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16話 止まる時
しおりを挟む「え?」
「……」
部屋の外に出た瞬間、私以外の時間がとまった。
うっかり何かに触ったり、とかやってしまった可能性はある。
惑星タイムといえばタイムマシンがあると噂だし。
「どうしよ……」
クロノさんもとまっている。
部屋を出ると子供がいた。
タイム星人とは思えないが義理の子供たちとも違う。
「おいで、おいで」
地球人でいえば5歳くらいだろうか。
手招きをしてくるし他に手がかり不明で移動した。
道中でジュースこぼしてやっちまった顔をしているバチスケを目撃。
「……いや、まぁいいや」
子供を追いかけるとモニタールームにたどり着いた。
いくつも画面が表示されるがどれにもクロノさんが写っている。
船内に子供たちがいるのだがどれも違う子供。
「あれ?」
書類を映していたモニターが日本語に翻訳された。
どうやら任務の内容はどれも星の殲滅。
つまり皆殺しにしろというもので、どれも完了のチェックがついている。
「……この子たちは」
皆殺しが完了したなら、さっきの子は幽霊だろうか。
このSF時代に、宇宙人のお化け?
けれど、今時間がとまっているのは何か関係あるかも。
「おいで、おいで」
さきほど地球人では聞きとることが難しい名前、『んぎ、g、ぷぅグ』と呼ばれていた子だろうか。
「何があるの」
「おいで、おいで」
ついていくと見知らぬ部屋に案内された。
布のベッドが一つあるだけの――狭い部屋。
囚人部屋にも似ている、中で子供が寝ているようなので声をかけようとした。
布団をめくればそこにあったのは、白骨化した子供の死体だった。
――――
私は気が付けばベッドで寝ていたようだ。
「……う、ん?」
「良かった、カナちゃんは起きて」
クロノさんが私を覗き込んでいた。
いやサングラスのせいで視線は分からないけど。
ただ、時は動き出していたし――さっきの子は?
「あの子はどこに?」
「……どんな子?」
「んー地球語だと……『んぎがぷーぐ』?」
うまく発音できなかったが心当たりはあるらしい。
一瞬固まったのでまた時がとまったのかと。
ベッドから出ようとしたら足に掴まれた痕跡。
「夢じゃなかったしお化けってこんなにくっきり手形のこす?」
「……ここは死刑囚用の部屋だけど、そんな部屋で寝るほうがどうかしてるかな」
「寝たつもりは無かったんですよ!? 白骨化した死体までは――ない」
白骨化した死体が存在していたハズのベッドには何もない。
嘘をついているわけではないのだが何と説明していいやら。
もう夜遅いのでいっそこのまま寝ていたい。
「ココで寝ないでよ」
「……居心地よくて」
なんかいい匂いする、昨日はろくに寝れなかったからついつい。
「やめろッ!!!!!!!!」
急に大声で怒鳴るのでビックリして飛び起きた。
そしてベッドからタコ足で引きずり出されて隣の部屋へ。
応接室のような小さな部屋だったがソファーがあり寝かされた。
「え、と」
「……あの部屋は死刑囚の部屋だから民間人は勝手に入ったら駄目」
「え?でもさっき部屋って子供の寝室じゃ――」
「その子供たちは全員死刑囚」
「何で……そんな、ことに」
「任務の内容、あとで教えてあげる」
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