134 / 152
133話 旅行案内
しおりを挟む「食べ物に好き嫌いがないなら、まずは飯だな」
もうすでに夕方だから混まないうちのほうがいいだろう。
「ギルドの?」
「魔物肉専用のレストランあるんだ、うまいぞ」
「魔物……」
「食べない宗派だった!?」
「いや、その……雪山って魔物ぐらいしか食べるものなくて、だな」
海で猟師している人にお魚をすすめてしまったような気まずさ。
でも、それが理由なら話が早い。
店をかえればいいだけだ。
「じゃあ南国野菜と果物の店にかえよう」
「……うん」
マキナの表情はあまり明るくなっていない。俺、またなんかやっちゃったかな。
こういう時は聞く、とにかく聞く!!
「えっと、実は野菜が喰えないとか?」
「酢豚にパイナップル入ってると食べれないんだ」
「酢豚以外を注文しような」
レストランに行くまでの道でキョロキョロ見渡すマキナ。
俺も旅行ではこんな感じにはしゃいでいたなと思い返す。
まだいけていないワイハの女の子に逆指名される店――
「あ、ここだ」
「このカタカナで『マ』は何?」
「店主や店員が全員魔物で人間とのトラブルが対処むずかしい時に掲げる看板」
「考えられてるんだな」
「まぁそれほどでもあるっていうか!?やっぱ国王だしちゃんとやったほうがいいのかなって!?仕事の一つだけど褒められてむっちゃ嬉しいっていうか……」
「もしかして思っていた100倍チョロいのか?」
お店は木製の机にカラフルなテーブルクロス。
ランプが一般的なこの世界だが蛍光灯で店内が明るい。
これは犯罪防止のためだ。今、明るいだけで? と思ったそこの人。なるんだなコレが。
暗い店はスリもしやすいし周りから何が起きたか見やすいので犯罪はとても減る。
他国からも人がくるこのあたりの店は全体的に明るくなっているのだ。
俺の努力すごい、えらい。
「おお紙だ……でも、こんなに値段がはるんだな」
「全部とか注文するのはやめてくれよ」
「そこまで金払うのは辛いか――?」
「いや、厨房で作ってるスタッフそんなにいないから時間かかるだろ」
小型の店で予約もしていないのにそんなことすれば店は迷惑である。
果物や野菜のメニューが並ぶ中で、ちょっと目立つメニュー。
なぜかラーメン売ってる。
「……ラーメンってあのラーメン?」
「ああ、あのラーメン」
こうして注文したラーメンをめちゃくちゃ美味そうにずるずる食べるマキナ。
南国の野菜とか果物一切関係ないけど本人が幸せならヨシ。
箸すら数百年ぶりに使うと嬉しそうに言っているから――
※カドマツは分かっていないが南国フルーツの入った醤油ベースのラーメンだからメニューに載っていた。
「――美味かった!!」
「それは良かった」
「しかし誰も俺たちの方みようとしなくて逆に不気味だな」
「あーそれは……そう見えないだけなんだ」
「どういうこと?」
「魔物って目がないやつ見かけたことない?」
「ある」
「人間の姿していても魔物だから、こっち振り向かなくても分かるんだよ」
「なるほど?」
外に出ると遠くで爆発が見えた。
「見ていくか?」
「国王が事件の野次馬していいのか?」
「まぁ、俺は死なないと思うし」
「弱いのにどこからくるんだその自信」
「だってお前、ずっと俺の身に何か起きないか注意してくれてるじゃん」
「なんっ!?」
指摘に目を丸くするマキナ。にーっと笑うカドマツ。マキナがキョロキョロしていたのは観光でめずらしい、というのは半分で周りがカドマツに何かしないか見張っていたのだ。
自分が闇のスキルの異世界転生者であり、何かされやしないかと――
「俺が死ねばレイニーのチンコがもげるから守ってくれ」
「見に行くのやめようぜ!?」
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。
モンド
ファンタジー
ドジな女神が失敗を繰り返し、管理している世界がえらい事になって困っていた。
ここに来て女神は「ここまできたら最後の手段を使うしかないわ。」と言いながら、あるカードを切った。
そう、困ったら「日本人の異世界転生」と言うのが先輩女神から聞いていた、最後の手段なのだ。
しかし、どんな日本人を転生させれば良いかわからない女神は、クラスごと転生を先ず考えたが。
上司である神に許可をもらえなかった。
異世界転生は、上司である神の許可がなければ使えない手段なのだ。
そこで慌てた女神は、過去の転生記録を調べて自分の世界の環境が似ている世界の事案を探した。
「有ったこれだわ!・・何々・「引きこもりかオタクが狙い目」と言うことは・・30歳代か・・それから、・・「純粋な男か免疫のない男」・・どういうのかわからなくなったわ。」
と呟きながら最後は、
「フィーリングよね、やっぱり。」
と言い切ってカードを切ってしまった、上司の許可を得ずに。
強いのか弱いのかよく分からないその男は、女神も知らない過去があった。
そんな女神に呼ばれた男が、異世界で起こす珍道中。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる