死んでみたら天国が思ったのと違う~あの世スローライフ~

宝者来価

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14話 神様が思っていたのと違う

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デパートで色々と買ってシェアハウスにエンマ様と帰って来た。
 
「帰りました」
「地獄の旅行は楽しかったか?」
「とっても」
 
買って来たものをしまう
食べ物は冷蔵庫へ入れて残りは部屋に
神様へ持っていく予定のハムをどうするか悩む
 
「何これ?」
「神様への手土産です」
「何か願い事でもあんの?」
「好奇心で会ってみたいので手土産を用意しました」
「神様に好奇心で近づくのはロクな事が起きないだろ」
「私もそう思いますが手順さえ踏めば大丈夫そうでしたから」
 
エンマ様は紅茶を飲んでテレビを見ている
裁判の結果が階段落ちになった事がニュースで取り上げられていた
最もその事よりもニュースキャスターが明らかなカツラ
 
紅茶を吹き出すエンマ様
 
あの世でハゲる事は基本的にないがお洒落でする人はいるらしい
 
「ズレが気になってニュースが頭に入ってこないですね」
「真面目な話ほどこういう地味に笑えるのが耐えるのキツイ」
「分かります」
 
一晩寝て次の日
エンマ様と役所に神様に会いたいと届け出を提出しに来た
窓口の天使は口をあんぐり開けて
 
『エンマ様が会いたいのならすぐ受理されるでしょう?』
「会いたいのは僕じゃなくてこっちのレディさんだよ」
『上級天使様ぁッ!!ちょっとこれどう処理したらいいですかぁ!?』
 
大ごとになった様子で
天使たちが何やらひそひそと話している
公式な手続き(?)の筈
 
「やりかた間違えていませんよね?」
「僕がついてきたのが不味かったかも」
「心強いですよ」
「もう紙は渡したから帰って大丈夫だよ」
「えっ?」
 
『お、お待ちくださいエンマ様!!』
『神様から何が何でも城へつれて来てほしいと言われているのです!!』
『どうかご同行して下さい!!』
 
天使たちが土下座している
日本文化だが日本の天国なので当然といえば当然だ
エンマ様は嫌そうな顔
 
「そんなに変わった方なのですね?」
「二人が会うのは止めないしわりとどうでもいい」
「神様への謁見(えっけん)が!?」
 
天使たちはそこを何とかと説得しようとしている
こっちにもすがりだし何とかしてくれないかと
しかし事情は知らないし会いたかった自分についてきてくれただけを無理に言えず
 
「それはちょっと――」
『あれ?階段の給湯係さんじゃありません?』
「いつもバックヤードにいる天使さんどうしてここに!?」
『あまりの出来事でしたので全ての業務作業を一旦とめてこちらに』
「何故こんなに天使の皆さん必死なのでしょうか?」
 
別にエンマ様はこうして普通にいるのだから会いにくればいいような気がする
 
『神様だからこそ出来ない事って沢山ありまして』
「例えば?」
『神様って城から出られ無くて』
「どんな理由で?」
『身体が30メートルあるので一般的な場所だと壊してしまいますから』
「思ったよりも物理的ですね」
 
確かに天国も地獄も30メートルの巨体な人は見た事が無い
でも神様が巨大というのは何となくイメージがあるなと思う
受付の天使が続ける
 
『もしエンマ様とお二人で会いたいというなら1秒で受理出来ます』
「本人が嫌がっている事をやりたくありませんよ」
『ならあなたの事を首にしますよ?』
「え」
 
確かに上司にあたるので出来なくはないだろう
困った顔をしてエンマ様に向けた
現世で見た『閻魔大王』こういう顔しているよねって顔である
 
「ちょっと待ってて」
「スマホ?」
「Hello」
 
英語で話し始めたので内容がサッパリ分からない
 
「&%◇$#+……thank you」
「お電話は誰とされていたのですか?」
「神様」
「神様ってスマホ通じるのですね」
「本当は許可とか色々手続きがいるけど会わせてあげる」
「会いたくないのにご無理をさせてしまいましたか?」
「僕は会わないよレディさんの許可とっただけだもん」
 
こうして一人で神の城に行く事に成った
見た感じがふわふわの雲で地面も立てているのが不思議だ
天国は雲の上にあるイメージだったので空港よりも『らしさ』はある
 
 
『Hi』
「え?」
『……Who are you?』
 
そうか神様がいるのは日本支部ではない
だとすれば英語を話しているのも納得だ
しかし自分は高卒で英語はそこまで話せない
 
「あ、あいむ『レディ』」
『lady……?』
「スマホで書いた方が良いかな?」
 
≪I am レディ・ゴー≫
 
「oh!!」
 
見せろと言われていた鍵を見せた為どうやら理解して貰えた
何人も列を成し神様に会いたがっている様子
お城の中は何もかもが大きくて小人になった気分になりつつ
 
『ヨクキタナ』
 
神様は30メートルあるイカだった
見間違えをしているのかと思い目をこすってみる
足が10本あり真っ白い身体
 
「あ、ええとこれ手土産のハムです」
『エンマハタノシクヤレテイルカ?』
「少なくとも今日までは楽しそうでした」
 
招待が巨大イカでも笑えば分かる
もうニッコニコである
このホラー展開があるならば先に教えて欲しかった
 
『スマナイナメンドウヲカケテ』
「いえ、こちらこそお忙しいのに私のようなただの好奇心で来ている者に会っていただき感謝しています」
 
巨大イカの大きな足が一本だけこちらを向いた
 
『アノモノニハタダイナオンガアルノダ』
「神様がエンマ様に恩?」
『ナンデモネガイヲカナエルトイッテイルノニコナイ』
「何か嫌がる事でもしてしまったのですか?」
『ネガイハゼンブカナエテキタノニコナクナッタ』
 
何者かがお願い事を叶えてくれる作品ってろくな事がない気がする
昭和にはギャルのパンツを願った漫画があったらしい
ギャルが身に着ける為のパンツであれば服屋で買えば済む話
 
誰かのだとすればそれは泥棒ではないか?と思った。
 
「どんな願い叶えたんです?」
『メダッテシカタナイカラスガタヲカエタイ』
「元々おおきな身体だったそうですものね」
『シゴトツカレタカラヤメタイ』
「退職届けですね」
『エンマガテンセイシナイヨウニナンデモシテキタカラナ』
 
転生させないパワハラの上司は確かに嫌で会いたくないですね。
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