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42話 授業
しおりを挟む「一時間目はゴド様についてやります」
教師の目が、物理的に【ない】。
「「「「「ゴド様ばんざい」」」」」」
教室中から聞こえるバンザイコール、戦時中じゃねぇんだぞ。
確かに酷い恐怖はあるものの世界が崩壊してない。
どうして私の他にも宇宙船にいた面々がクロノくんを覚えている?
「はーい、じゃあ私が先生に代わって授業しまーす」
「……今は、聞きます」
「あたしはゴド星人なのは間違ってないわ、私がゴドなだけで」
ゴドというのはこの宇宙で強い魔法が使える宇宙人。
でも強すぎる力だから制約はある。
その一つがソウジくんやバチスケ、ヤキノリに【一度魔法を使ったこと】らしい。
「回数制限?」
「まぁ正解ね……使えないわけじゃないのよ?」
「【私なんか】より悲しい目にあってきた地球人はいるはず」
「あらぁ誤解してるわねぇ」
「誤解?」
「私が欲しいのはね、愛よ」
「前にもそんなこと言ってましたね」
「じゃーん地球人記録―!!」
黒板をスクリーン代わりにして出したのはアンケートのようだ。
大きく『愛を強く意識したのはいつ? 1位:愛する者の不幸』が投影される。
愛する者――私は、クロノくんを愛していたのだろうか。
「地球人って哀れで悲しい人ほど好きになっちゃうのよねぇ……」
「私、は……」
「記憶を盗っちゃうなんて酷いことするわぁ」
パチン、指鳴りと共に記憶がすべて帰ってきた。
クロノくんに釣り合わない自分の価値に死ぬのを選ぼうかと迷っていたこと。
他にも学校のことだったりと色々、後ろを見れば生徒たちの目がない。
私は彼ら、彼女らも巻き込んだ――目の前の敵が許せなかった。
「……私がクロノくんを愛して、何を得するの?」
「料理よ」
さっき、食べちゃった、って。
「クロノくんは、生きてるの?」
「……どうかしら、確かめてみる?」
キスされた、口から伝わるクロノの気配。
どう表現していいかは分からないがミコ・テンシの体内にいる。
まだ胃の中で生きているのが目視できたかのような。
「色気のねぇキスだな」
「うふふ、レディーがそんな言葉づかいしてたら、はしたないわよ」
「……こちとらしばらく前世の記憶で過ごしてたもんでな」
私が死ねば解決するようなことじゃ、なかった。
後ろで動けないソウジくんとバチスケくん。
そしてヤキノリくんも……気持ち悪そうなそぶり。
「学生生活を楽しんで頂戴、彼にもう一度会わせてあげるわ」
パチン、ミコ・テンシの指鳴り。
気が付いたら通常の授業に戻っていた。
田中花子先生が地球人は言語が分かれている変わった惑星だ、と説明中。
「ここ日本の日本語はとくに変わった発展を遂げ―――秋田さん?」
「え」
「顔真っ青ですよ? 保健室に行ったほうが――」
「いえ大丈夫です!!」
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