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46話 ママ
しおりを挟む「いったいうちの子に何したんですか!?」
学校の外にクラゲ、それも巨大。
クラスメイトが泣きついて外へ出て行った。
そのままウチに帰ると叫ぶヤキノリ・モチモチ。
「あらあら、ママのお迎えなんて愛情が深い証拠ね」
巨大な触手に連れていかれるヤキノリさんにどこか安心した。
そのまま自分の惑星に帰って、もう私とかかわらないでと。
願った瞬間には二人とも顔が膨らんでいた。
「え?」
「痛゛い痛゛い痛い痛い痛いいいいいいいいいッ!!!!!!!!!!!!」
プールでも膨らむのは見たけどそれよりも大きくなり、弾けた。
風船が爆発するような音と地面に降り注がれる水のような液体。
それと内臓らしきパーツがベチャベチャと落ちていく。
「つまり地球ではペットボトルという文化があり――」
先生は気づいていない。
クラスメイトも気づいている様子があるのはバチスケとソウジくん。
ソウジくんはちょっと、窓の外を見ているなって雰囲気までしか分からない。
「ちょっとカナさん? 授業中に後ろを向いてはいけませんよ」
「……すみませんでした」
謝るのは、いい。
クラスメイトが今、爆発して明らかに亡くなった。
大きな独り言が後ろから聞こえる。
「平穏な学園生活を送っていれば助かったのに」
もう一度振り返ったところでまた教員に叱られるだけ。
私は前をただ見た。
学校の授業なんて3年で終わる。
もし、私が食べられなければクロノくんが独りぼっち。
死ねない。逃げられない。前世のむくい、って奴だろうか。
「あぁ」
鐘の音が鳴る、お昼の時間だ。最近は一人で食べるようにしてる。
ぼっち飯なんて言葉がある、一緒に食べる相手がいない寂しさよりも怖さ。
朝のできごとで食欲がわかないからこそ食堂でオニギリを一つかじる。
教室だと心配されるから、トイレとかこもって食べるかも迷った。
「普通だ……」
宇宙人がいても日本の学食。
わいわいがやがや、今日の飯はA定食かB定食か。
今日の数学は難しかった、体育がきつかった。
聞こえてくる、音が、落ち着く。
「☆カナちゃん☆」
顔をあげたら、とんでもなく異質な存在。
スタリバー星人のヒコ先生が目の前に立っていた。
どうして、ここにいたら駄目だということを説明できない。
「その、ここは、ゴドが――あいつ、が」
「☆逆だ☆」
「え?」
「☆俺はここに、呼ばれた☆」
「……大人しくしていた褒美でしょうか」
浮気になるだろうか、ヒコ先生に抱き付いた。
逃げ出したいのに、逃げられない。
私があの時、死んでいたらまだ……何か変わった?
幼いころの両親の虐待を思い出す
『あんたなんか産まれてこなければ良かったのに』
ほんと産むなよこんなの、時を戻して堕胎させたい。
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