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121話 遊園地ダンジョン4
しおりを挟む「ウチは帰るで」
帰れるだけのアトラクションはクリアした。だから先にサカネさんはご家庭へ帰った。
他のメンバーは忙しいかどうか、というよりはここにきたなら獲りたいアイテムがあるらしい。何でもアトラクションを20個クリアするとでしか入手できない超・特別なレアアイテムがあるので――
「珍しいから欲しいのか?」
「違うわよ、やっかいなスキルだったりしたら変な相手に渡したくないの」
「例えば?」
「【スキル:変身(メタモルフォーゼ)】みたいなスキルが殺人強盗犯の手に渡るのよ」
確かに中央にあった巨大な看板には、アトラクションを20個クリアすれば豪華な〈お宝〉がもらえる!』と書かれている。
「既に誰かとってたりしてなー」
「それはありえませんね」
「何で?」
「こういうダンジョンの場合、宝すべてを取ればダンジョンが消滅します。ダンジョンが消えていませんし、最高難易度のダンジョンですから最低限でもウルフぐらいの戦闘力はいりますよ」
「で、そのウルフは大変なことになってる訳で」
「わん」
ウルフが犬になってしまった。いや、元々犬なんだが? 獣人ではなく犬。
「おー懐かしいなぁ拾った時のままじゃねーか」
「くぅ~ん……」
そりゃ異世界転生者だと気付かない筈だわ。ただの犬になってるもん。なでたいもん。
「どういう理屈でここまで犬だった頃になっちまったのか知らんが俺のことは理解してそうだな」
「わん」
尻尾がぶんぶん、ぶんぶん、犬って嬉しい時は本当に見た目で分かる。
「帰りなよ」
「え?」
唐突にホンイツに告げられた帰ったほうがいいという意志表示。まぁ俺は弱いし――いや犬になったウルフはまっさきに帰すべきな気もする。
「アンタ――は帰っていいわよ?」
「違う、ここにいる全員に言っている」
「てめぇッ!!」
ガゴリグさんがホンイツに殴りかかった、だけど、まったく効いている気がしない。
粘土でも殴ったかのような、威力はあっても沈むだけの拳。
色々と言いたいことはあるがとりあえず――
「まずさ? ホンイツってこのダンジョンに詳しい?」
「そうだね」
「何かクリアできない理由がある?」
「うん」
「アトラクションの数が足りなくてそもそも不可能とかなら今すぐ言ってほしい」
それならもう、速攻で帰る。
レイニーをあまり明るいところにとどめておきたくないし。
何より宝がとれないなら、やる意味がない。
「まぁアトラクションの説明を読めばきみたちも分かるかな」
「説明――あそこの看板か?」
ホンイツが指さした看板の前に移動してきて、とても意味が分かった。
俺も説明を読んだ瞬間に帰りたくなったのだ。
これがもし全員が超仲良しのパーティーなら問題なかったんだろうな。
『オールアンサー』
全員で選択を一致させなければならないクイズアトラクション。
絆の力を試そう! って書かれているが俺だって今朝に初めて会った人と意見あわせるのはキツイ。
しかもガゴリグさんとホンイツの仲が最悪なのは誰が見ても明らか。
「うわぁ人数指定がギリギリ」
「パンジーちゃんやケロリンパさんも強制参加だし確かに難しいわね」
「次はこのアトラクションですね!!」
そして――アトラクションの中に入ってしまったレイニー。今回は止めようとした、確かに止めようと思ったし実際腕だって掴んだんだ。気付かれなくてそのままずるずると引きずられて結局のところ全員で入ってしまった。
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