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41話 動きだした恐怖
しおりを挟む「え?」
俺は、いや私は突如意識がとんだ。
これでいつものホテル部屋で目が覚めていれば、そんなに不思議じゃない。
チュンチュンと鳥の声、宇宙で聞こえることなんか一度もなかった。
「いや何処だよここ?」
家だろうか、でも実家じゃない。
学習机っぽいのとベッドにクローゼット。
窓の外は日本の道路で車が数台。
「どういうこと?」
外に出ると何やらマンションとかアパートとか。
私の部屋は101号室らしい、同じように廊下へ出ていたソウジやバチスケと合流。
どうにも彼らも気が付いたら今の状態であることを話してくれた。
「おはようございます」
金髪縦ロールのお嬢様に挨拶された。
SFよりはファンタジーとかに出てきそう、乙女ゲーとか。
私のクラスメイト?
「ああ良かった!!俺が誰か分かるか!?」
「ソウジ様ですよね? 忘れるわけございませんわ」
いやまぁ上半身マグロで下半身が人間の宇宙人を忘れること普通ならないよな。
俺は、じゃない私は忘れたけども。
どうにもクラスメイトらしくわいわい話している。
「いくら寮だからってあまり話していると学校に遅刻しますわ」
状況が不明だが鞄やノートにペンなどを持って学校へ。
金髪タテロールの子はオシトヤーカ星人でウルトラ・ソールという子らしい。
穏やかでいい子なので聞けば教えてくれるだろう、と。
「えっと、私っていつから寮に?」
「旅行ボケしていらっしゃるのですね……」
「う、うーんそう、なのかな」
「早く教室へ、こちらですよ」
寮の隣には高校が普通にあって、1-Aクラス。
秋田カナの机もあり、まずは座る。
クロノくんはきていないがミコ・テンシさんはきてる。
「あらぁおはよう」
「……テンシ、さん?」
「うふふ」
「クロノ、さんは?」
「食べちゃったわ、先に」
「先、に?」
チャイムがなり先生が入ってきた。
あれが田中花子先生?
見た目は地球人だしいかにも学校の教師っぽくファイルを持ってスーツ。
「皆さんおはようございます」
「おはようございます……?」
「ホームルームを始めますよ」
「あの、クロノがいなくて―――」
ソウジの言葉に先生はキョトン。
「クロノ――さん?」
「え」
「ペットでも逃げた話でしょうか」
周りを見渡して分かった、クロノの席がない。
いじめとかそういう次元がマシに思えてくる。
外の景色が本物かどうかすら怪しい。
「でも、二人は覚えてるってことだよね!?」
「ホームルームをはじめますよ!?」
今は教師を相手している暇がない、これがヒコ先生なら別だったが。
「これは、テンシさんが私を悲しませるためにやってるとか?」
「そういえばもう一人つかまってたよな?」
「……そうかヤキノリ!!」
「先生、クロノまた来てないでござるよ」
「だからそのクロノって――」
「イジメはよくないでござるよぉ!?」
おぞましい力、空気に押しつぶされる感覚。
クラス中が感じた文字通りの圧力。
まるで恐怖に染まるガスが教室に充満したかのような。
「せんせ、ホームルームを始めてちょうだい?」
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