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21話 遊園地が思っていたのと違うA

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地獄の遊園地にシェアハウスの皆で来た。
 
「留守番いなくて本当に大丈夫かよ?」
「赤鬼にさせてるから平気」
「俺の部屋には入れるなよ?」
「大丈夫だよ完璧に掃除してくれるから」
「そういう事ではなくて、だな」
 
アトラクションがギシギシ言っている
 
 
「いやぁ楽しみですねぇ!!」
「遊園地だって言ったじゃん」
「言いましたね」
「何この恐ろしい雰囲気」
「地獄ランドだよ」
 
 
「ようこそ地獄ランドへ~」
 
 
悪魔がお出迎えしてくれているし
沢山の悪魔が入って行く
入り口にただいまジェットコースター不調中の文字
 
「乗れないんですか?」
「いえ乗り始めたら3分に一回どこかで止まります」
「ジェットコースターの恐さってそういう事じゃないだろ」
「ここで怪我してもすぐ治るから大丈夫」
「エンマって来たことあんの?」
「初めてだよ」
 
周りがエンマ様ファンで埋まってしまった
着ぐるみのように激写される閻魔様(ついでに自分)
地獄に肖像権なんてものは無い
 
「ごめんね騒がしくて」
「遊園地のマスコットが見向きもされてなくて可哀想に思えて来た」
「並んでないなら写真おねがい出来ますかね」
「ポジティブな奴」
 
マスコットの噛みつき悪魔くんに近づいた
本当に噛みつかれた(猫に噛まれたぐらいの傷)
そのままピースした
 
「血ぃ垂れてんだけど?」
「地獄の遊園地らしくていいですね!!」
「はいチーズ」
 
エンマ様に写真を撮って貰いマスコットを引きはがした
その瞬間から傷は速攻で治り
地獄では怪我してもすぐ元に戻るが怪我をしまくる
 
という説明をここにきてようやく体験出来た
 
「あっメリーゴーランド」
「子供っぽいから嫌だったりする?」
「この状況で子供っぽいから嫌だって呑気に言ってる奴がいたらすげぇと思う」
 
メリーゴーランドの馬たちからふりおとされる悪魔たち
本物の馬にしか見えないと思っていたら
『馬妖怪からいかに振り落とされないかを楽しむアトラクションです』
看板にそう書いてあった。
 
「面白そうですね」
「確かに振り落とされるだけなら、まぁ」
「誰が一番乗っていられるか競争ね!!」
 
悪魔も意外と律儀に並んでいるので
待ち時間も少なく皆で列へ
手前の悪魔が後ろを見て二度見した
 
『えっえんま様?え、まじ?』
 
「ずっと死神のアパートに引き篭もってたから出かけるの新鮮かも」
「地獄に来ると目立つなエンマ」
「私からすれば同居しているお年寄りってだけですけど」
「年は言わないでよ」
「いいじゃねぇかすげぇ年上ってだけだろ?」
 
自分たちの番になり馬に乗った
BGMに天国と地獄が流れ始め乗った馬は必至で振り落とそうとして来る
あっというまに天空へ放り出された
 
地面に激突して全身打撲したが
 
「すぐ治りますね」
「でも痛いわやっぱ」
 
エンマ様はまだ乗っていた
そして馬も暴れている様子が無い
脅えて固まっているような
 
「動かないんだけどこの子!!」
「とりあえずエンマ様の勝ちですね」
「納得いかねぇ」
 
次のアトラクションに行く前に
遊園地によくある『ポップコーン』の店
塩やキャラメルかと思いきやソーダ味だった
 
「一つ下さい」
「探求心すげぇ」
「もう死なないと思うとやりたい放題出来るなって」
「その発想ってまともな人間から出るもんなのか?」
「ソーダ味おいしい」
「あ、本当だ」
「ほら三日筋肉さんもあ~ん」
「んぐ!?思ったよりいける」
 
※翌日の新聞でエンマ様にあーんさせた男として1面を飾る
 
「お化け屋敷ありますよ」
「俺ら死んでるのに?」
「本物の妖怪が出るドキドキお化けやしきですって」
 
『出て来るオバケはみ~んな本物!!殺されずに出てこれるかな!?』
 
「これもオバケ屋敷の趣旨となんか違う気がする」
「いざとなったらエンマ様を盾にして逃げます」
「それはいくらなんでも酷いだろ!?」
「任せてよ」
 
中に入ったらこっちを見てにやりと笑う美女
色白で着物を着ていて何より寒い
もう既に春なのだが妖怪がいれば夏に冷房がいらないのかもしれないほど寒い
 
「怖いとかじゃなくてクッソ寒い」
「雪女さん手を振っていますよ」
「こんにちは~通りますね」
 
入り口の雪女が一言
 
『このバイトいるだけでいいから楽だわぁ』
 
「あの方ってバイトさんなのですね」
「ちょっとかわいかったけどな」
「タチの方が可愛いもん」
「確かにそうだけど……さっむ!!」
 
温度がさらに下がったので早々に先へ進む
こんどは別に寒くはないが
地蔵がならんでいる
 
「お地蔵様って地獄にもあるんですね」
「でも妖怪でもないしここは安全ってことか」
「地蔵なんだからそんな訳なくない?」
「え?」
 
地蔵に足が生えて立ち上がった
明らかに追いかけてきているし
踏みつけようとして来て
 
「うおおい!?」
「アレに当たったら怪我ではすまなそうですね!?」
「……」
 
全く狙われないエンマ様
 
「ずりぃ!!」
「正体を表せ」
 
パンッ!!
エンマ様が手を叩くと地蔵は煙と共に消え
代わりに現れたタヌキが頭に葉っぱを乗せていて
 
『たぬ~!?』
 
びっくりしてその場に落っこちた
狸は『たぬ~』と鳴くのかと驚いたが
実は化け狸という妖怪であって実際の狸とは異なるらしい
 
「次の部屋に本当に怖い妖怪がいますって注意がありますね」
「例の牛鬼?がいるとか」
「わらわらいたら気持ち悪いから嫌だな」
「そんなゴキみたいに存在してるもんなの……?」
 
扉を開けたらスーツの男がいて
 
『締め切り明日ですけど大丈夫ですか?』
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