宇宙人との規格外恋愛をした~愛されてるのは彼だけです~

宝者来価

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29話 決断

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 ヒコ・キララ視点

「☆カナちゃんは、自分のことが大嫌いなんだ☆」
「ふーん」
「☆逃げ出そうと、するかもしれなくて――☆」
「データにすればそんなこと、いや駄目か世界が終わりそう」
「☆洗脳しよう★」
「えっ」
「☆本当は嫌だが――カナちゃんには必要だからな★」

 このままでは彼女が自ら命を断ってしまうと確信している。
 地球人は弱い、すぐに生命活動をとめてしまう。
 前世がどうとか寿命がどうとか関係ない、スタシスはただ一緒にいてほしいだけ。

 不幸にしないなら、その考えをまず代えてしまえばいい。

「洗脳かぁ」
「☆全部、忘れさせる☆」
「本当に生まれたての赤ちゃんにして俺らで育てようってこと?」
「☆地球人はまだ未知で医療がすすんでない、少しずつ☆」
「大胆なことするなぁ」

 こうしてカナちゃんを眠らせた。
 本当は実行するか迷っていたけど、彼女が首を吊るためにロープを作った痕跡。
 何もかも忘れたなら今度は―――

「地球人は培養液とか相性悪いから布のベッドになるね」
「☆バックアップデータは一応残して、と☆」

 地球人の脳はスキャンがしやすい。
 少しずつデータを移動させていく、何もかも覚えていない状態に。
 しかし問題が発生した。

「……ん、う?」
「カナちゃん起きたの!?」
「私、どうしたのでしょうか?」
「☆あ、危ないから動かないで★」
「【治療】してるんだよ」

 麻酔はしているハズ、なんで起きてる。
 数値に異常は見受けられない。
 いや未知の力とされているXY線だけ高い。
 医療においてどういうわけかこの数値があがり過ぎると患者が死ぬことだけ分かってる。

「治療、病気――ですか?」
「☆スタシス、一度やめよう☆」
「なんっ……XYか」
「☆強く消そうとするたびに上がってる、ゆっくりやろう☆」

 カナちゃんが目覚めて周りを見渡した。

「えと、【俺】なんで――……ひっ!?」
「カナちゃん?」
「あ、あんたら何もんだ!? ってかここどこ!?」
「☆……俺はヒコ・キララ。えーとあなたのお名前は?☆」
「ススムユウキ」
「ごめんね怖がらせて、俺ちゃんクロノ・スタシス」
「あ、しが」

 タコの足をどうにも怖がってるようだ。
 まさか前世の記憶だけ残ってしまうとは考えてなかった。
 すっかり怖がらせてしまった。


「★お前俺の部下だったことも忘れたのか?★」
「部下!?」
「★そうだよ、竜太郎の推薦だっていうから連れてきてやったのに★」
「ご、ごめんなさい!! ちょっと、記憶が曖昧で」

 竜太郎のことは覚えている反応。
 嘘はついていないしどこまで覚えているかによるな。
 山に登る前までなら、どうにかできる。

「★トランスして女の身体だから無茶したら倒れるって注意もっかいしとく★」
「……ちんちん、無い」
「★お前はどこまで覚えてるんだ?★」
「竜太郎に子供が出来たんだって――ところ?」
「★じゃあ俺らが宇宙人で船の取材しにきたってこと忘れてるわけか★」
「宇宙人!?!?!?!?」
「足こんななの宇宙人以外のなんだと思う?」
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