上 下
10 / 25

10話 テレビが思っていたのと違う

しおりを挟む
 
天国に来てから1週間が経過した。
 
「毎日仕事しに来るとは思わなかったぜー」
 
仲良くなった悪魔の平助と仕事中にお喋り
ほぼ毎日顔を合わせるのでクラスメイトぐらいの感覚である
どうにも無限階段はそこまで上下の距離がある訳ではないらしい
 
「欲しいものがあって」
「ここ時給がいいからすぐ買えるんじゃね?」
 
2時間で3万も貰える最高のバイトだ
悪魔も今のところは嫌な思いをしていない
生活用品の小物はシェハウスという事もあって揃ったので
 
「生前は憧れていたものがありまして」
「おーいいじゃんブランドの時計とか?」
「寝袋です」
「思ってたのと違うって俺が言う日が来るとは」
「いい寝袋って値段が数万円するので」
「確か天国だとキャンプがブームって聞いた事あるわ」
「地獄でブームって何かあります?」
「最も人気なもんは―――」
 
 
仕事が終わってからシェアハウスに帰り
仲間たちに今日みたいテレビ番組があると伝え
皆ですぉの番組を見る事に
 
『さあ始まりました悪魔ファイトのお時間です』
 
「何この番組」
「悪魔から今は地獄で何が流行りかと聞いたらこの番組を教えて貰って」
「地獄では昔から定番なんだよ」
「実はエンマ様ってかなり昔から死んでいせんか?」
「ちょっと恥ずかしいけどそうなんだよね」
 
悪魔ファイトはどうもプロレスのようなステージで
相手をどんな手段を使っても相手を場外へ出したら勝ち
ルールはシンプルで分かりやすい
 
『赤コーナーは肉体派の悪魔プロテイン大島!!』
 
芸能人みたいな名前である
登場したのはマッチョでいかにも悪役
持ってきたプロテインの入れ物をポイ捨てした
 
「あれあとでスタッフが拾うのですか?」
「ううん彼は大人気だからファンが我先に拾うんじゃないかな」
「本当だ悪魔たちが空の容器に群がってる」
 
『青コーナーは滅多にリングへ出てこない『技のヘイスケ』ダァ!!』
 
本人に番組を薦められたが出るとは聞いて無い
 
「あっあの伝説のヘイスケがリングに!?」
「有名な方ですか?」
「悪魔ファイトと言えば刀に爆弾あげく銃すらお構いなしなんだけど」
「死んで無きゃ出来ないぐらい激しそう」
「前回はマシンガンで相手を粉々にしてた」
「思ったよりこの番組ってグロかったりします?」
 
しかし持ち込んだのはスマホ一台
どう見ても武器とは言えないが
アプリでビームも出せるとは聞いている
 
 
『おおっとスマホです!!スマホビームジャブか!?』
 
プロテイン大島が真正面から向かっていく
あの巨体で殴られれば痛いでは済まない
タックルでリングのロープに強く吹き飛ぶ技のヘイスケ
 
「へ、へいすけさん!!」
「さん?」
「ファンなの?」
 
『相手に何かさせる前にぶちかますまさに悪魔!!』
 
しかしヘイスケはスマホを持って背を向けた。
 
「敵に背中を見せるの!?」
「ルールよくしらないけど不利になるだけじゃねぇか!?」
「……何か秘策のアプリがあるのではないでしょうか」
 
スマホを弄っている
 
『おおっとヘイスケ選手まさかの背中を見せたぁ!!』
 
相手はそのすきに殴りかかろうとするが
スマホから出てきたのは何と紙
しかも随分と古いし巻物だ
 
『おおっと忍者みたいに巻物をひろげたぁこれは』
 
≪愛してるぜ愛しの豊美姫!!この紙で分かるだろ浮気なんてしていない!!≫
 
 
「恋人に送ったラブレターのようですね」
「相手が怯んでるな」
「その隙に観客席から戦車の砲弾が向けられてる」
 
リングが爆発して相手が場外へ吹き飛んだ。
 
 
『勝者青コーナー!!ッ技の平助!!』
 
「毎回こーゆう勝ち方するから誰も戦いたがらないんだよね」
「思っていたのと違う戦い方でしたけど」
「でも地獄で放送されているTVも中々おもしろいもんだな」
 
『さすがは技のヘイスケ!!いまここに卑怯な手こそ悪魔という信念を貫きました』
 
ファンたちがキャーキャー言っている
リングには金やらタオルやら色々と観客席から投げられていく
しかし警備員が厳しく誰も中には入れて貰えていない
 
「流石大人気の悪魔ファイターだね」
「うわサインの転売価格10万円もしてる」
「平助さんって人気あるのですね」
「会った事あるんだけど他の悪魔の兄貴分みたいな感じで悪魔にしてはいい人だよ」
「良くしってます」
「地獄で仕事すれば会う事もあるか?でも滅多に姿を見せないって有名」
 
スマホが鳴る
 
『おっと平助選手そのままスマホでどこか連絡しています』
 
「こんばんは」
「見てる?」
「ええ、シェアハウスの方と一緒に見ています」
「明日好きな物にサイン書いてあげるから持ってきて欲しい物があって?」
 
 
 
 
 
 
 
翌日の階段
 
 
「これにお願いします」
「何で死神用の鎌?」
「同居している方がファンでして」
「いいよー物は?」
「持ってきましたけど」
 
頼まれたチロルチョコを差し入れた
あれだけ差し入れされているのに
階段には自分で物が持ち込めないらしい
 
「みんなー!!今日は休憩所に天国チョコのお菓子があるぞー!!」
 
下に向けて叫びしばらくすると沢山上がってきた
チョコレート菓子を貰う為に大人が整列していく
菓子メーカー『天国チョコ』はあの世では大人気ブランドらしい
 
「死神って普通は専用のアパート暮らしなのに」
「アパートの住民と合わなかったらしいです」
「それで天国のシェアハウスは驚き」
「良い所が一件だけ空いていて速攻で入れて貰えたのですよ」
「あーあの事故物件か」
「え?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

どうせ俺はNPCだから 2nd BURNING!

枕崎 純之助
ファンタジー
下級悪魔と見習い天使のコンビ再び! 天国の丘と地獄の谷という2つの国で構成されたゲーム世界『アメイジア』。 手の届かぬ強さの極みを欲する下級悪魔バレットと、天使長イザベラの正当後継者として不正プログラム撲滅の使命に邁進する見習い天使ティナ。 互いに相容れない存在であるはずのNPCである悪魔と天使が手を組み、遥かな頂を目指す物語。 堕天使グリフィンが巻き起こした地獄の谷における不正プラグラムの騒動を乗り切った2人は、新たな道を求めて天国の丘へと向かった。 天使たちの国であるその場所で2人を待ち受けているものは……? 敵対する異種族バディが繰り広げる二度目のNPC冒険活劇。 再び開幕! *イラストACより作者「Kamesan」のイラストを使わせていただいております。

棘薔薇呪骨鬼譚《イバラジュコツキタン》

智郷めぐる
ファンタジー
★平安時代 × 明治大正ロマン × 古代から中世の中華文化 × ファンタジー★  主人公は先祖代々皇帝家に仕えてきた〈影〉の存在、杏守《あんずのもり》家の娘、翼禮《よくれい》。  一族は全員仙術師という特殊な存在で、京《みやこ》には他に仙術師は存在しない。  翼禮の血にはかつて最強と謳われた魔女にかけられた呪《のろい》が大隔世遺伝によって受け継がれており、産まれた時から意志に反して身体に出現する〈棘薔薇《いばら》〉に苦しんできた。  暗殺をもいとわない仄暗い仕事を請け負いながらも、表向きは平穏な普通の家族として生きていたある日、皇帝家が簒奪され、新たなる王朝が誕生した。  国としての変革の時。それは翼禮も無関係ではなかった。  なんと、杏守家が新皇帝によって〈影〉の任務から解雇されてしまったのだ。  しかし、翌日、翼禮だけが再雇用されることとなり、それには理由があることを悟った。  杏守家にはある秘密があり、それが新皇帝にとって脅威とみなされたのだ。  この雇用はある意味監視。人質も同然であった。  両親が意を決して断ろうとした瞬間、翼禮は言った。  「喜んでお引き受けいたします。両親が賜ってきた恩を、わたくしがお仕えすることで少しでもお返しできましたら幸いでございます」と。  見極めてやろうと、そう、翼禮は思ったのだ。  先祖代々仕えてきたにもかかわらずばっさりと一家を切り捨てた新皇帝とやらを。  彼はまだ気づいていない。  〈影〉の中でも、一番厄介なものを懐に入れてしまったことに。  翼禮が請け負った仕事は京《みやこ》の安全を保つこと。  京の周囲にはいくつかこの世とあの世を繋ぐ太門《たいもん》という門がある。  その門周辺には妖魔《もののけ》や凶鬼《きょうき》が巣食っており、人間を食料として襲うという事件が多発していた。  魔物を倒せるのはそれ相応の力を持った者だけ。  翼禮は市井の人々を助けるため、山へ入り、太門に向かった。  すると、そこには普段とは違う、大きな力の痕跡が……。  これは間違いなく、魔物たちの王族、〈禍ツ鬼《マガツキ》〉に違いない、と、翼禮はたった一人、山の奥へと入っていった。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

はい、こちら黄泉国立図書館地獄分館です。

日野 祐希
大衆娯楽
 就職初日に階段から足を滑らせて死んでしまった、新人司書の天野宏美(見た目は大和撫子、中身は天上天下唯我独尊)。  そんな彼女に天国の入国管理官(似非仙人)が紹介したのは、地獄の図書館の司書だった。  どうせ死んでしまったのだから、どこまでも面白そうな方へ転がってやろう。  早速地獄へ旅立った彼女が目にしたのは――廃墟と化した図書館だった。 「ま、待つんだ、宏美君! 話し合おう!」 「安心してください、閻魔様。……すぐに気持ちよくなりますから」(←輝く笑顔で釘バッド装備)  これは、あの世一ゴーイングマイウェイな最恐司書による、地獄の図書館の運営記録。 ※『舞台裏』とつく話は、主人公以外の視点で進みます。 ※小説家になろう様にも掲載中。

処理中です...