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4話 お昼休み
しおりを挟むお昼休みに皆が持って来た弁当を広げた。
「グジュグジュ?」
「えっと」
「俺ちゃん通訳してあげる」
「クロノさんありがとうございます」
「地球人はそれだけしか食べないのかってさ」
おにぎり二つとタッパーが一つ、それとゆで卵が一つ。
「地球人ならこの年でこれぐらいは普通ですよ」
「ゴボボ……ゴボボボボ『そんな幼さで一人で食べられるの?』」
「えーと、地球人は確か2歳ぐらいから自分で食べ始めたハズ」
「ブクブク!?」
ショゴラさんに驚かれたことだけは分かった。泡すごい。
「地球人は成長がお早いですわね」
「まー子育てするほうからすれば楽かもね?」
「そんなことありませんわ、ワタクシの一番下の妹の可愛さみせますわね」
なにやらスマホのような端末で見せてくれた写真。
あのランドで写真撮影したかのような小さな子。
確かにとても可愛い。
「すごく可愛いッ!!」
「地球人様なら分かってくださると思いましたわ」
「……カナちゃんって子供は好きなの?」
「可愛いですよね」
できれば欲しかったなぁ前世で、いや父親が30で死ぬとか可哀想だわ。
今回はもうね、諦めるしかない。
仮に私に惚れましたーって人がいても、私がちょっと――騙しながらは辛い。
「変なもの見せていい?」
「見ないと分かりませんねぇ」
「ゴキブリに似た宇宙人」
もし普通の女性であるならビンタしててもおかしくない。
ただ、俺――間違えた私は大の宇宙人好き。
地球人は苦手だと教えてあげるべきか否か。
似ていると言っても、世界的な扱いとかがゴキブリみたいに嫌われてるのかも。
「見せてほしいな」
「この子たちなんだけど」
触角のある双子ちゃん、確かに頭の黒い触角だけは似てるかも。
これはノアリー星人かな、まだ子供なのか背が小さい。
写真なら前にも見たことあるし、可愛いかな。
「可愛いですね」
「ゴボボボボッ!?」
「なんてものを見せてますの!?」
可愛いなとしか見えないんだけど、何か嫌なんだろうか。
「ゴボ……」
「だってノアリー星人は他の惑星の生き物の生きた体内に卵を産み付けるんですの」
「え?」
「お腹を食い破って出てきますし、そのまま繁殖すれば惑星は崩壊しますわ」
確かに嫌がられる理由は分かった気がする。
ようするに寄生虫みたいな繁殖方法が嫌われてるのね。
お腹を食い破って出てくるのは確かに私も嫌だ。
そもそも人の身体で繁殖すな。
「地球人は嫌がらないとは聞いてたけどねぇ」
「このお二人は?」
「地球人の言うところの義理の子供たちって奴」
「え」
「娘のハルキシカと息子のヌアグヌイ」
軍人、子供、義理。あ~はいはいよくある奴ね。
戦場で仲間の子供を預かるって約束しちゃうとかさ。
あるいは敵の惑星を滅ぼしたあとのいきのこりを引き取っているかも。
「でも、どうして置いてここに?」
「戦場に子供連れてくる親がいるなら撃ち殺したいねぇ」
「地球が戦場なんですか!?」
「まぁ、世界の崩壊を食い止める任務でここにいるし」
さてはゴド星人が何か関係あるかも。
クロノさんはサングラスで視線がどこに向いているか探れない。
でも、私が余計な真似しないほうがいいかなー。
「やはりそうでしたのね、惑星タイムの軍人様」
「まー仲良くやってくれると嬉しいかな」
「そのご飯はタイムの?」
「時間なくて軍食、嫌だったらごめんね?」
「これがタイムの戦闘糧食……!!」
ちょっと食べてみたいけど、初日からお弁当交換しようはさすがにね?
「カナちゃんっておなかすいてるのに我慢してる?」
ちょっと人のお弁当を見過ぎたかも。
「あ、いえ、ただ宇宙軍さんの戦闘糧食――って通販で買えるかなぁと」
「そんな重要じゃないし、ほら、通販サイト【ナイル】で買えるわよ」
「ほんとだ!!」
「いっぱい持ってるから欲しければあげるよ」
「えと、食料は任務に必要だですし簡単に譲らないほうが……」
「そうよねぇ『軍人の食料を奪った』なんて誰かに言われでもしたら外交問題だもの」
善意でも確かに駄目だよね、惑星の軍人が支給されてる物だし。
「その程度なら問題ないんだけどなー」
「また今度通販で買いますね」
「もー、ドジっ子ねぇ」
なんだ、ゴド星人さんも注意してくれて優しいみたいで良かった。
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