47 / 50
47話 悪夢
しおりを挟む休日はずっと部屋にひきこもって、鼓動を聞いている。
でも今日は少し違う。
ヒコ先生まで部屋にいる。
「あなたもクロノちゃんの心音、聞きたい?」
「☆ここでくつろいでるよ、だから安心しておやすみカナちゃん☆」
「……先生を、殺さないで」
「可愛い可愛い地球人さん、特別にお願いきいてあげるからキスしてくれるかしら?」
たったそれだけでいいのならとキスをした。
でも違った、引き離された。
指でヒコ先生を指す悪魔のテンシ。
「先生、恥ずかしいので目は閉じていてくださいね」
「☆それで、済むなら☆」
目の前でキスしてみせた。
どれだけ私は浮気を重ねるのだろう。
許してくれなくていいから、少しでも穏やかに。
「とっても良い子ねぇ、スタリバー星人ちゃん、おいでなさい」
彼が近づくとトントンとベッドを叩く悪魔。
私のベッドにヒコ先生は寝転がる。
そして虚ろな眼差しと目があった。瞬間、閉じた。
「いい子にするので、褒美をください」
いつものように、子供のように抱きしめられ、鼓動を聞く。
そして土・日が終わりヒコ先生は私の部屋へ閉じ込められた。
部屋から出ることは許さないらしい。
「☆充分だ☆」
「さぁ学校に行きましょう?」
帰って来たらヒコ先生が毎日いて、ねぎらってくれた。
クラスメイトは気が狂ったバチスケくんが窓から飛び降りて自殺した。
最後に謝ってた、ごめんって。
『俺』にそれをとやかく言うことなんかできるわけがなかった。
「てめぇ!!」
ソウジくんが悪魔を蹴飛ばした。
そして刺身になった。
学校の教室に刺身の盛り合わせなんていう奇抜なものができあがる。
「ほんま、ゴドにだけはてぇだしたらあかんて……」
昼休みにまた一人で食事。
冬の寒さで温かい学食が増えた。
ラーメンとか、鍋とか。
「うっ……」
吐き気がしてトイレで吐いた。
ろくに食べてないから身体はやせ細っていく。
クラスメイトが心配している様子があったが、日本人はこれぐらいよくあることだと言ってごまかした。
別に一人で食べたり、痩せたり、ないことじゃないから嘘はついてない。
放課後に家に帰って私は倒れた。
「☆カナちゃん!!☆」
ヒコ先生の腕にだかれてベッドに運ばれる。
「もう、嫌だ、クロノくんの、ところ、に」
「☆……俺からも頼むだけ頼んで、みるか☆」
「うふふ」
「☆俺は何でも、する……から、カナちゃんを、食べてくれ☆」
「なーーーんでもする?」
「☆どんなことでも、するから☆」
「素晴らしい愛だわぁ」
ご機嫌なゴドは大きく口を開いた。
身体が縦に裂けて中が見えた。
そこに地球人なら内臓があるはずだけど、どこまでも白いトンネル。
「え?」
「お二人とも、新しい世界に案内するわ……何が起きるか楽しみね?」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる