14 / 25
14話 神様が思っていたのと違う
しおりを挟むデパートで色々と買ってシェアハウスにエンマ様と帰って来た。
「帰りました」
「地獄の旅行は楽しかったか?」
「とっても」
買って来たものをしまう
食べ物は冷蔵庫へ入れて残りは部屋に
神様へ持っていく予定のハムをどうするか悩む
「何これ?」
「神様への手土産です」
「何か願い事でもあんの?」
「好奇心で会ってみたいので手土産を用意しました」
「神様に好奇心で近づくのはロクな事が起きないだろ」
「私もそう思いますが手順さえ踏めば大丈夫そうでしたから」
エンマ様は紅茶を飲んでテレビを見ている
裁判の結果が階段落ちになった事がニュースで取り上げられていた
最もその事よりもニュースキャスターが明らかなカツラ
紅茶を吹き出すエンマ様
あの世でハゲる事は基本的にないがお洒落でする人はいるらしい
「ズレが気になってニュースが頭に入ってこないですね」
「真面目な話ほどこういう地味に笑えるのが耐えるのキツイ」
「分かります」
一晩寝て次の日
エンマ様と役所に神様に会いたいと届け出を提出しに来た
窓口の天使は口をあんぐり開けて
『エンマ様が会いたいのならすぐ受理されるでしょう?』
「会いたいのは僕じゃなくてこっちのレディさんだよ」
『上級天使様ぁッ!!ちょっとこれどう処理したらいいですかぁ!?』
大ごとになった様子で
天使たちが何やらひそひそと話している
公式な手続き(?)の筈
「やりかた間違えていませんよね?」
「僕がついてきたのが不味かったかも」
「心強いですよ」
「もう紙は渡したから帰って大丈夫だよ」
「えっ?」
『お、お待ちくださいエンマ様!!』
『神様から何が何でも城へつれて来てほしいと言われているのです!!』
『どうかご同行して下さい!!』
天使たちが土下座している
日本文化だが日本の天国なので当然といえば当然だ
エンマ様は嫌そうな顔
「そんなに変わった方なのですね?」
「二人が会うのは止めないしわりとどうでもいい」
「神様への謁見(えっけん)が!?」
天使たちはそこを何とかと説得しようとしている
こっちにもすがりだし何とかしてくれないかと
しかし事情は知らないし会いたかった自分についてきてくれただけを無理に言えず
「それはちょっと――」
『あれ?階段の給湯係さんじゃありません?』
「いつもバックヤードにいる天使さんどうしてここに!?」
『あまりの出来事でしたので全ての業務作業を一旦とめてこちらに』
「何故こんなに天使の皆さん必死なのでしょうか?」
別にエンマ様はこうして普通にいるのだから会いにくればいいような気がする
『神様だからこそ出来ない事って沢山ありまして』
「例えば?」
『神様って城から出られ無くて』
「どんな理由で?」
『身体が30メートルあるので一般的な場所だと壊してしまいますから』
「思ったよりも物理的ですね」
確かに天国も地獄も30メートルの巨体な人は見た事が無い
でも神様が巨大というのは何となくイメージがあるなと思う
受付の天使が続ける
『もしエンマ様とお二人で会いたいというなら1秒で受理出来ます』
「本人が嫌がっている事をやりたくありませんよ」
『ならあなたの事を首にしますよ?』
「え」
確かに上司にあたるので出来なくはないだろう
困った顔をしてエンマ様に向けた
現世で見た『閻魔大王』こういう顔しているよねって顔である
「ちょっと待ってて」
「スマホ?」
「Hello」
英語で話し始めたので内容がサッパリ分からない
「&%◇$#+……thank you」
「お電話は誰とされていたのですか?」
「神様」
「神様ってスマホ通じるのですね」
「本当は許可とか色々手続きがいるけど会わせてあげる」
「会いたくないのにご無理をさせてしまいましたか?」
「僕は会わないよレディさんの許可とっただけだもん」
こうして一人で神の城に行く事に成った
見た感じがふわふわの雲で地面も立てているのが不思議だ
天国は雲の上にあるイメージだったので空港よりも『らしさ』はある
『Hi』
「え?」
『……Who are you?』
そうか神様がいるのは日本支部ではない
だとすれば英語を話しているのも納得だ
しかし自分は高卒で英語はそこまで話せない
「あ、あいむ『レディ』」
『lady……?』
「スマホで書いた方が良いかな?」
≪I am レディ・ゴー≫
「oh!!」
見せろと言われていた鍵を見せた為どうやら理解して貰えた
何人も列を成し神様に会いたがっている様子
お城の中は何もかもが大きくて小人になった気分になりつつ
『ヨクキタナ』
神様は30メートルあるイカだった
見間違えをしているのかと思い目をこすってみる
足が10本あり真っ白い身体
「あ、ええとこれ手土産のハムです」
『エンマハタノシクヤレテイルカ?』
「少なくとも今日までは楽しそうでした」
招待が巨大イカでも笑えば分かる
もうニッコニコである
このホラー展開があるならば先に教えて欲しかった
『スマナイナメンドウヲカケテ』
「いえ、こちらこそお忙しいのに私のようなただの好奇心で来ている者に会っていただき感謝しています」
巨大イカの大きな足が一本だけこちらを向いた
『アノモノニハタダイナオンガアルノダ』
「神様がエンマ様に恩?」
『ナンデモネガイヲカナエルトイッテイルノニコナイ』
「何か嫌がる事でもしてしまったのですか?」
『ネガイハゼンブカナエテキタノニコナクナッタ』
何者かがお願い事を叶えてくれる作品ってろくな事がない気がする
昭和にはギャルのパンツを願った漫画があったらしい
ギャルが身に着ける為のパンツであれば服屋で買えば済む話
誰かのだとすればそれは泥棒ではないか?と思った。
「どんな願い叶えたんです?」
『メダッテシカタナイカラスガタヲカエタイ』
「元々おおきな身体だったそうですものね」
『シゴトツカレタカラヤメタイ』
「退職届けですね」
『エンマガテンセイシナイヨウニナンデモシテキタカラナ』
転生させないパワハラの上司は確かに嫌で会いたくないですね。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
召喚されたのは、最強の俺でした。~魔王の代理となって世界を支配します~
こへへい
ファンタジー
激闘の末、勇者一行は人類を日々脅かしていたあの魔王を討伐することに成功した。
ように思われた。しかし魔王は自身の姿を見目麗しい女性の姿から、非力で小さな幼女の姿に変えて逃走を図った。
その姿を見た勇者一行は、魔王の息の根を今度こそ止めるべく後を追う。人類のために、平和のために。
そんな魔王が、勇者に対抗すべく全ての力を振り絞り召喚したのが、不詳この俺ということらしい。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【完結】ガラクタゴミしか召喚出来ないへっぽこ聖女、ゴミを糧にする大精霊達とのんびりスローライフを送る〜追放した王族なんて知らんぷりです!〜
櫛田こころ
ファンタジー
お前なんか、ガラクタ当然だ。
はじめの頃は……依頼者の望み通りのものを召喚出来た、召喚魔法を得意とする聖女・ミラジェーンは……ついに王族から追放を命じられた。
役立たずの聖女の代わりなど、いくらでもいると。
ミラジェーンの召喚魔法では、いつからか依頼の品どころか本当にガラクタもだが『ゴミ』しか召喚出来なくなってしまった。
なので、大人しく城から立ち去る時に……一匹の精霊と出会った。餌を与えようにも、相変わらずゴミしか召喚出来ずに泣いてしまうと……その精霊は、なんとゴミを『食べて』しまった。
美味しい美味しいと絶賛してくれた精霊は……ただの精霊ではなく、精霊王に次ぐ強力な大精霊だとわかり。ミラジェーンを精霊の里に来て欲しいと頼んできたのだ。
追放された聖女の召喚魔法は、実は精霊達には美味しい美味しいご飯だとわかり、のんびり楽しく過ごしていくスローライフストーリーを目指します!!
どうせ俺はNPCだから 2nd BURNING!
枕崎 純之助
ファンタジー
下級悪魔と見習い天使のコンビ再び!
天国の丘と地獄の谷という2つの国で構成されたゲーム世界『アメイジア』。
手の届かぬ強さの極みを欲する下級悪魔バレットと、天使長イザベラの正当後継者として不正プログラム撲滅の使命に邁進する見習い天使ティナ。
互いに相容れない存在であるはずのNPCである悪魔と天使が手を組み、遥かな頂を目指す物語。
堕天使グリフィンが巻き起こした地獄の谷における不正プラグラムの騒動を乗り切った2人は、新たな道を求めて天国の丘へと向かった。
天使たちの国であるその場所で2人を待ち受けているものは……?
敵対する異種族バディが繰り広げる二度目のNPC冒険活劇。
再び開幕!
*イラストACより作者「Kamesan」のイラストを使わせていただいております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
邪神降臨~言い伝えの最凶の邪神が現れたので世界は終わり。え、その邪神俺なの…?~
きょろ
ファンタジー
村が魔物に襲われ、戦闘力“1”の主人公は最下級のゴブリンに殴られ死亡した。
しかし、地獄で最強の「氣」をマスターした彼は、地獄より現世へと復活。
地獄での十万年の修行は現世での僅か十秒程度。
晴れて伝説の“最凶の邪神”として復活した主人公は、唯一無二の「氣」の力で世界を収める――。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる