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17話 節分が思っていたのと違う
しおりを挟む仕事に復帰して地獄階段の休憩所。
「よっす」
「あけましておめでとうございます」
「神様には何を願ったん?」
「カイロを」
「何て?」
「実物はコチラ」
「叶えて貰ったのか!?」
「天から降ってきて頭にたんこぶが出来ました」
「神ちゃんそういう所あるよなぁ」
悪魔なのに神様の悪口をいって大丈夫なのだろうか
しかし結構見るのでそこまで神様も暇では無いだろう
エンマ様にいたってはカイロが落ちてきた後ものすごく文句言ってたし
「皆さん気軽にディスりますね?」
「明確に悪意があってやってる訳でもねーしな」
「そうですか?」
「つーかそろそろ節分だけど準備終わった?」
『節分』という単語は分かる
豆まきをしたり豆を食べたりする日だ
鬼薬に鬼は外と言うアレだ
しかしやるといっても豆とお面ぐらいだろう
「じゅん、び?」
「もしかして何も聞いて無い!?」
「天獄や地獄では行事が違うなぁとは思っていましたが」
節分は家から出てはいけないらしく
家の中に色々と貯めて置いて1日過ごす
本を読むとかスマホでゲームをしてもいい
「何よりご馳走を用意するんだよねぇ」
「おせちのような?」
「いやピザとかケーキとか」
「節分ってそんな西洋的な行事でしたっけ?」
「じゃあ聞くけど『おせち』とクリスマスのご馳走どっちが好き?」
「クリスマスのご馳走です」
「だろ?」
家に帰れば冷蔵庫にはあまり入って無くて
そういえばお正月はおせちを食べていたので新しく物を買わなかった
帰ってきた二人とその事を相談する
「節分の事すっかり忘れてた!!」
「ご馳走を用意して家の中に閉じこもる?」
「聞いたところ風習で『決まりごと』ではなさそうですが」
「郷に入っては郷に従えだと思う」
「節分の日はお外で「鬼が何をしてもいい日」だから出ない方が良いよ?」
「よしご馳走を買いにいくぞ」
しかしエンマ様はローブに着替え
「僕は仕事で森に行かなきゃだから二人に任せるね」
「木でも切り倒しに?」
「熊の殺害命令が下ったとか」
「いや北海道の森って場所にどんな家でも食べちゃう白アリが発生したから」
「地名なの?」
「実在するよ!!」
三日筋肉と自分で買いに来た
しかしスーパーもデパートも皆が買いこんでろくにものが無く
いわゆるパーティー用のオードブル盛り合わせが売り切れ
だが二人で顔をあわせてなら作ればいいという事に成り
「お肉はひき肉が売ってますね」
「それさえあれば何とかなる」
「お豆腐とか」
「いいね、豆腐もうまくやればご馳走にばけるぜ?」
「お正月が終わってやすくなったカマボコがっ」
「切り込みいれてワサビだ!!」
「そうだ肝心なもの買って無いです」
「何?」
「パーティーと言えばジュースですよ」
「炭酸駄目な奴はいないしコーラとオレンジジュースにしようぜ?」
ふと目についた『何がでるかな?味 160円を籠に入れた』
「ジュースはこれでいいとしてパーティーですからね」
「何がいる?」
「ロシアンルーレットのタコ焼きみたいな出し物がいるのでは?」
「確かにパリピどもは好きだよなそういうの」
あとはお菓子を買おうとなり
「チョコレート菓子なんかも下界ではみない種類が多くて面白いです」
「節分だし豆も買っておこう」
「袋に入っていますしこれなら巻いても掃除が簡単でしょうね」
こうして無事に節分の準備は無事に終え
エンマ様も仕事から帰還
豪華料理を作る事に
「わんっ」
「タチくんにも豪華フード用意したからね」
「今そいつ犬みたいな鳴き声ださなかった?」
「にゃ?」
「気のせいだね」
「ほら『ささみウルトラゴージャスデリシャス&まろやかチキン』だよー」
「猫のご飯なのに美味しそうですね」
「喰うなよ?」
「お腹を壊すので最近は食べていません」
「最近?」
「食べるにしても人間は火を通した方がいいかと」
「お、おう」
こうして迎えた節分の朝
机に並べられた豪華料理を食べながら
節分特集の番組を見る
「正月は皆が教会に出かけちゃうから特番は節分の方が豪華だよ」
「悪魔ファイトに―――ドッキリ?」
「天獄でドッキリってどういうものですか?」
「103歳で大往生を迎えたお爺ちゃん落とし穴に落としましたドッキリ」
「いいのかよ!?」
「それをするのが先に死んだ姉だったりするからさ」
姉というものにはいくつになっても逆らえないらしい
死んでも治らないなんて言葉があるが
死んでから姉に落とし穴を仕掛けられるとは誰も思って無かっただろう
「あとは新・異世界転生論とか」
「何その番組?」
「毎年こういう異世界の転生先がありますって特集をやるの」
『まずは去年の異世界転生先ランキング!!男性からです』
第一位 RPGな世界でチート能力を持ちハーレムな世界
第二位 田舎でスローライフ~でも実はすごい~
第三位 美女モンスターに囲まれ大魔王
「ラノベのランキングに見えます」
「分かる」
ロシアンルーレットたこやきを美味しそうに食べるエンマ様
説明した筈なのだが気が付いたら全部無かった
カラに成った器だが確かひとつだけワサビが入っていた筈
「辛くなかったですか?」
「おすしぐらいの辛さで美味しかったよ」
「食べ物は容量を守るべきだからな」
「ロシアンルーレットの趣旨からは外れてそうですけどね」
チャイムが鳴った。
「はーい」
「さぁぶつけてくるがいい!!」
「赤鬼さん?」
「毎年『家に来る鬼に豆ぶつけるの面倒』なんて声もある中で買うとは」
「ぶつけていいのですか?」
「良い訳あるか」
「ダメなんですね」
「常識的に考えて人に食い物をぶつけたら駄目だろ」
「それもそうですね」
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