宇宙人との規格外恋愛をした~愛されてるのは彼だけです~

宝者来価

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33話 しずかな決着

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 自室で目が覚めたようだ。

「あ、起きた?」
「クロノさん……」
「君は誰?」
「え、いや――勇気です、けど?」
「どうしてあんな化け物を庇ったのかな?」
「だって、彼は……ただ、クロノさんと友達に――」

 この記憶はなんだろう、俺は、どういうことだ?
 頭が痛いのは酔ってるせい?
 ここは『俺なんか』よりも彼らを助けなきゃって、思って咄嗟だった。

「カナちゃん」
「……それは、俺のあだ名か?」
「二人は今、檻に入れてる」
「檻?」
「会わせてはあげられるけど、会話は禁止」
「……何で」
「俺らはただ君を幸せにしたいだけなんだよ、だからさ?」

 昆虫やハムスターのケースを大きくしたようなものの中に彼らはいた。
 生きてはいるが喋る様子はない、禁止されてるから、だろうか。
 でも、ひとまずほっとした。

「クロノさん――俺を、どうしたいんですか?」
「一緒に生きてほしいだけなんだけど、信じられるかなぁ」
「えっと、俺のストーカー……?」

 今の俺は確かに可愛いし惚れてるのかこの男(?)。
 下半身がタコだと男かも微妙に分からんのだが。
 こうしてなってみると美少女ってのも大変だな。

「んー、婚約者」
「へ?」
「……大人しくしててよね、カナちゃんの人質はちゃんと生きてるんだから」

 この言い回しに酷い違和感。
 カナちゃんの人質はって、まるで他の人質は生きてなかったみたいな。
 クロノさんのサングラスを外した、なんていうか本当の顔が見たかった。

「……寂しそう」
「うん」
「辛そう」
「うん」
「俺のこと好き?」
「うん」
「お前の人質って、死んでた――のか?」
「……うん」

 不気味だっただけの相手が、何かこう違うものに見えてきた。
 宇宙旅行とかそういうの多分だけど全部嘘だろう。
 でも、不思議だな――こいつが辛そうなの、俺は嫌で殺させたくなかったんだ。

「ふー、じゃあ俺のいうことなるべく聞けよ」
「うん――え?」
「煙草と酒、新聞は言語が違って難しいか……DVDよこせよ」
「映画館あるけどDVDなの?」
「お前がずっと俺に尽くしてくれるならこの部屋を動かねぇ」
「えっ」
「んだよ愛した奴のためにその程度もできねぇか?」

 外に出ていってすぐに帰ってきた。
 煙草と酒とDVDに本とかゲームとかたくさん持ってきている。
 隣にヒコさん。

「☆ここにいてくれるなら、俺は何でもしよう☆」
「……あんたも俺に惚れたのか?」
「☆そうかもしれない☆」

 人気者だな、この『カナちゃん』とやらは。
 さらに追加で唐揚げにエビフライ、イカリングとツマミになるもんも頼む。
 秒速で買ってくる二人。

「えらいぞー」

 頭を撫でてやるとクロノさんは寝てしまった。
 ヒコさんはその様子をみて、床に寝かせてさっていった。
 俺は約束通りDVDを見ながら酒をあけた、俺は未成年じゃねぇぞ見た目これだが。

 心の中で言っても仕方ねぇな。
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