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150話 消滅の時
しおりを挟む「あれ?」
俺はある国で国王をしていた、名前はカドマツ。
こんな広い草原に何の用事があって――?
思い出せることを探るが草原という言葉は出てこない。
というか俺はここ数百年の間、具合が悪くて寝たままだった。
「身体が軽い……」
「何をされているのですか?」
「れっ!?」
レイニー、ああ、そうか俺は死んだのか。
この結末は誰だって分かっていた。
転生しようが人はいずれ死ぬからな。
「カドマツ様」
「その――レイニーさん?」
「はい」
「俺の子がどこに行ったか知らない?」
「……」
彼は、何も答えなかった。
「分かってはいるんだ、分身が消滅するってどういうことか、でも、俺は頭がよくないから、推察は外れてるかもって、それで、えっと」
ようやく開かれた俺のよく知らないレイニーの口からは疑問が出た。
「どうして私が、あなたの子ではないと分かったのですか?」
「浮気防止の指輪もしてないじゃん」
「――そういう関係になっていたのですね」
「違うけど!?」
「違いましたか」
「あと、額に〈ゆ〉が残ったままだぞ?」
ごしごしと擦っているが取れなかった。
あれから数百年も経過しているのに書いたものはそのままだったのか。
お化けの存在は知っていたがここどこ?
「天国ってこと?」
「……そうですね、私はそう呼んでいます」
「広い草原だな」
でも、道はどうやらある。
二手に分かれているようだ。
「あちらにいけばレッドサンに繋がっています」
「へー」
もう一本の道を指さすレイニーさん。
「そして、こちらの道に何があるかは行くまで分かりません」
「―――リュウにもう一度会えるかな」
俺はレイニーの手を引いてその道を歩いた。
だんだん光が強くなっていく。
やがて真っ白になり、俺は日本の病院で目を覚ました。
「え?」
起きて最初に目に入ったのは医者と看護師ぐらい。あとは医療器具。
『先生!! 意識が戻りましたッ!!』
どうやら俺は異世界転生をすることになった日に戻ってきたらしい。
スマホなど基本的な持ち物があり、俺は意識を失っただけで軽傷。
家に帰り現代の最強兵器インターネットの力を借りた。
本当のことなど話しても信じられないだろうから親戚の子が虐待されている可能性があるとして情報提供を求めた。
似たような名前だが隣の県にそれらしき子がいると情報が入り数百年もやってなかった車の運転でどうにか情報元へたどり着いた。
「……」
教えてもらった場所のインターホンを鳴らしたが誰もでてこない。
俺に迷っている暇なんかなくボロボロだったドアを蹴り破った。
部屋のなかで子供が1人倒れているのを保護。
「リュウ!!」
「……」
「ほら水ッ!!」
息はあったので水を飲ませてそのまま病院につれていった。
点滴でどうにか一命をとりとめてくれて心底ほっとした。
ここからが大変だが、俺は気が付けばリュウの傍で泣いていた。
「もう俺をおいて消えないでくれリュウ―――」
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