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20話 ひな祭りが思っていたのと違う
しおりを挟む3月3日
『はい今日はひなまつりだからね、これ』
天使から『ひな祭り菓子』を受け取って階段で箱を開けた
てっきり煎餅などだと思っていたら
出てきたのは和菓子に羽飾りがついたもの
「ちーっす」
「何時も思いますが登って来られるまで早いですね」
「慣れた」
「それで今日はひな祭りだという事で」
「羽菓子っていうんだよ」
3月3日は『雛祭り(羽まつりとも言う)』の行事
雛が新たな門出をする日としての祝日で
今日は天使もほとんど休みで上級の天使だけがいるらしい
「祝日出勤なのに嫌そうにしていませんでしたね」
「神様にアピールするチャンスは天使にとって争奪戦だから」
「天使ってそういう所ありますよね」
「ちなみに今日に合わせて異世界転生する奴が多い」
「へー」
「ギガデビルが沢山出るから外は歩けねーし暇だよな」
今まで聞いた事が無い単語である
デビルは本来悪魔だが
目の前には優しい(?)彼しかいないし
スマホの容量?
「ギガデビルとは何なのですか?」
「はい!?」
「え?」
「天国でも多少は見るだろギガデビル!!」
「何の話かちょっと分からないですね」
「確かに最近は少なくは―――エンマちゃんと電話させて貰えない?」
「え?」
コールしてみた
本日の閻魔様はおうちでゴロゴロしていると聞く
別に閻魔様の方が平助を嫌っている様子も無いので電話した
『もしもーし?お仕事ちゅうに何のお電話?』
「いえ、私ではなく何故か平助さんが閻魔様とお話があると」
『階段地獄ならスマホ持ち込めないもんね……いいよ変わって』
スマホを貸し出した
「ギガデビルの事ひとことも話してないでしょ閻魔ちゃん」
『――――!?』
「なんの対策もして無いって聞いて焦ったんだけど」
『――――!!』
「天使にでも迎えに来させろよ俺ちゃん悪魔だし」
スマホを返された
「エンマ様いったい何の話をされていたのですか?」
『今日は絶対に真っ直ぐ帰ってね!?』
「それは構いませんが」
『そうしないと死ぬよ?』
「天国で死ぬんです?」
『身体は戻せはするけど――』
突如の地震にスマホを落っことしてしまった
それも暗闇の先、地獄階段の下層
絶対に興味本位でも行かない方が良いと言われた場所
「スマホ落ちちゃったので飛んで行って来ます」
「俺ちゃんと新しいスマホ買おうな!!」
「地獄を見るチャンス……」
「今日じゃ無くていいじゃん!!」
「なら今度にします」
「今度でも本当はダメなんだからね?」
登ってきた悪魔たちにおかしを配り終えたので
仕事が終了し平助とスマホを買いに行こうとしたのだが
今日はダメらしい
「お前の事ギガデビルから守れる気がしないもん」
「そんなに恐ろしい存在なのですね」
「今日はもう超急いで帰らないと後悔するよ~」
という忠告を聞いてから門をくぐって天国へ帰って来た
人が歩いていないのは皆が空を飛んでいるのでいつもの事
5mある白い化け物がこちらに向かってきている
「はい!?」
それが『紙』で出来た集合体だと気づいたのは追いかけられたから
一体一体が人間の形をしている様子だが
明らかに口も牙もあるし狙われている
作家をしたあと病気で死んだ人生で当然走り慣れている訳もなく
あっという間に追いつかれ
『おおおおおおおおッ』
化け物の手に捕まれた
圧倒的な握力に為す術が無いし
骨が砕ける音が聞こえた気がする
「痛っ!!!」
だがそんな事よりも口元に持っていかれそうになり
エンマ様の姿が遠くに見え
発した言葉はハッキリと聞こえた。
「天誅」
雷が唐突に落ちて来てデカくて白い化け物を焼き払った。
地面に落っこちて痛む身体を抑える
駆け寄ってくるエンマ様
「え?」
「スマホ急に連絡できなくなって心配したんだからね!?」
「落っことしたので明日にでも地獄の下層へ取りに行きます」
「止めて?」
「あるいは閻魔様カバー付きの新しいスマホ買います」
「何で?」
「乙女ゲーでヒロインを助けた攻略キャラみたいだったので」
「同居人が僕推しになりかけてる!!」
ギガデビルを恐れていた理由はこれでよく分かった
しかし何故あんなものが天国にあるのかが不思議で
天使も戦おうとする様子は無く
「あれって一体?」
「ほら早く家に入って」
中に入って滅茶苦茶に痛む身体
さきほど握りつぶされかけたせいだろう
エンマ様に治療してもらいつつ
「あれがギガデビルですか?」
「そうだよ」
「想像していた見た目と違いました」
「今日は転生をうながす日だから転生しろっていう神様の脅し?だと思って」
「あれが嫌で転生する人もいるにはいるのですか?」
「本当は問題が無い人間はお守りを持つんだけど……すっかり伝え忘れてた」
どうやら交通安全みたいなお守りがあり
それさえ持っていればギガデビルから狙われる事はないらしい
反感もなくはないが
「200円のおまもり買いたくないってだけで殺されるかもしれない闘いやりたい?」
「いいえ全く」
「スマホカバーについては何でもいいから地獄の下層にはいかない事!!」
「喧嘩とかしていて楽しそうなのに」
「好奇心が抑えられないなら地獄ランドとか見学行ったら?」
「何ですかその遊園地みたいな名前の建物は?」
「遊園地だよ」
「地獄の遊園地ですか!?」
「本当にいつ落っこちるかわからないジェットコースターとか」
「とても乗ってみたいです」
「今度行こうか」
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