忘れている?
「可愛いと言われたのはお前が初めてだ、だが……フレーズに聞き覚えがあるような」
====================
「可愛い……俺の」
====================
なんだ、誰だっけ?そう、確かに可愛いって
「犬に噛まれたとでも思っていっそ抱いてみます?」
「俺が抱くのか?」
「えーとですね、俺のちんこ結構でっかいので」
「抱く方やります」
いくら何でも状況からして、アプリ?で記憶が飛んでるとしか思えない
セックスすれば記憶が戻るのならばセックスすればいい
ものモヤモヤを晴らしたい
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ほんとに大きいな……」
「それより、ローションどうです?」
「凄いぬめぬめしてる」
「でしょうね、俺の尻に入れてみてください」
四つん這いになって、入れられていくが
「何だか、医療的な事されてる気分です」
「奇遇だな俺もだ」
ちゅぼっ
「所で、このローションの種類何だが」
「はい?尻用じゃないとかですかね?」
「いや媚薬入りって書いてあったけど、問題ありそうか?」
「びや……!?」
~5分後~
「ふうううううううう♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「すごいな、媚薬」
ばちゅん♡パンパン♡ぐりっ♡
いい所、全部ほんとうに気持ちがいい
「らめらめ、もうセックスしたぁ♡♡♡♡♡馬鹿になっちゃ、ああっ♡♡♡またっ♡♡♡」
「俺も、もうイ、くっ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
七日前
「お前、特殊な警察なんだよな?」
「……まぁ」
「妹がおかしくなった原因を、突き止めてほしい」
「探偵へ依頼されるような事では?」
「それも考えたが、組織的な犯罪がどうも臭い」
「ま、ちょうどいいですね」
「え」
「最近アプリで記憶がなくなる事件が多発してるんです、ご協力願えますかな?」
「分かった、ありがとな」
「あと警察だからとか関係ない、親友ですから」
現在
「思い出した」
「俺もだよ、親友だったのに……」
「めちゃくちゃ気持ちよかったですよ」
「あれだけ喘いでいれば、だろうな?」
つまり、付き合っていなかったが親友ではあった
その事を忘れる羽目になっていたかもしれない
「目覚めそう……」
「あれだけ喘いで、まだ目覚めてないは無理がないか?」
「媚薬のせいでしょ、それとも尻に才能があったとでも?」
「それは使ってないぞ?」
「へ」
「媚薬のもたしかにあったが、別に開けてない」
本当だ封がされたままだった
「俺は別に、淫乱ではないですよ」
「ところで、もう一度やっていいか?」
「何いってるんです!?」
「駄目か?」
この、犬がショボくれてるみたいな顔に昔から弱い
「……仕方ないですね、少しだけですよ」
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