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22話 遊園地が思っていたのと違うB
しおりを挟む「大丈夫?」
目が覚めたらエンマ様に覗き込まれていた。
「ここは?」
「休憩所だよ」
「それでベッドがあるのですね」
隣のベッドには三日筋肉がいて
「糖質……糖質が……来るッ」
悪夢にうなされているのは分かる
しかし声から全く内容が想像できず
一応どうにか揺すって起こした
「大丈夫ですか?」
「……糖質に負ける夢見た」
「天国で筋トレ意味ないのに?」
「確かに天国や地獄だとドーピングが主流だが」
「言い方」
髪の毛によく聞く薬があるように
天国には飲むだけでマッチョになる薬がある
病気がちだった自分や年寄りにはお手軽に楽しめるが
肉体を鍛えていた三日筋肉さんには思う所があるらしい
「エンマ様は大丈夫でした?」
「長く地獄にいると大抵の事では別に」
「……スマホ鳴ってませんか?」
エンマ様のスマホが鳴り響く
相手を見ても特に驚いたりはせず
少し離れた所で電話に出るエンマ様
「ああ久しぶり、今?友達と遊園地にいるよー」
「友達か?(小声)」
「でもそれらしい人今まで出会いませんでしたね(小声)」
しばらく会話してから戻ってきた
特に仕事の連絡などではなく
友達かと聞けば違うと答えた
「嫁だよ」
「なんだ嫁……嫁!?」
「うん」
「いらっしゃったのですか!?」
「戸籍どうなってんだよ」
「んー結婚っていうか『ツガイ』になったの法律もないような頃だから」
休憩所から出て続きの話を聞くことに
せっかくなのでレストランに入った
ウェイターがエンマ様を二度見していく
「嫁とは離婚して離れて暮らしてる……って事でいいか?」
「離婚も何もあの世には『離婚』って無いから」
「無い?」
「あくまで僕が生きてた頃の『つがい』ってだけ」
「それで放置してて怒られないの?」
「先に注文決めましょうよ」
「確かに」
『ごちゅうもんは?』
「俺この辛味イカのフライセットで」
「僕このお子様ランチで」
「こういうのって子供しか頼めない事あるよな」
「大丈夫でしょ僕えんまだし」
「そんな株主優待みたいな使い方できるもんなの?」
「私はこのオムライスでお願いします」
注文して話を聞くと嫁もいるし子供もいるし
子孫は山のようにいるのでもう他人感覚らしい
調べるのも面倒なので調べていないと
「息子や娘は?」
「転生してる、異世界に行った子もいるよ」
「天国や地獄に戻って来ないのか?」
「転生先によっては1万年コースだから」
「亀にでも転生してんの?」
「いや転生したらドラゴンでした……とかね」
確かに異世界物の龍は長生きな印象がある
実際の地球上にいる蛇などで寿命は20年ほど
空想上の生き物は妙に『長生き』な事が多い
仙人などはその代表である
「嫁さんからはどういう連絡が?」
「アリに転生するの楽しかったって」
「罰ゲームでもさせられてんのか?」
「いやゲームにもなるぐらいアリで生き残るって戦略性問われるんだよ」
「女王に仕えるって一族の生きざまは嫌いじゃないですね」
食事は美味しくレストランから出て
まだ目玉のジェットコースターに乗って無いが
胃に物を入れたばかりで絶叫は止めたほうがいいという三日筋肉のもっともな意見
「コーヒーカップは論外として」
「本当に注がれていませんか?」
「熱々の珈琲に誰が一番長く入っていられるか争う遊具だよ」
「俺の知ってるコーヒーカップと違う」
「アイスコーヒーもあるよ」
氷がいれられて中の悪魔が寒さで震えている
このアトラクションは着替えがいるのでパスする事に
着替えがあれば飛び込んでいたのかとドン引きされつつも
「こちらのアトラクションは何でしょうか?」
「ゴーカートだよ」
「これもまともじゃないんだろ?」
にしては大人気である
悪魔が列をなして並び
ただいま10分待ちですの表記
「車を130キロぐらいで運転してレースするの」
「地獄にしては思ったよりもスピード無いんだな?」
「その代わりミサイルとか搭載してる」
「いやなマ〇オカートですね」
「でも車でレースしてミサイルで妨害―――を実際に体験できるって憧れるでしょ?」
「たしかに迫力ありそうだけど」
「実は三日筋肉さんわくわくしてますよね?」
「車のゲームとか好きでな」
「乗ってる車が爆発しても退場ってだけだしミサイルも遠慮しなくていいからね」
こうして地獄のゴーカートがスタートした
自分たちを含めて車は全部で10台あり旗が降ろされスタートした
開始から爆発するレーシングカーも
「……なるほど」
注意書きに何をしてもいいから1番に車を進めろ
というのがあったので車に細工でもした者がいたらしい
しかし勝負は真剣にやってこそ面白い
「行きますよエンマ様」
ミサイルのボタンを押す
しかしハンドルテクで避けられてしまった
代わりに他の車が爆破される
観客席の悪魔たちは大盛り上がりである
どうにも賭け事をしているらしく競馬のような倍率が大きなモニターに映し出された。
自分のレートが低い
「ふふっ」
当然ッ!!突然あらわれた『今日初めてやる男』がいるなど
よくビギナーズラックなどという言葉があるが
実際に勝負をしてみれば9割9分でプロが勝つ
「だからこそ物語にふさわしいのは……ッ」
アクセルではなく『ブレーキ』を踏んだ
「まさか逆転負けするとは思わなかったよーッ!!」
「俺中盤でミサイルに当たってリタイアだったからもう少し行きたかったわ」
「というか急にいなくならなかった?」
「結局のところゴールするより全員を爆撃する方が早そうでしたので」
「俺このサイコパスと一緒にいて大丈夫なのか心配になってきた」
「レディさん何て歴史上で見ればまともだよ」
「範囲が広い」
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