31 / 50
31話 味方は誰
しおりを挟む「こんにちは」
「……え?」
知らない男性がベッドにいた。
誤解を生む表現だな、腰掛けていたのだ。
動きからしてオネェさんだが彼も友だちだろうか。
「カナちゃん気分はどう?」
「あ、人違いです」
「でもどう見てもカナちゃんよね」
なるほどこの身体で何か誤解をされていると。
もしかして俺そのカナって人の部屋きちゃった!?
隣だったし誰もいなかったからいいと思ってたけどクロノさん間違えてそのカナって子の部屋に案内しちゃったとか。
「お、俺は進勇気――で」
「ふぅん?」
「あの、もしかして部屋間違えて入っちゃった、のかも」
「うふふ、いいえ間違えていないわ」
どゆことー、あ、もしかして相部屋?
女子と? それは――あ、俺まさか自分のこと女だって偽ってる系?
それともオネェさんが話しかけてきているし……駄目だ分からん。
「その、お名前は?」
「ミコ・テンシよ」
「えーと」
「クラスメイトのこと忘れちゃったの?」
「え、同級生……小学校?中学校?高校? 大学、はねぇよな」
俺が通った大学にクラスなかったし。
「しいていうなら高校かしら」
しいていうならってことはもしかして中学も一緒?
でもオネェなんかいたら普通覚えてるもんじゃん。
いや宇宙人とか記憶丸々ない俺だぞ、同級生ぐらい忘れててもへんじゃないかも。
「ごめん記憶喪失で――え、俺って源氏名がカナちゃんだったりする?」
「カナちゃんやっぱり面白いわね」
嘘だろ俺そんな趣味が、でも宇宙時代だし新しい自分に目覚めましたってこと?
備え付けのトイレで鏡を見る、美女じゃん。
お水系やってたりする?
さっきの二人が客とかだったら嫌だな。
「ええと、俺はその……カナで絶対にあってるのか?」
「いやだわ、お昼一緒に食べたじゃない」
思い出したのは記憶の一部、教室でテンシさんと食事をしていたこと。
高校のような場所だけど、なんか違う。
授業で地球のことを習ってた――これ以上は思い出せない。
「クラスメイト?」
「そうよ、最初からそう言ってるじゃない」
「……なんで俺がまた学校に」
「今はここから連れ出せないの、ごめんなさい」
そういって外へ出て行き、追いかけたらいなかった。
ヒコさんとばったり出会う。
いや本当、どうなってんだ俺は。
「☆どうかしたか?☆」
「いえ……何でもないです」
さっきの人は味方、なんだろうか。
分かんないって本当に怖いな。
お腹空いたし目下の目的は地球人用の食事かな。
「★具合とかやっぱりまだ悪い?☆」
「お腹すいてて」
「☆レストラン行くか☆」
こうしてヒコさんとクロノさんと共にレストランへとやってきた。
従業員がいないようだけど俺たちどうやって喰うんだよ。
メニューとかあるだろ普通。
『イラッシャイマセ』
ロボット!? おおSFの世界、これは嫌いじゃない。
「☆スタリバー星人用☆」
「タイム星人用」
「えっと?」
「地球人用って言えば出してくれるからさ!」
しばらくして運ばれてきたお子様ランチ。
こういうSFってカプセルが食事だったりするから一先ず美味しそうでほっとした。
で、二人が食べてるの何あれ、宝石?
「どうしたの?」
「えっと、それ美味しい……っていうか、何?」
「俺ちゃんの好物、ダイアモンド」
「ダイアモンド食べてるの!?」
「地球人だってダイアモンド好きっしょ?」
好きの意味がちげぇよ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる