異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価

文字の大きさ
上 下
29 / 152

28話 胸を借りる

しおりを挟む

2週間もジーンズ王国に滞在すれば、気になるところはおおよそ見て回れた。

「さすがに路銀稼がないとな」
「もう正体バラしちゃったので討伐ランクSでも受けて大丈夫ですよ」

などと話していたら、耳ざといドラレコが聞きつけ、1枚の紙を差し出してきた。
討伐ランクSSと書かれている。Sランクよりもさらにもう1つ上のヤバい任務。
 達成できたらかなりの報酬が出るらしい。


「お前なら余裕だろ?」
「面倒ですね」
「他の奴にはお前がカミノから出てきたってことを黙っといてやるから、やれ」
「なら彼を置いていきますから、護衛おねがいします」
「いいのかよ俺に任せて」
「……カドマツ様が死ななければどうとでもできますから」

砂漠にとんでもないのが出現したらしく、討伐ランクSSの依頼ということで戦力にならない俺は留守番である。
いってらーと手をふってレイニーの姿が見えなくなるとドラレコにこれからどうしたいか聞かれた。
レイニーと一緒だと周りづらい夜のお店について聞くが、知らないと言われてしまった。

「なら他に知ってそうな人――」
「お前、本当に逃げなくていいのか?」
「えっと逆に俺がレイニーに何をされると思っているのか聞いても?」

生贄にでもされるというならここまで心配されるのも多少は分かる。
この国にきてから分かったのだが、カミノには妙にモノがなかった。
もちろん食べ物や服は売っていたし、一応は宿屋もあったのだが教会もなければ学校もなかったことを思い出した。
身寄りのない子供たちが暮らす施設どころか、親のいない子供にも会わなかった。

「監禁されるかもしれんぞ」
「またカミノで一緒に暮らそうってことですよね?」
「カミノの異常さには気づかなかったのか」
「いや、まぁいろいろと不思議な国ではありましたけど俺は特別待遇でしたし変なのに襲われそうになってレイニーたちに助けてもらったりしましたからね」

ハクア・ハートの名前を出すと頭を抱えるドラレコさん。
どうやらハクアはレイニーよりも頭の痛い問題らしい。異世界転生者にはスキルを見せろと言っていろいろと仕掛けてくるので、大勢が被害を受けているらしい。
そういう話は別にレイニーとでもできるので、ジーンズ王国で女の子と遊べる店が違法ではないのであれば行きたいとドラレコさんに頼んだ。
そしてドラレコさんの部下が知っていたお店へと案内された。

『ちょっと値段がしますけど……』

路銀は稼ぐことにしたがレイニーは金に困っていなかったようで小遣いはかなりの額を渡されていた。そのため遊ぶ金はあった。
値段がするとは聞いていたが2万マルで、そこまでではない。

俺が指名させてもらった女の子は可愛かったが口元を隠す衣装で少し顔が見づらいので10点満点のレビューを書くなら8点ぐらい。絶対に衣装は外してはもらえないらしいが別に布は薄く、肌が透けて見えていたところも踏まえての点数である。
おかげでレイニーが戻ってくるまでの間にスッキリしておくことができた。
しかし、ギルドの宿泊部屋に帰ってくると討伐ランクSSの任務に向かったはずのレイニーが先にいた。

「レイニー早かったな」
「部屋にいなかったので驚きましたよ」
「ちょっと店を探すのに時間がかかって……」

 決して俺のが遅すぎたわけではない。

「どういうお店に?」
「風俗だけど、これ名刺もらっ――」

足元に何かが落ちてるのが見えた。踏んで、つまずいて、転んで、相手が女性だったらラッキースケベ……ではなく大事故。
男のおっぱいでも柔らかいな、なんて感想と同時に気付いた。
レイニーの心臓がかなり大きく鳴っているし。鼓動も早い。

「ごめん、おっぱい揉んだ」
「……いつまで男の胸を揉んでいるのです?」
「こんなに驚くと思わなかったわ心音すげぇ」

 本当にびっくりするほど早い……いや、びっくりしたから早いのか?

「なら聞きますけど、目の前で唐突に転んだ人間に胸をわし掴みにされても驚かないんですか?」
「悲鳴あげるかもしれない」

俺が転んだ何かの正体を見れば、ガラスの玉みたいな何かだった。宝石っぽい。
レイニーが言うには、今回の任務で倒した敵は綺麗な宝石で人々を魅惑して誘い込み、地下深くの砂に生き埋めにしてくる恐ろしい奴だったらしい。

「手土産です」
「床に置いたお前も悪いわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。

モンド
ファンタジー
ドジな女神が失敗を繰り返し、管理している世界がえらい事になって困っていた。 ここに来て女神は「ここまできたら最後の手段を使うしかないわ。」と言いながら、あるカードを切った。  そう、困ったら「日本人の異世界転生」と言うのが先輩女神から聞いていた、最後の手段なのだ。 しかし、どんな日本人を転生させれば良いかわからない女神は、クラスごと転生を先ず考えたが。 上司である神に許可をもらえなかった。 異世界転生は、上司である神の許可がなければ使えない手段なのだ。 そこで慌てた女神は、過去の転生記録を調べて自分の世界の環境が似ている世界の事案を探した。 「有ったこれだわ!・・何々・「引きこもりかオタクが狙い目」と言うことは・・30歳代か・・それから、・・「純粋な男か免疫のない男」・・どういうのかわからなくなったわ。」 と呟きながら最後は、 「フィーリングよね、やっぱり。」 と言い切ってカードを切ってしまった、上司の許可を得ずに。 強いのか弱いのかよく分からないその男は、女神も知らない過去があった。 そんな女神に呼ばれた男が、異世界で起こす珍道中。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

処理中です...